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フィリピン・ダバオへのツアー造成本格化へ エコツーリズムと安全性強調
フィリピン観光省とフィリピン航空は共同で、日本から観光業とメディア関係者を招いたダバオへのファムトリップ(視察招待旅行)を開催した。
ダバオは2,440平方キロメートルと世界で最も大きい都市で、フィリピン第3の都市。フィリピンで最も高い3,000メートル級の山とダバオ湾に囲まれ、高い山に阻まれることで台風が襲来することが少ないことから、ドール社がバナナのプランテーションが行っているほか、日本へは天然のマグロの輸出も行われている。かつて日本軍が統治し2万人ほどが住み、軍需品としてマニラ麻のロープを輸出していた。かつてミンタルという場所はリトルトーキョーと呼ばれており、これからリトルトーキョーを作る計画もあるという。在留邦人は800人ほどおり、日系人も多い。
9月には市街地で爆発事件が発生。ダバオ出身であるロドリゴ・ドゥテルテ大統領に対する嫌がらせとの見方が強く、事件後にはセキュリティが強化されている。
参加した旅行業関係者も引き下げを受けてツアー造成を進めたい考えで、現地旅行会社やホテルも日本人旅行者の増加に期待感を示した。現地旅行会社の日本人担当者によると、近年ではセブより割安で治安が良いことから、留学に訪れる日本人も増えているという。日系の語学学校はなく、5校すべてが韓国系。ツアー造成や日本人観光客の誘致にあたりネックとなっているのは「ミンダナオの治安」で、ミンダナオ地域の中部以西は危険度レベル3の渡航中止勧告を発出しており、ダバオは除外されているものの同一と見られることが多いとした。
ダバオはエコツーリズムでは魅力的なディスティネーションの一つで、フィリピンの国鳥である世界最大の鷲であるフィリピンワシの保護施設「フィリピン・イーグル・センター」、広大な観光農園の「エデン・ネーチャー・パーク・アンド・リゾート」、蝶の保護区となっており、マラゴスチョコレートで有名な「マラゴスガーデンリゾート」などの施設を1日で巡ることができる。
現在のフィリピンへの観光客数のトップは韓国、2位以下はアメリカ、中国、日本の順。韓国からはかつては留学による渡航が多かったものの、一時期より少なくなっているという。アメリカはアメリカ国籍を取得したフィリピン人の帰省やビジネス目的が多い。中国からの渡航者は年々増加し、日本を抜いた。南シナ海問題で緊張が増した際でも増え続け、ドゥテルテ大統領の中国訪問によって関係が改善されたことから観光客が急増、現在では毎日複数のチャーター便が運航している。
フィリピン観光省によると、2015年の日本からの渡航者数は約49万6,000人で前年比約7%増加。フィリピンと日本、韓国の間の航空便の供給席数はほぼ同等であるものの、日本との間はフィリピン人観光客が多く、韓国との間は韓国人観光客が多いという違いがあるという。特にフィリピン人観光客は食に対するこだわりが強く、食べ歩きやアーケードショッピングができる大阪・心斎橋、東京・武蔵小山などの人気が高い。従来は香港を訪れている人が多く、ビザ要件の緩和によって訪日旅行者が増加しているという。ダバオ観光局のスタッフは、ダバオにある一番人気の日本料理屋のラーメンは1杯700円程度と日本と変わらないものの「本当においしい」と言い、日本食の人気も高いと話した。
今後の観光客の増加について、フィリピン観光省東京支局のグウエンドリン S・バトーン東日本代表は、「”食”が鍵になる」と話す。同行したフィリピン航空の担当者も、「何ができるかイメージが沸かないという人も多いが、マッサージやネイル、雑貨、新鮮なフルーツなど楽しめるものは多い」と言い、女性にターゲットを絞った施策を共同で推し進める。
一方で課題も見え隠れする。ダバオの宿泊施設の部屋数は約6,000室で、外資系や高級ホテルはまだ少なく、日本人が求める設備レベルを満たすホテルはごく一部に留まる。市内ではアルコールを提供できる時間、屋内外やレストランなどでの喫煙に制限があるため、不満が残る観光客も多いはずだ。
ダバオへは、マニラ、セブ、イロイロのフィリピン各地のほか、シンガポールへ国際線も就航。日本からはマニラ経由が一般的であるものの、マニラのニノイ・アキノ国際空港では発着枠が逼迫し遅延が目立つことから、コンパクトなセブ空港での乗り継ぎを推し進める。今回利用したマニラ経由では、ほぼ丸一日がかりでの移動となり、2泊程度の旅行は厳しい印象を受けた。今後の改善にも期待したい。