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【レポート】「タイ12の秘宝」を訪れ、魅力を知る 郊外の観光アピールでリピーター層狙う(後編)
年を追うごとに訪問旅行者数が増加傾向にあるタイ・バンコク、バックパッカーの聖地とも呼ばれ、混沌と猥雑さが共存していた東南アジア屈指の大都市はここ10年で完全に様相を変えてきた、海外旅行ではおなじみのディスティネーションである、「タイ」。
タイ国政府観光庁は、学生マーケットへの販売促進やバンコクなどの主要都市への訪問経験があるリピーター層への再発掘を狙い、「タイ12の秘宝(12 Hidden Gems)」を刊行し、主要都市以外の「12の魅力的な県」をアピールしている。この記事では、前編に引き継き、後編では「彩りのタイ」を紹介していく。
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到着は土曜ということもあり、地元っ子も押し寄せ賑わっている話題の「ラチャダー鉄道市場」を訪問。MRTのタイ カルチャーセンター駅にもほど近いこの場所は、近年、バンコクでもっとも人気のある撮影スポットといわれている。しかし写真を撮るだけで帰ってしまってはもったいない場所だ。
市場の名の通り、小さな店が連なる通路を歩けば探検気分は満載、気に入ったローカル・フードやカクテル・タイムを地元っ子と肩を並べて楽しめば地元感を満喫、旅のひと時のプレミア感を高めてくれる。
SNSなどで人気急上昇中のスポット「ワット・パークナム(Wat Paknam)」。豪勢な宝物殿の上の最上階にガラス製仏舎利奉安塔と天井画が待ち受けている。バンコク中心地から外れていることもあり、観光客は多くなく、美しい仏塔をゆっくり堪能することができる。写真撮影に没頭してもいいし、心安らかなひと時を過ごすのもいいだろう。あくまで寺院の参拝なので服装や騒音、マナーには気を付けたい。現在、隣接する敷地内に大仏殿も建造中、こちらの完成にも気を惹かれる。バンコク西の郊外に位置するが、BTS(高架鉄道)を利用すれば個人での訪問も難しくない。
なお、真のエメラルドで作られた「エメラルド仏」はチェンライの「ワット・プラ・ケオ(Wat Phra Kaew)」で発見され、現在はバンコクの「ワット・プラ・ケオ(Wat Phra Kaeo)」に納められている。
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バンコクは水路の街でもある、トゥクトゥクやバイクタクシーなどと同様に水上バスや水上タクシーも市民の足として利用されている。水上交通は渋滞もないので旅行者でも利用方法を覚えておいて損はない。また狭い水路からはタイの人たちのリアルな生活も垣間見え、BTSやMRTの移動ではわからないバンコクの表情を楽しむこともできる。
水門を抜け、大きなチャオプラヤー川へ合流し、南側対岸にある「パーククローン(Pak Khlong)花市場」へ。
3~5月のバンコクは「暑季」にあたり、一年でもっとも暑い時季。船着場から路地を抜け、市場を目指している間に汗が噴き出してくるのだが、活気ある市場に足を踏み入れると気分は一変、「花」「華」「ハナ」「はな」で埋め尽くされた場内に圧倒され、暑さなどどこ吹く風になってしまう。寺院などに供えられる仏花はもちろん、レストランやカフェでテーブルや料理を彩る花も並び、タイの人たちの生活に欠かせない「花」が可憐な表情を見せてくれる場所は一服の清涼剤でもあり、時間を作って訪れたい場所のひとつ。
再び舟に戻り、チャオプラヤー川を南へ向かう、汗を帯びたシャツが心地よくはためいていく。
2018年11月にオープンした「アイコン・サイアム(Icon Siam)」へ。近年、バンコクでは「ターミナル21」や「アジアティーク」「サイアム・パラゴン」など大型のショッピングモールが地元っ子の話題と注目を集めているだけに、この最新ショッピングモールが今後、注目のホットスポットになることは間違いない。船着場から眺めるとまずはその巨大に驚かされる、さらに有名ブランドが並ぶフロアも広く大きく、ただただ圧倒されるばかり、そのサイズ感は日本ではお目にかかれないものだ。ただ大きいばかりでなく、地下のフロアに足を踏み入れるとガラリと変わった雰囲気が出迎える。このフロアは水上マーケットを模した造りになっており、そこには市場とフードコートと雑貨店が混在、価格帯的にも衛生的にも旅行者も安心して楽しめるスタイルになっているのだ。
