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津山線に登場したピンク色の国鉄型 キハ40「SAKU美SAKU楽」で岡山を縦断してきた
7月から始まった大型観光プロモーション「岡山デスティネーションキャンペーン」に合わせて、JR西日本の新たな観光列車「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」がデビューした。
津山線の岡山〜津山駅間を走るこの列車は、全国的には徐々に数を減らしているキハ40系(キハ40-2049)がベース。ボックスシートとロングシートを組み合わせた種車の座席配置はそのままに、床面やシートモケットを茶色や緑色基調のデザインにして、岡山県北地域の山や森の自然をイメージした。車内で食事を提供するため、各座席に大型のテーブルが用意されている。
外観は淡いピンク色の全面塗装に、四季折々の花びらを彷彿させる文様をラッピングした。花びらが旅人を包み込み、沿線の町や人、観光地を華やかにしたいという思いが込められている。「SAKU美SAKU楽」という列車名は公募で選ばれたもので、「美しさや楽しさを『作』る、笑顔・や花が『咲く』、その地の美しさや楽しさを探し求める『索』」という3つの“SAKU”にちなんでいる。
▲車齢42年にして華やかに生まれ変わったキハ40-2049。車内の銘板には「SAKU美SAKU楽」のロゴが誇らしげ
運転日は9月末までの金〜月曜で、金〜日曜は臨時列車として単独運行。月曜日は定期列車の快速「ことぶき」に連結して運転され、各日とも岡山〜津山駅間を2往復する。各列車では地元の食材を使った弁当やスイーツを全ての乗客に提供するほか、客室に乗務するアテンダントが沿線の観光地をアナウンスで紹介する。
今回乗車したのは、臨時列車として運転される「SAKU美SAKU楽1号」。津山駅を午後0時52分に出発し、午後2時12分に岡山駅に到着する1時間20分の旅だ。
津山駅は姫新線と津山線が交わる岡山県北エリアの要衝。鉄道ファンにとっては、扇形車庫と転車台が残る「津山まなびの鉄道館」で有名だろう。実は津山市はロックユニット「B’z」のボーカル、稲葉浩志さんの出身地で、7月からは津山駅の接近メロディに同ユニットの楽曲「Easy Come, Easy Go!」が採用されている。
そんな津山駅のホームに入線してきた「SAKU美SAKU楽」の車内は、ピンク色でファンシーな印象の外観とは打って変わり、シックで落ち着いた雰囲気。天井の扇風機などのキハ40系らしい設備はそのままだ。
ドア付近と客室を仕切るカラフルなのれんは、「のれんの町」として知られる真庭市勝山でつくられたもの。
また、車内には建部町出身の水彩画家・おかだ美保さんが描いた津山線の沿線スポットを紹介するポスターが飾られている。
津山駅を出発すると早速、アテンダントが弁当を持ってきてくれた。「SAKU美SAKU楽1号」で提供されるのは、ミシュラン1つ星を獲得した地元のイタリアンシェフが監修する「岡山県北イロドリちらし」。ローストビーフをメインに岡山県の素材にこだわった弁当で、その名の通り、彩り豊かな食材が箱いっぱいに敷き詰められている。ちなみに、この他の列車では曜日・時間帯によって、ホテルグランヴィア岡山監修の「岡山美作かえし寿司」や、ミニタルトなどが入った「岡山のスイーツセット」などが提供される。
▲駅舎自体が亀の形をしている世にも奇妙な亀甲駅。沿線の美咲町は卵かけご飯が名物
「SAKU美SAKU楽1号」は終点の岡山駅まで途中乗車・降車ができないが、途中の亀甲駅と弓削駅では地元のスイーツの搭載のために停車する。亀甲駅では地元の美咲町出身の料理研究家・makoさんが監修したバターサンド、弓削駅では特産のユズを使ったミルクセーキが積み込まれ、乗客に振る舞われた。
▲車内で配られる品も列車により異なるため、気になる方はJR西日本のサイト等で要チェック
▲旅の終盤にはオリジナルグッズの車内販売も。キーホルダーやレプリカサボなどが揃う
車窓風景を眺めながら弁当やスイーツを楽しんでいると、それまで緑の多かった車窓は街中の景色に変わっていた。終点の岡山駅はもう目前。あっという間の旅路だった。
「SAKU美SAKU楽」は現在のところ9月30日まで運行が決まっており、乗車の際は7日前までに旅行会社や旅行アプリ「setowa」で予約する必要がある。駅窓口やe5489などでの取り扱いはないので、旅行の予定が決まったら早めに予約しておこう。なお、JR西日本によると、10月以降の運用については調整中で、まもなく発表する予定とのことだ。(取材時は途中駅でも特別に下車して撮影しています)