グリーン車も同一料金 停車中の「成田エクスプレス」でテレワーク実験

コロナ禍でテレワークが一層推進されるなか、JR東日本は11月27日、特急「成田エクスプレス」の車内をシェアオフィスとして提供する実証実験を始めた。

27日と28日の2日間、両国駅の普段は使用されていない3番線ホームに、「成田エクスプレス」などに使用されるE259系6両が停車。車内をテレワーク空間として開放する。予約制で両日午前10時から午後4時まで利用でき、利用料金は15分100円(税別)。グリーン車も含め、空いている席を自由に利用できる。同車両の座席定員は290人だが、ソーシャルディスタンス確保の観点から同時に利用できる人数は140人に制限されている。JR東日本千葉支社によると、27日時点で同日は約130人、28日は約120人の予約が入っているという。27日午前11時頃の車内は、グリーン車がやはり混雑していたものの、他の車両は1両に数人が着席している程度で、利用者は静粛な空間の中で仕事や勉強に取り組んでいる様子だった。

「成田エクスプレス」は移動需要の激減に伴って大幅な減便を余儀なくされ、E259系は運用上の余剰が出ている。しかし今回の取り組みにおいて同車両を使用するのは、車内Wi-Fiや座席電源などの「テレワークに適した設備が整った車両だったため」(同支社の担当者)で、余剰編成の有効活用という観点はないという。輪行用列車「B.B.BASE」の209系を使用する案もあったが、車内の快適性なども考慮して最終的に特急車両のE259系が選定された。

同社は2019年から駅ナカにおけるシェアオフィス事業「STATION WORK(ステーションワーク)」を展開。ブース型やコワーキングスペース型など複数のシェアオフィス設備を首都圏を中心とした駅構内に設置している。今回の実証実験はその一環で、新たなサービス提供に向けた課題の洗い出しを主な目的としており、実用化については現時点で未定だという。


▲全座席に設置されている電源用コンセント