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「藤色」でイメージ一新 東京メトロ半蔵門線の新型「18000系」、8月デビュー
東京地下鉄(東京メトロ)は6月2日、半蔵門線で今年度上半期から営業運転を開始する新型車両18000系を川崎市の鷺沼車両基地で公開した。2025年度までに10両編成19本を導入し、既存の8000系を置き換える。
半蔵門線線用の車両としては1981年にデビューした8000系、2003年に登場した08系に次ぐ3形式目で、営団地下鉄から東京メトロへの改組以降では初めての新型車両となる。基本設計は2月にデビューした有楽町線・副都心線用の17000系に近く、永久磁石同期電動機(PMSM)やフルSiC素子適用VVVFインバーター制御装置の採用により、省エネ性能が大きく向上しているのが特徴だ。8000系に比べ30%の消費電力量削減が見込まれているという。さらに、走行中の機器状態を監視・分析する「TIMAシステム」を搭載し、車両故障の予兆を自動検知できる。
外観は8000系や08系のような「端正な顔つき」とするため、直線的なヘッドライトを採用。親しみとスタイリッシュさを表現したという。前面や側面の識別帯は藤色を使用しており、ワインレッドのような色合いだった8000系や08系とは印象が異なる。
車内でも紫系のカラーを前面に押し出している。座席や床面、天井部などは、濃淡の異なる同系色相の色を複数使う「トーン・オン・トーン」の配色。このデザインは、表参道や清澄白河など、伝統と新しさが混じり合う沿線のさまざまな街を表現したものだという。従来車では白色だった吊り手も紫色になった。また、車両間ドアや座席横の袖仕切り、荷棚に透明な強化ガラスを採用することで明るさを持たせ、開放感を高めている。
座席幅は430ミリから460ミリに拡大し、居住性を向上。17000系と同様、全車両にフリースペースを設けた。フリースペース近くのドアにはドアレールに切り欠きを入れ、車椅子やベビーカーの乗降がしやすいように設計している。また、バリアフリー促進のため、床面高さを8000系と比較して60ミリ下げ、ドア出入り口のステップ部分がホーム側に約10度傾斜している。
東京メトロ車両部設計課の荻野智久課長は、「一日の始まりに颯爽とこの電車が入ってきたとき、何か雰囲気が違うなと(思ってほしい)」と利用者に向けてPRした。
半蔵門線では現在、8000系が19編成と08系が6編成が運行中。18000系は8月に1編成がデビューし、今年度は4編成が投入される計画。最終的には2025年度までに全19編成が投入され、8000系を全て置き換える。なお、08系については機器更新の計画があり、今後も継続して運用する方針だという。
▲(奥2番目から)8000系、08系と異なる藤色の識別帯を配した18000系
▲ベビーカーや車椅子の乗降を想定し、フリースペース部のドアレールに施された切り欠き
▲相互直通運転する他社の車両と機器配置を共通化した運転台。モニターは左がメーター用、真ん中がTIS(機器監視・制御)用、右はモニター故障時のバックアップ用