エアバス、A220-300型機のデモフライトを中部国際空港発着で実施 快適性アピール

エアバスのA220-300型機試験飛行機が、アジアデモツアーの一環として、初めて中部国際空港に飛来した。

アジアデモツアーの5つ目の寄港地として、8月5日夕方にクアラルンプールから到着。機体は8機ある試験飛行機のうち、機内装備品やシステムの試験を行うFTV8(A220-300型機、機体記号:C-FFDO)。29インチ(73.66センチ)から32インチ(81.28センチ)までの4つのシートピッチで、ゾディアック製「Slimplus」143席を、「2-3」配列で装備している。前後に各1ヶ所ラバトリー(化粧室)を装備し、1つは身障者にも対応する。ギャレーも前後各1ヶ所備える。

アピールポイントは、単通路機でありながら客室スペースが広く、開放感があることだ。客室幅は3.28メートル、通路幅は50.8センチと広く、乗り降りの時間が短縮できる。座席上の手荷物収納棚には機内持ち込みサイズのスーツケースを立てた状態で、1つの棚に4個収納できる。縦40.6センチ、横27.9センチと大型の窓によって自然光を多く取り入れられ、機内は自然光のみでも非常に明るい。

A220ファミリーは、ボンバルディアがCシリーズとして開発。A220-100型機(旧CS100型機)とA220-300型機(旧CS300型機)の2機種から構成されており、A220-300型機はA220-100型機と比較して、中胴が3.7メートル長い。それぞれ2013年9月、2015年2月に初飛行を実施し、2015年12月、2016年7月に型式証明を取得した。2018年7月に、エアバスが製造・販売を担う会社の株式の過半数を取得し、改称した。

両機種には99%以上の共通性があり、整備や部品在庫管理の簡略化、操縦士がいずれの機材も運航できることが特徴。コックピットには5つのディスプレイを配し、フライ・バイ・ワイヤを有している。無線部分を上方に設けることで、情報認知度を高めた。主翼には複合材、胴体にはチタンとアルミリチウム合金を使用。プラット&ホイットニー社製のPW1500Gエンジンを備える。これにより、小型単通路機の現競合機と比較して燃費を20%、競合機と比べて座席あたりのコストを13%削減できるとしている。整備間隔はより長くなり、A整備は飛行時間850時間ごと、C整備は同8,500時間ごとになることで、整備コストを25%削減できた。

今後20年間での100席から230席クラスの単通路機の需要は、世界で28,500機以上と推計されており、A220ファミリーがカバーする100席から150席程度の機体の需要は7,000機とみられている。エアバスでは、A320ファミリーなどの大型単通路機とリージョナル機の間の需要をカバーするための機体として位置づけており、燃費効率の高さや静寂性などをアピールしている。116席構成で最大離陸重量が63トンのA220-100型機の場合、名古屋からは、クアラルンプールやバンコクなど東南アジアのほぼ全域、オーストラリア北部までもカバーする。

これまでに21社から551機を受注し、5社に78機を引き渡した。アジア太平洋地域では、大韓航空が韓国国内線や一部の日本線にA220-300型機を投入している。2018年11月から名古屋/中部〜釜山線に投入し、日本に定期便として初飛来。その後地方路線に投入している。この他に、エアバヌアツも発注している。日本の航空会社による発注は、現段階ではない。

航空会社やリース会社、報道関係者を乗せたデモフライトの前に開いた報道関係者向け説明会で、クリスティン・ド=ガニュマーケティング・ディレクターは、「アジア太平洋地域に需要の20%があり、重要な市場。日本は地域の主要市場で、エアバスにとって重要。日本の会社から高い関心を得ている。」と自信を示した。

ライバルとされるエンブラエルのE2については、「もう少し小型で収容能力が低く、航続距離が短い。」(クリスティン・ド=ガニュマーケティング・ディレクター)として、競合としていないとした。一方でエアバスの資料には、Eシリーズとの比較も多い。

デモフライトは、午後1時ごろに中部国際空港を出発。名古屋市や岐阜市、白山市、金沢市、富山湾、松本市上空などを約1時間かけて飛行し、午後2時10分過ぎに中部国際空港に到着した。