ANAの767-300BCF「JA8323」が離日 JA8000番台機、残り1機に
さよならANAの737-700 ラストフライトは機長の故郷から
全日本空輸(ANA)のボーイング737-700型機がきょう6月27日、岡山発東京/羽田行きのNH654便をもってラストフライトを迎えた。羽田空港の展望デッキには多くの航空ファンが集まり、同型機の最後の活躍を見届けた。
ボーイング737-700型機は、ボーイング777型機の設計を採り入れるなど、従来の737シリーズから大幅な設計変更が加えられた機材で、737ネクストジェネレーション(NG)と呼ばれる。ANAでは2005年12月に運航を開始し、全18機を導入。初号機(機体記号:JA01AN)と2号機(JA02AN)には金色の塗装が施され、「ゴールドジェット」と呼ばれた。10号機(JA10AN)と13号機(JA13AN)は長距離型の737-700ERで、「ANA BusinessJet」としてビジネスクラスを中心としたシート配列になっていた。
その後、他社への移籍や退役が進み、今年4月時点で3機が残るのみとなっていたが、それらも6月での退役が決定。5月上旬からはJA05AN、JA06ANの2機の機種部分に退役記念ステッカーを掲出し、最後の活躍を続けた。JA05ANは6月20日の名古屋/中部発、東京/羽田行きNH86便をもって一足早く退役し、残るはJA06ANのみとなっていた。
運航最終日となった6月27日は東京/羽田〜岡山間を1往復。ラストフライト便は岡山発、東京/羽田行きのNH654便だった。満席となる119人(幼児1人含む)を乗せた同便は、午前9時36分に岡山空港を出発。1時間3分のフライトののち、11時3分に羽田空港のスポット82番に到着した。2006年8月1日に運航を開始し、約15年にわたって活躍したJA06ANの総サイクル数(飛行回数)は22,084回、総飛行時間は33,097.2時間だった。
羽田空港では特製の横断幕を掲げたスタッフが到着を出迎え、パイロットが操縦席から手を振って応えた。最終便に搭乗していた航空ファンらは、手製のメッセージボードやグッズなどとともに、名残惜しそうに機体を撮影していた。
最終便に乗務した大ヶ谷雄一機長は、2018年から737-700型機の乗務を開始。機長認定審査や、家族を乗せた機長昇格後のファーストフライトも共にした思い入れのある機材だったといい、「寂しさを感じるが、皆さまに搭乗していただけてこの飛行機も喜んでいるだろう」と退役を惜しんだ。最終便の出発地となった岡山市は大ヶ谷機長の出身地で、岡山空港には高校時代の友人も駆けつけてくれたという。
羽田空港の展望デッキに集まった多くのファンの姿を見た客室乗務員の一人は、「岡山空港でもデッキや駐車場から多くの方に手を振っていただいた。こじんまりとした飛行機だったが、たくさんの方に愛されていたのだと感じた」と同型機の活躍を労った。