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JAL、機内食容器に障害者のアート作品 CAがコラボ発案
日本航空(JAL)は8月から、障害のあるアーティストが描いた作品を機内食のスリーブ(紙帯)に採用している。12月7日、作品が採用された4名のアーティストが羽田空港に招かれ、機内食の試食会が行われた。
機内食のスリーブに障害者アートを採用する取り組みは、障害のあるアーティストのプロデュースを手掛けるスタートアップのヘラルボニーとの提携によるもの。10名の作品が採用され、中・長距離国際線のプレミアムエコノミークラスとエコノミークラスの機内食で2024年8月まで、路線・期間別に異なるスリーブが登場する。
羽田空港にあるJALの訓練施設で開かれた試食会には、伊賀敢男留さん、衣笠泰介さん、新田恵理さん、高田扶美さんの4名のアーティストと、その家族や関係者が招かれた。伊賀さんは11月から2024年2月までの和食メニュー、衣笠さんは2024年5月までの洋食メニュー、新田さんは9月から11月までのホノルル線メニュー、高田さんは8月から10月までと2024年6月から8月までの洋食メニューのスリーブに作品が採用されている。
試食用の機内食はそれぞれ、アーティスト本人の作品を採用したスリーブを装着して提供。ビジネスクラスのモックアップで客室乗務員から機内食が配られると、4名は嬉しそうにスリーブを見つめたり、写真を撮ったりしていた。試食会後は、近接する展示施設「JAL SKY MUSEUM」や格納庫を見学した。
JALとヘラルボニーの協業を推進しているのは客室乗務員の佐藤妃桜華さんだ。佐藤さんはコロナ禍をきっかけに、異業種パートナーとの事業共創に取り組む社内ベンチャーチーム「W-PIT」に参加。福祉関係とアートに興味があった佐藤さんは動画サイトでヘラルボニーを知り、事業内容に共感して協業を打診したという。
▲試食会に招かれたアーティストと交流する佐藤妃桜華さん(左)
2021年12月に初めての取り組みとして、ボーイング737-800型機のエンジンブレードなどの航空廃材と障害者アートを組み合わせた作品の展示会を羽田空港で実施。2022年1月には三沢空港のターミナル設備にアートを取り入れる取り組みを行った。10月からは業務提携を締結し、障害に対する偏見から生じる社会課題解決への取り組みを進めている。
今後は国際線に導入予定のエアバスA350-1000型機の就航に合わせて、ファーストクラスとビジネスクラスで提供するアメニティやラウンジ内で使用するコーヒーカップなど、航空機を利用する様々な場面にアートを取り入れることで、障害者への理解を啓発・促進する。
佐藤さんは、「ヘラルボニーとJALが協業することで、障害のある人も飛行機を使った旅に出やすくなるのでは」と、取り組みを通じて障害者自身が積極的に社会に出られるようになることを期待する。目標はアートを機体に描くことだといい、「フィンエアーとマリメッコの特別塗装機のようなものが実現できたら」と青写真を描いている。
▲(左から)衣笠泰介さん、伊賀敢男留さん、新田恵理さん、高田扶美さんの作品が採用された機内食のスリーブ
▲障害のある作家のアートをデザインに採用したファーストクラス用アメニティ。エアバスA350-1000型機の就航に合わせて提供を始める
▲障害のある作家のアートをデザインに採用したビジネスクラス用アメニティ。エアバスA350-1000型機の就航に合わせて提供を始める
▲障害のある作家のアートをデザインに採用したコーヒーカップとソーサー。羽田空港の国際線ファーストクラスラウンジ内のJAL's SALONで使用する