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安全運行への使命、大阪でも 年に一度「新幹線第2総合指令所」が動く日
年間約2.5億人が利用する東海道・山陽新幹線は、言わずと知れた日本の交通の大動脈。東京〜博多間で1日に500本以上の列車が駆け巡る。その全列車の運行を管理しているのが、東京の「新幹線総合指令所」。列車運行だけでなく、車両や設備、信号、変電所の管理、気象情報の収集なども担う。
この総合指令所が天災などで使用できなくなった場合に備え、全く同じ機能を持つ施設が大阪市内にある。それが、「東海道・山陽新幹線第2総合指令所」だ。阪神・淡路大震災を契機として1999年2月に完成した。JR東海の島田秀行輸送指令長によれば、これまでに東京の総合指令所が使用できなくなったことはないというが、有事の際は直ちに機能を大阪に切り替えて全列車の運行制御ができるような体制が整えられている。また、この第2総合指令所では、山陽新幹線と直通運転を行う九州新幹線についても一括管理できるよう、JR九州の指令員も常駐。東海道・山陽・九州新幹線の全列車の運行状況を一元的に把握することが可能になっている。
平常時は指令員の教育訓練などに使用されているという第2総合指令所。実は、一年に一度だけ、有事を想定して東京の総合指令所から機能を移管し、実際に列車制御を行っている。
「のぞみ」緊急停車 動き回る160人の指令員
12月7日、新大阪駅付近のとある場所。巨大な運行監視盤を前にしたフロアで、160人の指令員が慌ただしく動き回っていた。午前9時21分頃、相生〜岡山間を走行中の「のぞみ3号」の運転士から、「通常と異なる音がした」という報告があったという。
緊急停車した「のぞみ3号」や前後の列車の運転士に対して、指令員は状況確認を指示すると同時に車両点検の手配を行う。電話音が鳴り響く中、ダイヤグラムを手にした指令員が輪になって状況を共有し合う。
十数分後、「のぞみ3号」異音の原因は野鳥と思われる物体との衝突と判明。車両の安全が確認され、列車は運転を再開した。安心したのも束の間、今度は駅ホームで列車の非常停止ボタンが押されている──。
この日は都内に降雪予報が出ていた。新幹線の運行にも支障が出ることが心配されていたが、幸い朝の時点で影響はなかった。翌日の朝には、機能が再び東京に戻される。東京でも大阪でも、安全に対する使命は不変。災害はいつ訪れるかわからない。大阪の第2総合指令所は常に万全の体制で不測の事態に備えている。