CAと東京交響楽団がバイオリン生演奏 JAL、成田で音楽チャーターフライト

日本航空(JAL)は、東京交響楽団の奏者や客室乗務員が空港内や機内でバイオリンの生演奏を披露する成田空港発着のチャーターフライト「音の翼がつなぐ世界」を実施した。

このイベントは、自身も音楽好きというJALの企画担当者が、「音楽と飛行機を掛け合わせた新しい旅を提供したい」と発案したもので、東京交響楽団に打診して実現した。国際線機材を使った約3時間30分の周遊フライトと、東京交響楽団の奏者による空港内や機内でのバイオリン生演奏を組み合わせたイベントで、ジャルパックが販売。抽選で選ばれた127名が参加した。

東京交響楽団から奏者として参加したのは、アシスタント・コンサートマスターの廣岡克隆さんと、バイオリン奏者の土屋杏子さん。まずは「第1幕」として、フライト前の出発エリアでグリエールの「二重奏曲よりNo.5」など3曲を披露した。

周遊フライトは国際線機材のボーイング767-300ER型機(機体記号︰JA618J)を使用し、JL4981便として成田空港を午後3時7分に出発。機内では「第2幕」として、メンデルスゾーンの「歌の翼に」など4曲が演奏された。さらに同便には、通常の客室乗務員に加え、バイオリン演奏歴が長いという吉田裕佳さんと濵田佳奈子さんの2名の客室乗務員が同乗。ビクター・ヤングの「八十日間世界一周」と、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525より第1楽章」の2曲を披露した。

▲機内でバイオリン演奏を披露した濵田佳奈子さん(左)と吉田裕佳さん

客室乗務員の2人にとっては、普段の仕事場が“コンサート会場”に変わったこのイベント。演奏歴21年で、区のオーケストラにも所属しているという吉田さんは出発前、「光栄なこと。音楽チャーターは、(コロナ禍で)航空業界としてできることをJAL社員一人ひとりが考えてできた結果。それが伝わるような一日にしたい」と意気込みを語っていた。

飛行中の機内での生演奏という今までにないイベントのため、見せ方の工夫と安全の確保には苦労があったという。客室内では東京交響楽団と客室乗務員の各2人がそれぞれ3か所に移動し、シートベルトを着用したまま演奏した。機内でのリハーサルができないため、地上では機内を想定した練習が行われたという。吉田さんは、「シートピッチが限られているので、弓を最大まで引くとぶつかってしまう。体の向きを工夫しながら演奏することになると思う」と話していた。

同便は北海道方面に向かい、旭川市上空付近で折り返すルートで周遊して成田空港に帰着した。参加者には、JALの欧州線ファーストクラスで提供されているオリジナルショコラや、国際線ビジネスクラスで提供されている「BEAMS」のアメニティキットが配られた。(機内写真のみJAL提供)

▲出発エリアで東京交響楽団の演奏を聴く参加者

▲出発エリアで東京交響楽団の演奏を聴く参加者

▲フライト前にサプライズでパフォーマンスを披露するJALグランドサービス社員

▲東京交響楽団の奏者と記念撮影する参加者

▲バイオリンを携えて機側に立つ吉田さんと濵田さん

▲周遊フライトの出発を見送るスタッフ

▲周遊フライトの出発を見送るスタッフ

▲機内で演奏を披露する廣岡克隆さん

▲機内で演奏を披露する土屋杏子さん

▲機内で演奏を披露する吉田さん

▲機内で演奏を披露する濵田さん

▲参加者に配られた記念品やプログラム