ボーイング、需要予想を引き上げ 20年間で43,500機以上の新造機需要

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ボーイングは、商業、防衛、サービスの3分野で、今後10年間で9兆米ドルの市場規模を予測している。「ボーイング・マーケット・アウトルック」で明らかにした。

民間航空機が回復の兆しをみせているほか、防衛・宇宙・政府サービスの安定によって、2019年には8.7兆米ドル、2020年には8.5兆米ドルの市場規模を予測していたものの、上振れている。

新たな民間航空機市場の予測では、国内市場に次いで、地域間での需要が回復し、2023年から24年には、長距離路線の市場が、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準に戻るとしている。旅客輸送量の伸びは年平均4%を見込んでいる。

民間航空機の需要は、10年間で19,000機、3兆2,000億米ドル規模を予測している。2040年までの20年間の予測では、2020年の発表より約500機増の43,500機以上、7兆2,000億米ドルの新規航空機の需要があり、その中でも貨物機の需要は、新造機、改造機ともに増加を予測している。電子商取引(EC)の拡大や、航空貨物のスピードと信頼性に関連した、持続的な航空貨物の需要を見込み、2040年には新型コロナウイルス感染拡大前の7割増になると予測している。

2040年の世界の民間航空機の機材数は49,000機以上で、中国、欧州、北米、アジア太平洋、その他の新興国でそれぞれ約20%を占める見通し。90席未満のリージョナル機が2,390機、90席以上の単通路機が32,660機、ワイドボディ機が7,670機、貨物機が890機の合わせて43,610機の新規需要を見込んでいる。単通路機は新型コロナウイルス感染拡大前とほぼ同じ、ワイドボディ機は8%減少した。貨物機は2020年の発表より40機少なくなった。

ボーイングのマーク・アレン最高戦略責任者は、「我々の業界が回復し、新たなグローバルなニーズに対応し続ける中で、航空・宇宙の長期的な成長に自信を持っています。科学者が想像以上に迅速にワクチンを提供し、乗客が飛行機の旅に強い信頼を示していることに勇気づけられています」とコメントした。

また、新機材への移行やメンテナンス、部品、サプライチェーン、貨物機への転用、トレーニングなどのといったサービス市場は3兆2,000億米ドル規模で、内訳は商用・ビジネス・一般が1兆7,000億米ドル、政府機関が1兆5,000億米ドルを見込む。防衛・宇宙市場は、昨年の発表と同じ2兆6,000億米ドルとした。

また、民間航空機市場で、パイロット612,000人、保守技術者626,000人、客室乗務員886,000人など、今後20年間で210万人以上の人員の需要も予測している。