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ANA、「国内線航空券タイムセール」を延期
スカンジナビア航空が10月に発表した「100万マイルキャンペーン」は、日本のマイル界隈にも大きなインパクトをもたらした。
スターアライアンスを離脱し、2024年9月1日付でスカイチームに加盟したスカンジナビア航空。この「移籍」に合わせて、スカイチームのうち、15社以上に搭乗するとSASのマイレージプログラム、ユーロボーナスの100万ポイントを「全員」に提供するというものだった。
1990年代後半から2000年ごろまで、こうしたアライアンスのキャンペーンが頻繁に行われていた。その中でも2000年に実施された中南米の航空会社による「ラテンパス」の100万マイルキャンペーンは、クリアする条件にレンタカーがあったが、運転できない参加者が車を借りに来て、乗らずにそのまま返す(笑)、などさまざまな伝説が生まれた。
21世紀に入るとこうした狂騒曲もまったくといってよいほど聞かれなくなってしまった。航空会社も緻密にソロバンをはじき、こうした「お祭り」はペイしないと判断するようになったのだろうと考えていた。
それだけに今回のスカンジナビア航空のキャンペーンは想定外だったといってよい。筆者ももちろん参加したが、9日間で計25フライト、この間ベッドで寝られたのはわずか7時間という極めて過酷なものだった。
この規格外のキャンペーン、果たして世界中で何人くらい参加し、100万ポイントを獲得したのだろうか。
・42,718人がキャンペーンに登録した
・940人あまりがすでに100万ポイントを獲得している
・獲得者は33の国籍で平均年齢は40歳、最年少は4歳、最年長は73歳だった
・7割が男性、3割が女性
・平均訪問大陸は4大陸、平均訪問国は17か国、平均訪問空港数は23空港
・ほとんどの人がスカンジナビア航空を利用
・すべての人が中国を訪問
・全フライトの92%がエコノミークラス
・最も古い会員は1992年5月に入会
さて、どの国の人が100万ポイントを獲得したのだろうか。
マイレージ王国であるアメリカが最も多いのは納得だが、日本も2位と健闘した。そして、韓国、中国と東アジアの国が続く。日中韓そして台湾で獲得者の半数近くを占めるという、東アジア人が突出して強いキャンペーンとなった(なお、当初北朝鮮が54名と発表されたが、その後訂正されている)。
たしかに、スカイチームの加盟航空会社はアジアとヨーロッパに多いので、この両地域に在住しているとやや有利(オセアニア在住の人はかわいそうだ)だが、それ以外は世界中で公平なキャンペーンだったはず。さらにこれらの地域の人は他の地域の人と比べて長期休暇がとりづらいはずで、その意味でも優位性はないと思われた。
こうしたことよりも、キャンペーンの情報がどれだけ拡散したのかという点が少なからず影響しているのかもしれない。日本でもキャンペーン開始後すぐにトライシーで記事が発表されたし、XやYouTubeなどでもこのキャンペーンの情報を発信する人が得だった。
フライヤートークなど、英語圏の情報をメインに接していると、アメリカがとにかく強いという印象を受けるが、実態は必ずしもそうでない。マイルの世界の勢力図を明らかにするという意味でも興味深いキャンペーンだったといえる。
なお、筆者は1月初旬に、東洋経済オンラインで「日本人だけで100名以上は参加しているのではないだろうか。世界全体なら数千人に及ぶだろう。」と予想した。これは、以遠権フライトで、多くのキャンペーン参加者が利用したケニア航空のバンコク〜広州間のフライトに乗る人の数やXでの発信者数などから類推したものだ。それよりはやや少ないが、まだ筆者も含めて未積算の人(筆者も2月7日時点でいまだに12月半ばに搭乗したチャイナエアラインが積算されていない)が相当数残っていることを考慮すると、さほど大きくは変わらないかもしれない。
筆者が2月初旬にSASのスタッフとチャットでやりとりした際、「この件に関して影響を受けた顧客が10万人を超えた」といわれた。実際にマイル事後積算の通し番号はこの1か月半で10万ほど数が増えている。11月のフライトが2月にようやく積算されるという現状なので、完全な人数が把握できるまではもうしばらく時間がかかりそうだ。