ANAグループ、「ANAにキュン! BLACK FRIDAY!」を開催
東京〜NY往復3,900万円 ANAのプライベートジェット事業、コロナ禍も好調
コロナ禍で国際線再開の見通しが立たず、人の移動が制限される中、専用機で目的地までダイレクトに移動できるビジネスジェット(プライベートジェット)の需要が徐々に拡大している。ビジネスジェットのチャーター事業を手掛けるANAビジネスジェット(ANABJ)はコロナ禍・コロナ後の市場拡大を見据え、需要の取り込みを強化する。
ANABJは、ANAホールディングス(ANAHD)と、ビジネスジェットのリーディングカンパニーとしてチャーターや運航管理に関する知見を有していた双日が共同で、2018年7月に設立。専用機での移動による高い秘匿性や快適性に加え、出発日・時間などのスケジュール設定の柔軟性、専用動線によって空港での手続き時間を大幅に短縮できることなどをメリットとして、ビジネスジェットの需要開拓を進めてきた。
▲羽田空港で公開されたビジネスジェット ボンバルディアGlobal7500
ANABJでは国内チャーターのほか、日本から海外へビジネスジェットで直接渡航できるグローバルチャーター、定期便で渡航した国の域内でビジネスジェットを利用できるエリアチャーターの3種類のサービスを展開。サンプル料金は、国内チャーターではホンダジェットなどの小型機利用で東京〜札幌間が往復約300万円、グローバルチャーターではボンバルディアGlobal6000などの大型機利用で東京〜ニューヨーク間が往復約3,900万円などとなっている。
ANABJ設立前の日本のビジネスジェット市場は欧米に比べて非常に小さく、国内空港の発着実績の大半は外来機という状況だった。同社は当初、設立から3年で単年度黒字化、5年で累積損失解消を目指していたが、ANAのブランド力などを強みに、設立2期目の2019年度に単年度黒字に転換。コロナ禍に揺れた2020年度も、感染予防への意識や国際線縮小に伴うビジネス需要を背景に増収増益を達成した。
ANABJ代表取締役の片桐純氏は、「(駐在員などが)帰国後に公共交通機関を利用できないため、成田や羽田から北海道や九州への移動で使われるケースもあった」とコロナ禍での利用例を紹介。「コロナ禍での事業展開を通じて、ビジネスジェットの潜在需要を実感、確信した」と話す。成約件数はコロナ前に比べ約10%増、問い合わせは約30%増と好調だという。リモートワークの浸透などにより、コロナ収束後も人の往来が以前の水準に戻ることはないと言われているが、片桐氏は「海外での商談など、フェイス・トゥ・フェイスの対話は想定される。移動の選択肢としてビジネスジェットの需要は確実にある」と市場拡大に期待感を示している。