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ANAと川崎重工、航空機廃材でキーホルダーや名刺入れ 高額商品も初回分は即日完売
全日本空輸(ANA)は、航空機の部品製造を手掛ける川崎重工業と共同で、通常は廃棄される航空機のエンジンブレードの廃材などをアップサイクルしたオリジナル商品を開発した。ANAのECサイト「ANA Mall」で、7月20日から販売している。
商品はエンジンブレードオブジェ(税込46,200円)、エンジンブレードキーホルダー(同9,900円)、パスケース(同11,000円)、名刺入れ(同15,400円)、タブレットスタンド(同8,800円)の5種類。
エンジンブレードオブジェは、787型機に搭載されるロールスロイス製エンジン「Trent1000」のタービンブレードの廃材を加工したもの。コーティングの色や熱で焼けた風合いが個体ごとに異なる一点物になっている。台座は767型機の胴体部に使用されているジュラルミンの端材を使用した。
エンジンブレードキーホルダーは、ANAが運航する737-800型機のエンジン「CFM56」エンジンのタービンブレードの端材を活用。機体記号と使用時間が記された情報カードが付く。
パスケースは縦型と横型の2種類。767型機の端材と航空機製造用のリベットを活用して製作した。
名刺入れも767・777型機の端材と航空機製造用のリベットを活用したもの。可動式の蓋の部分はランディングギアの操作レバーを、中心部の楕円は客室の窓をイメージしている。
航空写真家のルーク・オザワ氏が撮影した767型機の写真を使ったタブレットスタンドは、羽田空港版と伊丹空港版の2種類。脚部は767型機の廃材から切り出し、それぞれの空港の滑走路をイメージしたレーザー彫刻を施した。
ボーイングとの協業で767型機・777型機・787型機の胴体パネル等の製造を担当している川崎重工業が、一般消費者向けの商品を開発・製造するのは初めてだという。同社航空宇宙システムカンパニーの宮澤康弘さんは、「アップサイクルを通じて航空機製造業について知っていただく機会になれば」と狙いを話す。
▲川崎重工業航空宇宙システムカンパニー 宮澤康弘さん(左)、ANA整備センター部品事業室 碇浩司さん
各商品のデザインは川崎重工業のエンジニアが考え、同社の協力会社として金属加工を手掛ける天龍エアロコンポーネントとナベヤ製作所が加工を担当。航空機パーツを製造する過程と同様の設備・精度で一つひとつ製造した。企画を発案したANA整備センター部品事業室の碇浩司さんは、「例えば名刺入れは、航空機の外板と同様に空気抵抗が極小化されるようにフラットに加工した。留め具のリベットも、打ち込んだときに表面がフラットになるように設計している」とこだわりのポイントを紹介した。
材料の調達量が限られるため、初回販売分はオブジェが30個、キーホルダーとパスケース(2種)、名刺入れ、タブレットスタンド(2種)が各50個。7月21日時点でほとんどの商品が完売している。ANAによると、秋前には増産体制が整い、追加販売できる見込みだという。