ロケーション的にはマンダリン・オリエンタルホテルの対岸、ペニンシュラホテルの隣といった所にあるため、アクセスに手間取るが、BTSサパーンタクシン駅からシャトルボート、あるいはBTSクルン・トンブリー駅からシャトルバスを利用しての訪問が可能。市内の人込みと喧騒に疲れたらこんなところでホッと息抜きしながらのショッピング・タイムはいかがだろう。
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タイ国政府観光庁では、「フラワー・ルート」と銘打ち、タイの生活に密接する「花」に注目している。前述のパーククローン花市場と同様、旅行者にも生活の中の「花」を感じることができるのが「花の文化博物館(The Museum of Floral Culture)」だ。
タイの歴史の中で、花がどう関わってきたか、王族や文化とどう共存してきたかなどを100年前の古民家をそのまま生かした館内で知ることができる。見学だけでなく、実際に創作を学ぶワークショップに申し込むことも可能、グループで予約し特別なひと時を過ごすのもいい。また人数限定のアフタヌーン・パーティや食事会なども随時行われており、こちらで花に囲まれた格別な時間を過ごすことができる。
こちらも2018年11月にオープンし、旅行者の注目を集めている新アイコンが「マハナコーン・スカイウォーク(MAHANAKHON SKYWALK)」だ。
その特異な外観デザインから「崩れかかったビル」としてメディアにも取り上げられ、ニュースなどで目にした人も多いかもしれない。高さ314メートル、78階建てと、タイでもっとも高い建造物として誕生した高層ビルだが、高速エレベーターはわずか50秒で最上階78階の「室内展望フロア」に連れ去ってくれる。さらにそこから特別エレベーターで「ルーフトップ展望」に上がると遮るもののない360度ビューのありのままのバンコクの景色がそこにある。それだけで終わらず、「スカイウォーク」と呼ばれる由縁となったガラス張りの床があなたを待ち受けている。幅約4メートル、長さ約12メートルとちょっとしたプールにも似た強化ガラスのフロアは世界屈指の面積を誇り、観光客はもちろん、タイのカップルがもっとも撮影したスポットだとか。「スカイウォーク」するだけでなく、ダンスしてもOK、寝っ転がってもOK、あなたならどうする? またナイト・ビューの時間になるとクラブ・ミュージックがかかり、カクテルを味わうことも。夜風にあたりながらバンコクでもっとも高い場所でのバー・タイム、お楽しみあれ。
この高層ビルは免税店で有名な「King Power Duty Free」が所有、1~4階には免税店フロアも広がっているので買い物目的で訪れるのも楽しい。週末はデート・スポットとして混雑は必至、バンコクの夜景を独り占めしたいなら、平日夜がオススメだ。
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最後に、行程の合間に寄った「彩りのタイ」を紹介。
SNSでも注目を集めている鮮やかな「ブルー」、「バタフライピー」を使った飲み物を提供するカフェが人気を呼んでいる。
その名の通り和名は「蝶豆」というマメ科のハーブでタイでは「アンチャン」と呼ばれている。アントシアニンが豊富でアンチエイジングにも効果があり、タイ女性の美肌を作り出している、ともいわれている。そのハーブをキャッチーなティ・ラテに仕上げたのが『ブルーホエール マハラートBlue Whale Mharaj)』、王宮やワット・ポーにほど近い場所にあるカフェなので敏感な旅行者のアンテナを刺激した。こじんまりしたカフェだが3階までと奥行きがあり、青で統一された店内は観光後の疲れを癒してくれる落ち着いた雰囲気。ホット(写真右)、アイス(写真左)はいずれ劣らぬ鮮やかさでどちらも注文したくなる愛らしさ、またテイクアウトには可憐な花を添えてくれる。
シンプルな「バタフライピー・ティ」にライムなどの柑橘系を加えるとクエン酸により、鮮やかなパープルに変貌を遂げるのでお試しを。
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バックパッカーの聖地であり、渋滞のメッカであったバンコクはもはや昔の姿、最新のショッピングモールが人を楽しませ、ポップなカフェが人々を潤している。足を踏み入れたことがない方は「今のアジア」「現在のタイ」を感じてほしい。訪れたことがある方は「あなたのタイ」をアップデートしてはいかがだろう。(取材協力:タイ政府観光庁)