キャセイパシフィック航空の新プレミアムエコノミーを体験　大画面モニターとプライバシー強化で過ごしやすく【レポート】

キャセイパシフィック航空が2024年10月に発表した、新ビジネスクラス「Aria Suite（アリア・スイート）」とプレミアムエコノミークラス。ボーイング777-300ER型機で計30機が改修の対象となり、段階的に長距離路線を中心に投入される。

1月中旬まで東京/成田〜香港線に1日1往復、その後は香港〜ロンドン/ヒースロー線に投入されており、空席照会や運航状況画面には「77J」と表記され、空席照会や運航状況などから確認できる。

座席数はビジネスクラス45席、プレミアムエコノミークラス48席、エコノミークラス268席の計361席。ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスはこれまでにより増加している。

個人的には従来のビジネスクラスは割と完成された領域にある、万人が利用しやすい座席だと感じていたし、プレミアムエコノミークラスも日本と香港間なら十分に快適に過ごせる、好きな座席の一つでもあったので、どう進化したのか気になっていた。今回、東京/成田〜香港線を往路はビジネスクラス「アリア・スイート」、復路はプレミアムエコノミークラスに搭乗した。今回は後編をお届けする（前編はこちら、取材協力：キャセイパシフィック航空）

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復路の東京/成田行きは午前10時半に出発する便だったので、ラウンジを巡るため午前7時半に到着。プレミアムエコノミークラスの利用では、キャセイやワンワールドの上級会員しか入室できないが、今回は取材ということで見学させていただいた。

キャセイパシフィック航空は香港国際空港に、「ザ・ウイング」と「ザ・ピア」のファーストクラス・ビジネスクラスラウンジ、「ザ・デッキ」の合わせて5か所のラウンジを擁している。「ザ・ウイング」は改修工事を実施し、コロナ禍に閉鎖した「ザ・ブリッジ」の営業を再開する。

今回訪れたのは「ザ・ピア」で、出国審査からはシャトルに乗って向かう。搭乗ゲートによって最寄りラウンジは異なるが、出国審査に近い場合には「ザ・ウイング」や「ザ・ブリッジ」、遠い場合には「ザ・ピア」がおすすめ。シャトルは一方通行なので、遠いラウンジからは歩いて戻らないといけない。

「ザ・ピア」ファーストクラスラウンジでは、ザ・ダイニングルームでレストラン形式の食事を提供している。ローズウッド香港と提携し、様々なメニューを用意。シグネチャーメニューの「担々麺」も用意している、朝と昼以降でメニューが変わるという。

「ザ・バー」でお酒を楽しんだり、広々としたワークスペース「ザ・ビューロー」で仕事を片付けたり、軽食を用意した「ザ・パントリー」で過ごすのもいい。無料のマッサージやシャワースイートでリフレッシュしたり、8室の仮眠スペースを擁する「ザ・リトリート」で休むこともできる。

全体的に空間を贅沢に使用した印象で、後述するビジネスクラスラウンジと比較すると、ダイニングエリア以外は静かな空間。利用対象者は、ファーストクラス利用者やワンワールド・エメラルド会員に限定されているものの、一度は訪れたい。

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筆者が持つ、JALグローバルクラブ（JGC）資格でも入室が可能な「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジは、利用対象者がファーストクラスラウンジより多いのもあって、賑わっている。その分座席数も多く、様々なエリアに分かれている。

個人的には、「ザ・ヌードルバー」でシグネチャーメニューの「担々麺」や「ワンタン麺」、点心を楽しむのがおすすめだ。キャセイパシフィック航空のために作られた、「ベッツィ・ビール」もお忘れなく。

「フードホール」では、サンドイッチやパン、サラダといった軽食も提供する。エッグタルトもある。昼以降にはピザ窯で焼いた、焼き立てのピザを提供していて人気だというものの、今回は午前のフライトだったので残念ながら食べられず。次回の楽しみにしておきたい。

