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Go To トラベル、感染拡大でも続けるべき理由とやめるべき理由【コラム】
新型コロナウイルス感染症が猛威をふるっている。
11月19日に東京都で新規感染が確認された人数は534人。報道により不安を抱くのもやむを得ない。「Go To トラベルキャンペーンをやめるべき」という主張もある。
ここでは、Go To トラベルキャンペーンを続けるべき理由とやめるべき理由を、可能な限り中立的に考えてみる。
続けるべき理由
Go To トラベルキャンペーンは、国が国内の旅行者の旅行費の一部を支援する事業である。旅行者は旅行代金の最大35%が国から値引き支援される。これにより、旅行商品などに含まれている交通機関や宿泊施設などが間接的に支援される。
また旅行代金の約15%が「地域共通クーポン」として支給され、加盟しているお土産店やレストランなど、幅広い店舗で利用することができる。クーポンを通して、観光業と直接結びつかないものも含む、様々な業種の店舗が支援される。
Go To トラベルキャンペーンは、直接的には観光支援であるが、間接的には多業種が支援されている。事業の波及効果は、多くの人の考える範囲よりも広いだろう。
Go To トラベルキャンペーンにより感染が広まったという根拠が極めて薄いのも特徴だ。加藤勝信官房長官は、Go To トラベルキャンペーンを利用した延べ3,976万人のうちの155人、事業に登録した宿泊施設の従業員144人の感染が確認されていることを明らかにしている。Go To トラベルキャンペーン利用者のうち、単純計算では約0.0004%が感染した計算だ。
新型コロナウイルスの日本国内感染者数は延べ12万人以上であることと比較しても、Go To トラベルキャンペーン利用者の感染者数の少なさが際立つ。
Go To トラベルキャンペーンにより感染が広まったという根拠が薄いのであれば、経済を回すべく、感染リスクを抑えながら、Go To トラベルキャンペーンを続けることには問題ない。これがGo To トラベルキャンペーンを続けるべき理由だ。
やめるべき理由
Go To トラベルキャンペーンをやめるべき理由の1つは、地域間をまたいだ移動により、感染が拡大するのではないかという懸念だ。
感染が流行していない地域で新たに感染が発生したならば、それはウイルスが外部から持ち込まれたからである。疑う余地もない。観光客で混み合う土地ならばリスクが上がる。十分な感染対策を行わない観光客がいれば、感染の危機が迫る。否定できない現実だ。
すでに155人のGo To トラベルキャンペーン利用者が感染しているのだから、Go To トラベルキャンペーンをやめるべきというのも理にかなった理由だろう。
ただ、Go To トラベルキャンペーンをやめるべき理由には、もっとシビアな意味合いが込められてきているのではないかと筆者は考える。それは「懲罰的な同調圧力」だ。
Go To トラベルキャンペーンが中止などになれば、政府による「旅行中止勧告」の意味合いを持ち、「コロナが流行した罰として、旅行なんてしないで家にこもって流行を抑えろ」ということを暗に示すことになるだろう。
日本は「前に倣え」に始まる同調圧力の国だ。ほぼ全員がどこでもいつでもマスクを付け、マスク未着用者は、集団に適合できない人として白い目で見られる。この文化によって、(皮肉にも)流行が抑えられてきたとも言えるだろう。
この強力な同調圧力を背景にGo To トラベルキャンペーンをやめてしまえば、感染は収まる”かもしれない”。観光業を中心に再度のダメージがあるかもしれないが、気にせずGo To トラベルキャンペーンをやめるべきだ、これが本当の「やめるべき理由」だろう。
結局、安易に「Go To トラベルキャンペーン」をやめるとは言えない
結局、「続けるべき理由」「やめるべき理由」を挙げてきたが、旅行業やその関連業を見渡して言えば、「感染は収まる”かもしれない”」と安易に「Go To トラベル」をやめると言えないのが現状だ。
11月16日午後1時現在で、旅行事業者数は6,638、宿泊事業者数は27,234。地域共通クーポン加盟店を含めれば膨大な影響がある。Go To トラベルキャンペーンを、突然中止にする影響は計り知れない。
命に関わる可能性のある新型コロナウイルスに対して、着実な対策を取るべきであることは否定をしない。だが、経済へのダメージが必至であるのに、感染拡大との明確な根拠が見いだせないまま、Go To トラベルキャンペーンを安易にやめる選択は取りづらいのが現状だろう。