30000機以上が必要 エアバス、今後20年の新造機市場を予測

エアバスA350 XWB

エアバス、今後20年の最新航空機市場予測を発表 © Toshio Tajiri/Flight Liner=14年11月

 エアバスが発表した最新の航空機市場予測(2015年-2034年)「グローバル・マーケット・フォーカスト(GMF)」によると、今後20年間で航空輸送量は年間平均4.6%ずつ増加し、約32,600機の新造旅客機(100座席以上)および貨物機(10トン以上)が必要になる見通しです。

 新造機内訳は旅客機が3万1800機、貨物機が800機。これは金額にすると、4兆9,000億米ドルになります。現在世界中で運航されている1万9000機の航空機が2034年までに2倍以上に増加し、3万8500機となることが予測されます。また、約1万3100機の経年機が、より燃費効率の良い航空機に入れ替えられると予測しています。

 現在、新興経済地域における人口の25%が、年に1回空の旅を行っており、2034年までには急増し74%になると予測されます。北米など先進経済国における空の旅の数は年2回を超える見込みです。

エアバスA350 XWB,A350-900

エアバス最新鋭機A350 XWB © Toshio Tajiri/Flight Liner=14年11月

 エアバスA330やA350 XWBなどの広胴型市場では、長距離路線や幅広い地域路線、国内路線市場において機体サイズが大きくなる傾向が続くことが予測されます。これにより、エアバスは今後20年間で約9,600機の広胴型旅客機と貨物機が必要になると予測しています。金額にすると、およそ2兆7,000億米ドル。

 新造航空機の引き渡し総数の30%、金額で55%を占めることになります。エアバスは200席から500席を装備するA330、A350、A380といった最先端の製品を幅広く取り揃えており、広胴型機市場における需要に対応します。

 単通路型機市場では、日本のLCC(格安航空会社)が主に使用するA320ファミリーのほか、最新のA320neoファミリーが世界市場を牽引しています。

ジェットスター・ジャパン

日本のLCCが主に使用するエアバスA320型機 © Toshio Tajiri/Flight Liner=15年2月

 エアバスの予測によると、今後20年間で約2万3000機の単通路型新造機の需要がある見通しです。金額にすると2兆2,000億米ドル。前回の予測から約1,000機増加し、新造機需要全体の70%、金額で45%を占めます。

 航空輸送量の増加によって航空会社はより大きなサイズの航空機を選定するか、すでに発注済みの機体を大きなサイズの機体へと変更し、航空機のサイズは1980年代から46%大きくなっています。

 エアバスは、A380のような大型機はロードファクターを高めることが可能で、限られた空港の発着枠を最大限効率的に活用し、便数を増加させることなく旅客数の増加に対応すると説明しています。また、航空機は持続可能な成長を目指し、過去40年間で燃費と騒音を70%削減するなど、環境にも貢献しています。

 エアバスは今後も引き続き、最新エンジンを搭載したA320neoや、A330neo、A380、A350 XWBのような革新技術を採用した航空機によって持続可能な航空輸送の実現に取り組む考えです。