食後には「ティーハウス」で、高級ティーブランドの「JING Tea」のお茶とともに一息。珈琲派の人は、屋台風の「コーヒー・カート」のスタッフによる淹れたてのイリーのコーヒーを堪能するのもいいだろう。

日本から香港経由でキャセイパシフィック航空を利用する人の大半は、香港もしくは香港乗り継ぎで東南アジアや欧州に向かう人だろう。最低乗り継ぎ時間は50分で、巨大な空港でありながらも設定時間は短いのは利点の一つだ。一方で、香港気分を味わうために、長めの乗り継ぎ時間を確保してラウンジを楽しむというのも良い選択かもしれない。もちろん、14室のシャワールームや仮眠ができるリラクゼーションルームは、長時間の乗り継ぎ時には重宝する。

ラウンジの有料利用ができる「ラウンジ・パス」も提供しているものの、上海/浦東、バンクーバー、東京/羽田、マニラの4空港に限られている。

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余裕をもって空港に到着したつもりが、あっという間に搭乗時刻。

プレミアムエコノミークラスは「2-4-2」配列で、座席数はこれまでの32席もしくは34席から48席に増えた。レカロ・エアクラフト・シーティングのPL3530を採用している。

旧シートは重厚感を感じられたが、クッション性が良くてよく眠れる、疲れないシートで好きだったが、新シートはもうちょっとスマートな感じで、着席すると横幅が若干広く感じた。キャセイパシフィック航空によると、シートピッチやリクライニング角、座席幅もほぼ変更ないという。

モニターは4K対応の最大15.6インチで、鮮明でクリアな印象。Bluetooth接続に対応しており、自身のイヤホンやヘッドフォンを利用できる。機内エンターテインメント「Studio CX」では、ビジネスクラス「アリア・スイート」を紹介した前編では省いたが、「HBO Max」や「Disney+」のオリジナル作品など、3,000時間以上のコンテンツを用意しているという。エアバスA350型機では、「Sport24」によるスポーツ番組のライブ中継も楽しめる。

今回は隣は空席だったが、ヘッドレスト部分に「ウイングレット」と呼ばれる、もたれかかることができる壁のようなものが新設され、プライバシーが確保された。読書灯の「インテリジェントライト」も埋め込まれており、調光もできる。レッグレストとフットレストもあり、のびのび過ごせる。テーブルはアームレストに二つ折りになって収納されている。

AC電源とUSB-A電源がレッグレスト、USB-C電源が肘掛け下にあり、小物も収納できる。ペットボトルホルダーはモニター下、シートポケットや座席下と収納は場所が限られていながらも多い印象。

細かいところでは、トイレがゼロもしくは1か所だったものの、2か所に増加し、プレミアムエコノミークラス専用のトイレとして利用できる。ビジネスクラスと同様にモニターから空き状況が確認できる。

離陸してしばらくすると、機内食の時間。メインはビジネスクラスの選択肢から選べ、前菜などのそれ以外はエコノミークラスと同じものだ。プレミアムエコノミークラスは一般的に、エコノミークラスに寄ったサービス体系であることが多いものの、独立したクラスのようにサービスに差がある。プレミアムエコノミークラスではスパークリングワインのプロセッコも提供している。

復路はエンタメを楽しんでいたので、機内Wi-Fiを利用しなかった。ビジネスクラス以上とキャセイのダイヤモンド会員以外は有料で、所要時間が6時間以内のフライトでは12.95米ドル、メッセージのみでは3.95米ドルと割安だ。

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キャセイパシフィック航空は、日本在住者にもファンやウォッチャーが多いと思う。筆者もその一人で、リージョナルビジネスクラスやマイレージ制度の変更には心底がっかりした。一方で、香港スタイルの適度なおもてなしや、機能性の高い座席、過ごしやすくリラックスできるラウンジ、致死量食べたい担々麺、東アジアナンバーワンの利便性高い空港施設は他に代えがたい。

それだけあって、今回の新プロダクトについてはとても期待していたが、期待を裏切らない、素晴らしいシートだった。多くの機材に導入されることを心待ちにしたい。