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衝撃の「2割」値上げへ 増収増益のJR東日本、”厳しい経営環境”は理解得られるか【コラム】
JR東日本は12月6日、2026年3月の運賃改定を申請したと公表した。今回の運賃改定、利用者によっては2割以上の運賃値上げとなることはあまり知られていない。大幅な値上げは「厳しい経営環境が継続する」として理解を求める一方で、直近のJR東日本の経営状況は増収増益だ。
中でも大きな影響を受けるのは、下図の山手線内や首都圏の「電車特定区間」とされる、利用者の多い区間だ。
なぜ、大きな影響を受けるのか。それは今回の運賃改定が「二重値上げ」となるためだ。
山手線が2割値上げ「二重値上げ」のカラクリ
JRの運賃は基本的に、東海道本線や山陽本線、東北本線や鹿児島本線といった「幹線」とその幹線に接続する「地方交通線」の2種類に分けられる。利用者が多い幹線は、地方交通線に比べて割安な運賃を設定している。
さらに、利用者が多い東京と大阪の近郊は、日本国有鉄道(国鉄)が「国電区間」として、幹線より割安な運賃を設定した。そして、最も利用者が多い、山手線と大阪環状線には、「山手線内」「大阪環状線内」としてさらに安い運賃を設定した。これが国鉄時代から引き継がれた重要な運賃設定の原則であった。
「二重値上げ」に話を戻そう。今回の運賃改定は、幹線の運賃を普通運賃で平均4.4%、通勤定期で7.2%引き上げる。そして、割安な電車特定区間と山手線内を幹線に統合し、実質的に値上げする。これが「二重値上げ」のカラクリだ。
結果、山手線内の引き上げ率は、通勤定期では22.9%、普通運賃や通学定期でもそれぞれ16.4%、16.8%と大きくなる。電車特定区間も値上げ率が大きくなる。
山手線の普通運賃の値上げを見てみると、一例として、東京~新宿駅間が、改定前の大人普通運賃が210円だったのが、260円になる(いずれもきっぷ利用時)。
「50円」。率にして23%の値上げは衝撃的と言わざるを得ない。
JR東日本は「わかりやすい運賃体系」のため、山手線内、電車特定区間を幹線に統合する、と説明しているが、正直、二重値上げの言い訳でしかなく、わかりやすさなど「ありがた迷惑」であることこの上ない。
同社は「今後も厳しい経営環境が継続する見込み」として「鉄道事業の収益確保が厳しさを増す」ため、利用者に理解を求めたいとしている。