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てるみくらぶ、山田社長が会見で破綻の経緯説明 銀行の貸し渋りも破綻の一因か
3月27日に東京地方裁判所の破産手続きの申立てを行い、即日で開始決定を受けた旅行会社、てるみくらぶの山田千賀子代表取締役社長は、午前11時30分から国土交通省で記者会見を行った。
てるみくらぶは、かつては新規就航や機材の大型化、重症急性呼吸器症候群(SARS)など需要の急変時に生まれた余剰座席を航空会社から安く買い取り、格安ツアーを造成、販売することで多くの利用者を獲得した。近年は航空会社が直販を強化し、機材を小型化するなど、割安な仕入れが難しくなったことなどの経営状況の変化から、2015年からシニア層に向けたクルーズ商品の販売や、新聞を通じた販売などにも手を広げた。新聞広告による顧客の獲得コストが高かったことや、手間がかかったことなどから想定通りの顧客獲得が難しかったという。
近年は仕入れが難しくなったため、大手旅行会社に匹敵する金額での仕入れやチャーター便を確保するなど、利幅を削っていたという。一方で、大阪発の国内旅行を数コース行ったほか、団体旅行も2015年から手掛けはじめ、「他社が20人くらいで催行するものを我が社は80人といった数で催行することもできた。」(山田社長)という。
国際航空運送協会(IATA)を通じた航空会社へ3月23日に支払う予定の約3億7,100万円の支払いが滞ったことが経営破綻の引き金となった。てるみくらぶなど旅行会社は、約5億円の銀行保証があることを条件に、IATAと契約することで自社で航空券の発券ができるようになる。自社発券が可能となることで、旅行会社は航空券代金の後払いが可能となることから資金繰りに余裕が出るものの、IATAへの支払いが滞ると自社発券ができなくなり、他社に航空券の発券を依頼する必要が出てくるため、仕入れコストが大幅に増加し、資金繰りに窮することになる。てるみくらぶではスポンサーや銀行融資に奔走し、支払い前日の22日には支払いの目処が立ったものの、同日夕方に話は破談となったという。23日深夜から、利用者に対して、出発ができない旨の連絡を行った。山田社長は同席した弁護士に、「銀行のことは言ってはだめですか」と尋ねる場面もあったが、それ以上の話を聞くことはできなかった。
てるみくらぶの3月23日現在での集計では3,000名が旅行中で、ハワイ、韓国、東南アジア、イタリアを中心としたヨーロッパ周遊などが中心だという。すでに発券済みの航空券は約款に基づき、航空会社と搭乗者との間の契約になるため、追加の支払いなく利用できるという。国土交通省では、日本国内に乗り入れる全航空会社に改めて通達を行った。一方で、航空会社によっては通達がうまく伝わらず、「搭乗を拒否される可能性がないとは言えない」と話した。ホテルや現地移動などのランドオペレーターの利用はできない場合があり、現地で追加の支払いが必要になるとした。
負債総額は約151億円で、内訳は旅行者が99億円、IATAが4億円、その他の取引先が14億円、金融機関は32億円。旅行者への補償は、日本旅行業協会(JATA)に弁済業務保証金制度に基づき1億2,000万円まで、旅行者からの申し出に応じて、債権額の割合に応じて分配される。申し出の期間は60日間で、JATAのホームページで告知される。返金される金額は、支払額の約1%程度になる見通し。
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