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JR東海公認「タピオカ新幹線」 コラボしたカフェに話を聞きに行ってみた
空前のタピオカブームが巻き起こった2019年。大都市はもちろん、地方都市のあちこちでもタピオカドリンクを扱うティースタンドを見かけるようになった。以前から台湾フリークだった筆者としては、日本でも気軽にタピオカドリンクを買えるようになったのは嬉しいところ。
そんな中、「タピオカ新幹線」なるドリンクを扱う店があるという情報を聞きつけた筆者。なんでもその「タピオカ新幹線」は通常のメニューには載っていない、いわゆる裏メニューで、しかも「JR東海公認」らしい。ネット上も「あのJR東海がタピオカ?!」などと大賑わいの様相だ。
摩訶不思議なそのドリンクの実態を確かめるべく、「タピオカ新幹線」を扱う奈良県橿原市の「うのまち珈琲店」に行ってみた。
近鉄橿原線の八木西口駅から徒歩数分、「うのまち珈琲店」に到着。この一帯は今井町と言い、歴史的価値のある町家など約500棟の伝統建築物が残されており、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されているそうだ。「うのまち珈琲店」も、古民家をリノベーションした趣ある佇まいだ。ここに「タピオカ新幹線」があるというのか。
メニューを見ても「タピオカ新幹線」の文字はない。どうやらJR東海とのコラボレーションということで、スマートフォンに同社の「EXアプリ」をインストールして提示すると注文できるらしい。早速、画面を見せると「タピオカ新幹線」を注文することができた。
「タピオカ新幹線」には、東海道新幹線N700Aをイメージしたものと、923形ドクターイエローをイメージしたものがあるらしい。せっかく奈良までやってきたので両方頼んでみよう。
運ばれてきたこちらが、世にも不思議なタピオカ新幹線。左がバタフライピーの鮮やかな青で東海道新幹線のカラーを表した「タピオカ新幹線」、右が黄色のスムージーをベースにした「タピオカドクターイエロー」だ。
「N700A」はヘーゼルナッツ風味でさっぱりした後味。甘いものが苦手な人でも美味しく飲める飲み口だ。一方、「ドクターイエロー」はゴールデンパインのさわやかな酸味で、上に乗ったミルクホイップと混ざるとまろやかな口当たりになった。一緒に吸い上げるタピオカの食感がアクセントになる。
ところで、この「タピオカ新幹線」はなぜ奈良の地で生まれたのだろう。代表の小田墾さんに話を聞いてみた。
「奈良キャンペーンで来てくださったJR東海の担当の方と意気投合して、『何か面白いことをやりましょう』と。そこで新幹線の話が出て。試作品を作ってやりとりして、トントン拍子で出来上がりました」
奈良キャンペーンというのは、JR東海の観光キャンペーン「うまし うるわし 奈良」のことだ。現在展開中の「橿原神宮編」に合わせて橿原市周辺を調査していた担当者が、「うのまち珈琲店」に目をつけたということらしい。
「EXアプリ」提示を条件にしたことについては、小田さん自身もスマートEXの利便性を実感して、その便利さを伝えたいと思ったからだという。
「うのまち珈琲店」を出て、今井町を少し散策してみた。東西約600メートル、南北約310メートルの地区内には、江戸時代の風情が色濃く残っている。
1650年に建てられた重要文化財の今西家住宅。江戸幕府から自治権を認められていた今井町で、裁判所の役割を持っていたという。つまりこの床はお白洲だったということだ。
江戸時代から続く酒蔵の河合酒造。現在では今井町に現存する唯一の酒蔵だそう。
お洒落なフレンチレストランもある。ここ「Tama」では、地場の食材をふんだんに使ったコース料理を提供している。数百年前の街並みの中でフレンチをいただくのは不思議な感覚だ。
「タピオカ新幹線」目当てで来た今井町だったが、このような伝統的な街並みが広がっているというのは新たな発見だった。静かで落ち着いた雰囲気の橿原で、晩秋の旅気分を味わってみてはいかがだろう。