人気集めるANAの機内食通販 1か月で約5万食完売、第4弾はきょう発売

航空各社による機内食販売が人気を集めている。新型コロナウイルスの影響で国際線に乗るのが難しい状況が続く中、全日本空輸(ANA)は「機内食を地上でも食べたい」という声が利用者から寄せられたことから昨年12月、初めてエコノミークラスの機内食セットをECサイトで販売した。

同社で提供する機内食のメニュー開発や製造を担当するANAケータリングサービス(ANAC)では通常、エコノミークラス機内食だけで1年間に20種類以上のメニューを開発・提供している。コロナ禍以前、ピーク時には成田と川崎の2工場合わせて1日約3万食の機内食を製造していた(海外航空会社などからの受託製造分含む)が、現在はその1〜2割程度に落ち込んでいるという。

初期販売分は、減便で行き場を失った機内食のフードロス削減という側面もあった。ANACの清水誠総料理長はそのときの思いを、「少しでもお客様に召し上がっていただきたいという願いが叶うと思いました」と振り返る。

昨年12月11日に発売した第1弾のラインナップは、和食、洋食、子ども用の3種類で、それぞれ3つのメインディッシュが4食ずつ、計12食のセットだった。これまで前例のなかったネット販売は大きな話題となり、初回分、再販分合わせて2,100セット以上が数日のうちに完売。第2弾(同年12月22日発売)、第3弾(1月18日発売)の各1,000セットも飛ぶように売れ、約1か月で計4,100セット(49,200食)が売り切れた。次回販売の問い合わせも寄せられたという。

「こんなに反響があるとは思いませんでした。第2弾、第3弾と次々にオーダーが入るとは」と清水総料理長は驚きを隠さない。

機内食の美味しさを知ってほしい

ネット販売される機内食は実際に機内で提供されるときと同様、小さな四角いプラスチックトレーに入れられ、冷凍便で届けられる。内容にも特別なアレンジなどはない。これには、機内と全く同じ美味しさをそのまま届けたいという思いがあったという。

機内食の特徴は味付けだ。航空機内では気圧の変化や客室照明の照度、エンジン音などにより味覚が鈍感になると言われており、各社で味付けに様々な工夫がある。清水総料理長によるとANAの機内食は「メリハリある味付け」になっているという。

「決して濃い味付けという意味ではありません。例えば出汁を強く取ったり、配合を変えたりという工夫をしています」と清水総料理長。薄暗い機内でも彩りよく見えるよう、「必ず緑色や赤色の食材を入れ、色合いに気を使っています」と見た目へのこだわりも欠かさない。

ANAC 清水誠総料理長

「中には『機内食は美味しくないもの』というイメージを持っている方もいらっしゃると思う。この機会に召し上がっていただいて、エコノミークラスの機内食も美味しいということを知ってもらえれば」と清水総料理長はネット販売への思いを明かした。

機内食を熱望するファンの期待の声に応え、きょう26日からは第4弾をANA公式通販サイト「ANA STORE/ANA ショッピング A-style」とANA公式ギフトショップ楽天市場店で販売する。「ビーフハンバーグステーキ デミグラスソース」、「赤ワインで煮込んだハッシュドビーフ」、「シーフードのトマト煮 バジル風味」の洋食3種セットと、「牛すき焼き丼」、「鶏唐揚げと彩り野菜弁当」、「白身魚照焼き」の和食3種セットの2種類だ。

新たなラインナップの中で、清水総料理長が特におすすめするのはハンバーグ。「火を入れても中からジュワッとジューシーな肉汁が出てくる。牛肉100%なんです」と味に自信を見せる。自宅でのおすすめの食べ方を聞くと、「パンと赤ワインを用意して一緒に召し上がってもらえれば」と教えてくれた。

これまでのように国際線に乗って機内食を楽しめる日が戻るのはまだ先かもしれない。この機会に自宅でゆっくり機内食を味わう非日常を体験してみてはいかがだろう。

機内食だけでなく、ANAラウンジで提供しているカレーや機内用ドリンクも販売中

昨年12月22日からはファースト・ビジネスクラス用のテーブルウェアの取り扱いも始めた

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