JR東海の奈良キャンペーンは「うましうるわし」から「いざいざ」になって何が変わったのか

最近、東海道新幹線の駅で俳優の鈴木亮平さんを見かける機会が増えた。といってもご本人ではなく、どこかの街を旅する鈴木さんがキービジュアルに据えられたポスターのことである。筆者がよく利用する品川駅の新幹線コンコースにも、見返り美人図のような鈴木さんの広告がでかでかと掲出されている。

これはJR東海が2022年5月に開始した奈良観光キャンペーン「いざいざ奈良」の宣伝展開の一つ。同社の奈良キャンペーンといえば、2005年から展開されていた「うまし うるわし 奈良」が印象に残っている人も多いだろう。「いざいざ奈良」はその「うまし〜」をリニューアルする形で始まったものだが、同社はなぜここにきてキャンペーン刷新に踏み切ったのだろうか。

▲「いざいざ奈良」春日大社・高畑編の広告キービジュアル

その理由をJR東海の担当者は「以前のキャンペーンよりもターゲット層を広げ、奈良の楽しさをより広く伝えようと考えました」と説明する。「うまし〜」キャンペーンは神社仏閣を中心に取り上げていたため、どうしても20代〜40代への訴求力が弱く、結果的にシニア層がメインターゲットになっていたという。

そこで、幅広い世代に奈良に足を運んでもらうべく、SNS映えを意識してグルメスポットやお土産品にもフォーカスする方針に転換。それまでの宣伝展開ではキービジュアルに神社仏閣を持ってきていたが、「いざいざ奈良」では鈴木さんをイメージキャラクターに起用した。奈良の旅をより身近に感じてもらうべく、鈴木さんが旅人となって各地を巡るストーリーのCMやポスターが制作されている。

初回は東大寺・ならまちエリアを取り上げ、2022年9月からは「吉野編」を開始。そして現在展開しているのは、今年3月24日から始まった第三弾の「春日大社・高畑編」だ。

「いざいざ奈良」は「うまし〜」からどのように変わったのか、春日大社・高畑編のCMで取り上げられている主なスポットを中心に巡って確かめてきた。

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