長期化する東北新幹線不通で、東京〜宮城・岩手間の移動どうする?【コラム】

北海道新幹線

3月16日の地震により、東北新幹線では大きな被害が確認されており、一部区間の不通は長期化する見込みだ。ビジネス・観光ともに往来が激しくなる年度末の時期、どのような選択が最適だろうか。現在の状況をまとめる。

東北新幹線の最新の復旧見込み

東北新幹線で現在運行中の区間は、東京〜那須塩原(栃木県)駅間と、盛岡(岩手県)〜新青森駅間。3月22日から、那須塩原〜郡山(福島県)駅間と、一ノ関(岩手県)〜盛岡駅間で運転再開する。ただ、依然として仙台駅を挟む形で、郡山〜一ノ関駅間の200キロメートル以上が不通のままだ。

東北新幹線全体では約1,000箇所の被害があり、全線復旧は4月20日前後となる見通し。引き続き運転を見合わせる区間のうち、4月2日頃に郡山〜福島駅間、4日頃に仙台〜一ノ関駅間で運転を再開できる見込み。

直通する山形新幹線は、2日頃の郡山〜福島駅間の運転再開により、東京と山形県内の往来ができる見込みだが、秋田新幹線・北海道新幹線の東京駅への直通運転再開は、4月20日頃の東北新幹線全線復旧まで待つ必要がある。

東京〜宮城県内の移動は多様な選択肢

東京・仙台間の直線距離は約300キロメートル。通常、東北新幹線「はやぶさ」では約1時間30分程度で結んでいる。新幹線が不通の状況であっても、鉄道で迂回するか、東北道経由の高速バス、臨時便を含めた航空機で移動することができる。仙台まで向かうことができれば、宮城県内は多くの在来線やバスが運行している。

ANA/JAL

羽田空港と仙台空港を結ぶ航空便を、21日現在、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が臨時便として運行している。所要時間は約1時間で、価格は片道約20,000円。「早期購入割引」などといった航空券の各種割引の適用は制限されている。ただ、多くの日程・便で空席が少なくなっているか、満席となっている。また、臨時便としての設定のため、先の運航日程は決まっていない。運航状況や空席状況は、各航空会社のウェブサイトでこまめにチェックすることをおすすめする。

また、仙台〜山形間は鉄道か高速バスで容易に移動できるため、JALの東京/羽田〜山形線を利用するという選択肢もある。ただ、21日時点で3月中はほとんどの便で満席やキャンセル待ちとなっている。

いなほ E653

東北新幹線が不通となっている区間を、在来線で迂回する片道で移動することができる。22日から東北新幹線の那須塩原〜郡山駅間で運転を再開するのに合わせ、当初郡山〜仙台駅間で在来線の臨時快速を運転する予定であった。在来線で設備損傷が見つかったため、22日は終日福島〜藤田駅間で運転を見合わせることにしていて、東北新幹線と在来線の東北線による東京〜仙台駅間の移動はできない見込みだ。

ただ、23日以降、予定された臨時快速が運転されるようになった場合、東京〜郡山駅間は臨時ダイヤの新幹線で約1時間30分、郡山〜仙台駅間は在来線で約2時間。乗継時間をあわせて、約4時間で移動できるようになりそうだ。乗り換えの手間こそあるが、航空機よりはるかに提供座席数が多く、定時性に優れた有用な移動手段となるだろう。また、現在は運休中であるが、24日以降に運転再開予定の、常磐線廻りの特急「ひたち」号では、通常時の所要時間は4時間30分程度であるが、東京〜仙台駅間を乗換なしで移動できる。復旧予定など今後の情報に期待したい。

willer

高速バスは、各社増便して運行している。所要時間の目安は約5〜6時間程度で、運賃は約2,000円から。会社・便によって異なるが、新幹線や航空便よりは安く移動できるはずだ。多くの便を運行しているのはジェイアールバス東北、WILLERで、一部路線では他社と連携して「管理の受委託」を行い、続行便の設定なども行っている。

 一部の便では混み合っているものの、各日空席のある便が、高速バスネット発車オーライネットWILLERのウェブサイトなどで確認できる。

代替交通手段が確保しづらい東京〜盛岡間の移動

東京と盛岡は新幹線で約500キロメートル。東京と仙台の移動に比べて距離が長いため、在来線や高速バスでの移動の場合、1日がかりの移動となる。現在、複数の事業者が夜行便を中心に高速バスを運行しているが、便数は仙台発着に比べて少なく、残り席数が少ないか、満席となっている便も多い。

JALが臨時便を羽田空港といわて花巻空港の間で運航することにしているが、21日現在、臨時便が設定されている26日まで、ほとんどの便で満席となっている。大阪/伊丹〜花巻線は空席がある便が多く、費用を気にしないのであれば、検討の余地があるかもしれない。

いずれにしても、岩手県方面へ移動を検討している場合、東北新幹線の不通で移動が困難になっている。できるだけ早い段階で交通手段の確保をすることをおすすめする。

その他東北各地へは、航空機の活用を

北東北へ新幹線並みの速達性を確保するためには、東北各地へ就航している航空便を利用するのが得策だ。東京との直行便は、ANAとJALが秋田に、ANAが庄内に、JALが青森、三沢、山形に就航している。また、福島県内へは、すでに復旧した新幹線や高速バスを利用できる。東北各地との往来を予定しているのであれば、最新の情報に注意して、よく準備しておきたいところだ。