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カイロ発東京往復ビジネスクラス75,000円の衝撃【橋賀秀紀のフカボリ!】
みなさんこんにちは。トラベルジャーナリストの橋賀秀紀です。
航空券ウォッチング歴が長くなる(=歳をとる)とちょっとやそっと、航空券が安くても何も感じなくなります。「東京からパリ往復58,000円? それは買いじゃないなあ」と見向きもしなくなるのです。しかし、今回の金額には心底驚きました。今回、その”カイロ発券騒動?”について取り上げたいと思います。
元々、エジプトの首都カイロは航空券マニアの間では「聖地」とされていました。聖地とはすなわち航空券の価格が安いためにわざわざその都市まで足を運び、その都市発の航空券を利用する、あるいは利用したくなるような都市のこと。
かつては香港、ソウル、あるいはバンコクといった都市が海外発券の出発地として人気がありました。台北、シドニーなどを愛好していた人も少なくありません。しかし、日本でのダブルストップオーバー可能な航空券の大幅値下げ、格安航空会社(LCC)の普及などもあいまって、こうした都市発の航空券の魅力はしだいに減退していったのです。現在でも日本人にとって魅力的な出発地として挙げられるのはスリランカのコロンボ、そしてエジプトのカイロです(このほか、ハンガリーのブダペスト、カンボジアのプノンペンやシェムリアップ、フィンランドのヘルシンキなども比較的航空券の安い都市として知られています)。
コロンボとカイロに共通するのはファーストクラスとビジネスクラスが安いこと。エコノミークラスに関していえば、日本発欧州往復の底値が3万円台となっている昨今、わざわざ海外発券をする価値はあまりありません。しかしビジネスクラス以上についていえば、日本発はまだまだ高止まりしています。
これまでもカイロ発のビジネスクラスの航空券は安かったといえます。東京往復のビジネスクラスでもつねにトータル17~18万円程度。これはセールでもなんでもない通常の価格。しかし、カイロ発の航空券を活用するためにはいったん日本からカイロに行き、カイロから1年以内に日本に戻ってから再びカイロへ。そしてカイロ発の航空券を継続的に買い続ける(これをカイロループと呼ぶ人もある)か、日本に戻ってくるか。いずれにしても、航空券の最長有効期限である1年の間に最低カイロに2回行かない限りはこの航空券を活用できないというハードルがありました。
ところが11月3日、これらのハードルをすべて吹き飛ばすようなことが起きたのです。同日エジプトポンドの通貨切り下げが発表されました。それに伴い、これまで1エジプトポンドが約11.5円であったものが約7.5円となりました。そして翌4日にはさらに下がり、約6.5円に。つまりわずか2日の間に為替レートが半分近くに落ちてしまったのです。1ドル103円だったのが翌々日に1ドル55円になったと想像してみてください。
xe通貨グラフ(xe.com、グラフも同所から引用)
http://www.xe.com/ja/currencycharts/?from=EGP&to=JPY&view=1W
エジプト発の国際線の航空券はエジプトポンド建てですから、この切り下げによって軒並み安くなりました。日本人にとって最も関心が高いと思われる日本往復についていえば、カタール航空のビジネスクラス(カイロ~ドーハ間はファーストクラスなので、世界最高水準といえるドーハ国際空港のカタール航空ファーストクラスラウンジが利用できる)が日本円で総額約75,000円。あのシンガポール航空ですらビジネスクラスで日本往復が約15万6,000円となったのです。