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ATR、日本市場でプロップ機は2025年までに100機の需要 小笠原諸島乗り入れも可能
大手リージョナル航空機メーカーのATRは、最高経営責任者(CEO)に就任したステファノ・ボルテリ氏らが来日して11月15日に記者会見を開き、日本市場の需要予測などについて発表した。
ATRは、ATR72-600型機(78席)とATR42-600型機(50席)の2機種を展開しており、エンジンやフライトデッキ、プロペラは両機種共通で、スペアパーツも90%が同じ。70席のジェット・ファン機と比較すると、1機あたり年間5,000トンの二酸化炭素排出量、9デシベル低い騒音レベルに抑えられ、環境に優しいことや、燃費効率や飛行コスト、座席コストが低いことを強調した。これまでに1,700機以上を受注し、200社以上に1,500機以上を納入しており、99.7%の就航率という高い信頼性が導入を後押ししていることを強調した。
また、就航地が滑走路が短いなどの難所にあることが多いリージョナル機であることから、視界が悪い状態での運航を支援するヘッドマウントディスプレイなどをリージョナル機で唯一搭載している。今後は貨物機のATR72-600Fをフェデラル・エクスプレスに納入し、2020年にも運航を開始するほか、800メートルの滑走路で離着陸できるATR42-600Sの開発を行うとした。
日本では天草エアラインがATR42-600型機を1機、日本で初めて導入し、日本エアコミューターも9機を発注。ATR42-600型機5機とATR72-600型機1機をすでに運航している。北海道エアシステムも7月に3機を発注することで覚書を締結していたものの、2機を確定発注に切り替えている。
新型機のATR42-600Sは、1,000メートル以下の滑走路の建設を検討している小笠原空港への就航が可能であるとしており、船舶では週1便、24時間かかるところ、約2時間でアクセスできるようになるという。低騒音や二酸化炭素排出量低減といった環境への配慮も可能で、島の生態系を維持できることを示した。この他に、礼文島、佐渡島、調布、新島、神津島、小値賀島、上五島、慶良間島、粟国島、波照間島などへも導入できるとした。ATRによると、日本にある約80の空港で、リージョナル機に依存している空港は50%、うちプロップ・ジェット機に依存している空港は30%に及ぶという。
ステファノ・ボルテリCEOは、「既存の大きな航空会社での存在感を高めていきたい。同時に新たな航空会社が市場に参入していく傾向はほかの国でもみられており、これまでと違うやり方での運航が求められるリージョナル航空業界で、新しい会社は新しい航空機を求めることになる」と説明。日本国内では2025年までに、100機のターボプロップ機の需要が生まれると予想しているといい、高いサポート体制をアピールした。
会見の最後には、「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などの作品で知られる、漫画家の松本零士さんが登場。ATR機と富士山を描いたの絵画を、ステファノ・ボルテリ氏にプレゼントした。松本零士さんは、「飛行機の絵を書くときは角度を上手く調整しないといけない。それが飛行機マニアの飛行機マニアたるところで、これは楽しかったです」と話した。
ATRはレオナルドとエアバスが出資。フランス・トゥールーズに拠点を置き、東京にも営業拠点を展開している。胴体とテールはイタリア・ナポリ近郊のポミリアーノにあるレオナルド、翼はフランス・ボルドーのステリア・エアロスペース、組み立てや飛行試験、型式証明、デリバリーはトゥールーズ本社で行っている。