羽田に駐機中のANA国際線機材で結婚式 問い合わせ100件、7組成約

全日本空輸(ANA)は、羽田空港に駐機中の国際線機材を活用した機内結婚式「THE WEDDING with ANA」を実施した。5月と6月の週末に計7回行われる予定で、初回の5月23日は飛行機好きという都内在住の新郎新婦が式を挙げた。

この企画は、旅客需要の減少で発生した余剰機材を活用する取り組みとして提案され、ブライダル事業を手掛けるハセガワエスティの協力で実現。機内での挙式のみのプランと、第1ターミナルの「ギャラクシーホール」での披露宴がセットになったプランの2種類が用意された。価格は挙式プランが155万5,000円、披露宴付きプランが300万円で、設定日は5月23日から6月13日までの9日間。機材整備のスケジュール上、式場となるボーイング777-300ER型機(機体記号:JA783A)を使用できるのが6月中旬までとなっているためだという。募集開始は4月15日で、挙式まで最短で1か月強というタイトなスケジュールだったが問い合わせは100件以上で、17件の申し込みがあったという。1日1組限定のため、希望日の調整を経て最終的に7件が成約に至った。

5月23日に挙式したのは、新郎新婦ともに旅行が趣味という村上徹さん、麻美さん夫妻。2人は当初、コロナ禍のため挙式自体を断念するつもりだったという。ウエディングフォトだけでも撮影しようと調整していたところ今回の募集を発見し、「旅行好きの2人にとってこれほどベストな式場はない」(徹さん)と即断即決した。

当日はゲストとして新郎新婦の親族など27人が参列。受付は第2ターミナル国内線チェックインカウンターで、現在は閉鎖中の「ANA ARRIVAL LOUNGE」が待合室として開放された。新郎新婦は国際線エリアでファーストミート。保安検査後、ゲート間移動用の電動カートで“式場入り口”の69番ゲートまで移動した。

▲69番ゲート前に並ぶ新郎新婦

式場は「NH8888便 ミラノ行き」。末広がりで縁起の良い数字の「8」を並べ、拍手の音をイメージした。ANAによると、ミラノは「ジューンブライド」発祥の地とされていることから行き先として設定したという。同社が昨年4月に就航を予定していた都市でもある。挙式には客室乗務員やグランドスタッフ、整備士など約100人のスタッフが携わり、ANAグループ一丸となって新郎新婦を祝福した。

挙式を終えた2人は、「夢のよう。国際線エリアや機内貸し切りなど、全てが特別だった。忘れられない最高の結婚式になった」(新郎・徹さん)、「いつも旅行のときに乗っている飛行機という空間で挙式でき、一生の思い出に残る一日だった」(新婦・麻美さん)と感慨ひとしおだった。

ANAが機内での結婚式を実施したのは初めて。企画を担当したCX推進室レベニューマネジメント部の芳賀一樹さんは、「機内結婚式の話題で世の中が少しでも明るくなれば」と話し、「この企画を通じてやる気がアップしたという社員の話も聞いている。そういった面でも貢献できているのではないか」と社員への影響も見出した。6月以降の開催は「機材を準備できるかどうかが課題」で、派生型のイベントも合わせて検討していきたいという。(機内写真のみANA提供)

▲参列者受付の国内線チェックインカウンター

▲参列者受付の国内線チェックインカウンター

▲参列者に配られた搭乗券と、機内誌を模した式次第

▲参列者待合室の「ANA ARRIVAL LOUNGE」

▲参列者待合室の「ANA ARRIVAL LOUNGE」

▲参列者に振る舞われた、ANAカラーをイメージしたオリジナルカクテル

▲国際線エリアでの新郎新婦のファーストミート

▲ライスシャワー代わりの飛行機の折り紙


▲国際線エリアで記念撮影する新郎新婦

▲電動カートでゲート前まで移動する新郎新婦

▲式場に“搭乗”する新郎新婦

▲機内での挙式の様子

▲機内での挙式の様子

▲機内での挙式の様子

▲機内での挙式の様子

▲挙式を終えタラップで降機する新郎新婦

▲挙式を終えタラップで降機する新郎新婦

▲機体の前で記念撮影する新郎新婦