市場価格から予想する、10~11月発券分「燃油サーチャージ予報」 次回値上げも不可避でいくらになる?【コラム】

ANA JAL 羽田

燃油サーチャージの上昇が止まらない。日本航空(JAL)を例に見てみると、欧米往復の場合、2月から3月発券分は35,000円、4月から5月発券分は40,400円、6月から7月発券分は大幅に上昇し73,600円、8月から9月発券分は94,000円となった。

旅行者目線で見れば、ただでさえも海外の物価高や円安を理由に、海外旅行に行くハードルが高くなっているなかでの上昇で、”踏んだり蹴ったり”という言葉がこれ以上に相応しい状況はないだろう。そして、現在、原油価格は多少下落したものの、強烈な円安は収まる様子がない。高額なサーチャージはまだ続きそうだ。

そのような状況を踏まえ、このコラムでは、7月21日現在の、10月から11月発券分「燃油サーチャージ予報」をお伝えしたい。先の旅行計画に役立てば幸いである。

そもそも燃油サーチャージの算出方法とは?

JAL 燃油サーチャージ 説明

JALのウェブサイトを参照すると、算出方法について色々書いてあるが、まとめると、まず、航空燃油(シンガポールケロシン)の2ヶ月間の平均を、1バレルあたりで円換算した価格の高低で、燃油サーチャージ額を決定する。ただし1バレルあたり6,000円を下回った場合は、”燃油価格の高騰を転嫁する”という、燃油サーチャージの考えを適用する必要がないので、燃油サーチャージは0円となるということだ。なお、全日本空輸(ANA)の場合でも同様である。

燃油 ゾーン JAL

そして、先述の「1バレルあたりで円換算した価格」に対応する、「ゾーン」というものが、旅行先ごとに設定されている。例えば、画像の日本~北米・欧州・中東・オセアニア間では、円換算価格が6,000円以上7,000円未満(ゾーンA)なら、燃油サーチャージは4,500円になる。

以上から何が分かるかというと、求めたい発券期間に適用される、シンガポールケロシンと、ドル円の2ヶ月平均値さえ分かれば、1バレルあたりで円換算した価格が分かり、ゾーンが判明するため、ある程度、個人でも燃油サーチャージの予測は可能ということだ。

シンガポールケロシン・ドル/円の2か月平均を算出する

今回予測する10月から11月発券分は、6月から7月の、シンガポールケロシンと為替レートの2か月平均値を基に、8月中旬から下旬頃に発表される。

まず、シンガポールケロシンの価格は、国際航空運送協会(IATA)のウェブサイトで、おおよそ1週間に1回、公表されている。画像形式で情報が提供され、市場ごとの価格や、市場が占めている割合などが示される。

IATA Jet Fuel Price Monitor

「Asia & Oceania」の市場価格を引用すると、全て単位はドル/バレルで、過去のデータも含め、6月3日に162.36、10日に171.14、17日に175.66、24日に164.76、7月1日に153.59、7月8日に138.38、15日に134.71であった。

7月15日の1週間後と2週間後は、まだ相場状況が分からないため、同じ状況が続いたとして、134.71と仮置きしておく。この条件下で、6月から7月の、シンガポールケロシンの2ヶ月平均は152.22となる。

一方で、ドル円の平均値算出は極めて容易で、セントラル短資FXがウェブサイトで公開している、日足のCSVデータをダウンロードのうえ、6月1日から7月21日までの終値を引用し、それ以降は21日と同水準で推移したと仮定し、平均値を算出した。結果、数値は135.61(円/ドル)となった。

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