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「ホヌはもうハワイに行けないのかも」 不安払拭して再就航のA380、思いをANA機長とCAが明かす
全日本空輸(ANA)は、エアバスA380型機「FLYING HONU(フライングホヌ)」を7月1日から東京/成田〜ホノルル線に再投入するのを前に、運航乗務員や客室乗務員によるトークショーを東京・江東区の映画館「ユナイテッド・シネマ豊洲」で開催した。
トークショーに登場したのは、初号機(機体記号:JA381A)の日本へのデリバリーフライトを担当した齋藤機長と、客室乗務員の宮田さん、小木さんの3名。再就航を待ちわびる約400人の参加者を前に、フライングホヌを初めて目の当たりにしたときの印象や、ホノルルでの過ごし方、定期運航再開への期待感などについて語った。
初乗務は「緊張9割、楽しみ1割」
▲A380型機に初搭載されたブレーキシステム「ブレーキ・トゥ・バケイト(BTV)」の性能に感心したという齋藤機長
初めて乗務した際の印象について、ボーイング747型機の乗務経験もあるという齋藤機長は「大きい割には繊細で、操縦系統がよくできていると感じた」という。エアバス機特有のサイドスティックについて触れ、「ちょっと動かすだけで機体がすっと動いてくれる」と特徴を挙げた。
全520席仕様のANAのA380型機では、1機につき約20人の客室乗務員が乗務する。機内サービスの手順も従来機とは異なる面があり、宮田CAは「初乗務の前は緊張9割、楽しみ1割だった」と話す。ミスなく乗務できるかというプレッシャーがあったが、「お客様をお迎えするうちに楽しみという気持ちが増していった」と振り返った。
機内にそびえる階段が印象的だったと話す小木CAは、「2階を担当していたとき、あるCAを探して1階に降りると『さっき後ろに行きましたよ』と言われ、後方に行くと『2階に上がりましたよ』と言われ、追いかけっこのようになってしまったことがある」と2階建ての広い機内ならではの裏話を披露。「機内でたくさんウォーキングできるという意味ではいいところ」と笑わせた。
ホノルル線は睡眠時間の管理が重要
続いてホノルル到着後の過ごし方について問われた3名は揃って、時差に合わせた睡眠時間の管理に気をつけて行動していると回答。フライングホヌが投入されるNH184便は、成田空港を午後8時10分に出発し、ホノルルには現地時間午前8時45分に到着する。日本時間では午前3時45分となるため、体内時計のバランスを取るのが難しいことがよくわかる。
「昼寝すると夜眠れなくなるので、日中は頑張って起きている」と話したのは齋藤機長。「現地のホテルに着くと昼頃になる。眠ってしまわない程度に休み、余力があれば夕方にジョギングすることもある」と体力維持が欠かせないパイロットらしいエピソードを話した。
▲「うっかり夜まで寝てしまうとお店が閉まってしまう」と注意点を話す小木CA
一方、客室乗務員の2名は、ホテルに着いたらまずは2〜3時間程度の睡眠をとってから街に出かけるという。ショッピングが好きだという小木CAは、「アラモアナセンターのスーパーに行き、夜はそこで調達した食べ物をホテルで食べて過ごすのがルーティーン」だという。宮田CAからは「昼寝をせずに外出したことがあり、ショッピングモールで少し座って休もうとしたら、そのままそこで2時間ほど眠ってしまった」という失敗談も挙がった。
「ホヌはもうハワイに行けない?」不安を払い飛ばして再就航へ
2019年5月の初就航から1年足らず、コロナ禍の影響で2020年3月に定期運航から離脱したフライングホヌ。2年間以上に及ぶ長い間、周遊フライトや機内レストランなどのイベントで活躍しながら再就航のときを待っていた。
チャーター便を担当したことが客室乗務員人生で忘れられない思い出の一つになったという宮田CAは、「もうA380はハワイに行けないのではないかと思ってしまうこともあった。再開は感慨深い気持ちでいっぱい」としみじみ。齋藤機長は「チャーターフライトでは必ず『次はホノルル行きのホヌで会いましょう』とアナウンスしていた。いよいよそれが実現する」と声を弾ませた。
▲チャーターフライトでは乗客から応援のメッセージや手紙をもらい、目が潤んだという宮田CA
トークショーの前後には、フライングホヌの組み立て過程から初就航までを記録した映像の上映や、ハワイ州観光局の担当者による現地の状況の紹介、モデルプレーンやオリジナルグッズが賞品のじゃんけん大会も行われ、いよいよ目前に迫った再就航への期待感をさらにかき立てた。
フライングホヌは7月1日から毎週金・土曜の週2日、東京/成田〜ホノルル線のNH183・184便として運航される。同路線への投入は、昨夏のお盆休みに合わせて2往復した2021年8月以来約11か月ぶりだが、定期的な運航に復帰するのは約2年3か月ぶりとなる。ANAは出入国情報などを紹介する特設サイトを開設し、利用者の利便性向上を図っている。