JR北海道、利用者少ない路線や駅を廃止する意向表明 維持路線の運賃も値上げ

JR北海道

JR北海道は、利用者が少ない路線や駅の廃止や運賃の値上げなどの抜本的な事業見直しを表明した。

秋までにJR北海道単独での路線維持が困難である路線を示す考え。バス輸送のほうが効率的で適している場合はバスへの切り替えを自治体に提案する見込み。単独での路線維持が可能な路線も運賃の値上げを行うことで、事業維持を図る。

JR北海道は発表した資料で、鉄道は大量輸送・高速輸送に優れているとして、札幌〜新千歳空港駅間では1日約43,320人を鉄道が運んでおり、バスと比較して運行便数は3分の1、輸送力は6倍、所要時間は半分であることを強調。一方で、輸送量が少ない路線はバスなど鉄道以外のほうが、利便性や効率性に優れているとした。旧江差線では、代替バスを病院や高校まで延伸するなど、ニーズに応じてバス停を設置している。

現在、JR北海道全線では、収入を100とした場合、施設の維持や修繕、運行費用などの支出が154に達している。道内のバス会社全路線では111と圧倒的に少ないという。また、輸送力別にみると、JR北海道の路線のうち、輸送密度が500人級では594、2,000人級では246、4,000人級では130だった。輸送密度が500人級では運行コストそのものが賄えず、2,000人級では運行コストと車両の維持コストの一部しか賄えない。これは、バス会社は車両のみを所有して運行を行えばいいものの、鉄道会社は駅や信号、トンネルなどの設備維持や除雪作業などを行う必要や土地を保有する必要があり、コスト高だという。JR北海道では、土地や設備を地元自治体が保有し、運行のみJR北海道が行う上下分離方式などの提案も視野に入れる。

JR北海道は発足時に、輸送密度が1日4,000人以下の路線を全て廃止。発足時点で年間500億円の巨額赤字が見込まれたことから、6,822億円の経営安定化基金が設置され、当時の金利である7.3%の利回りで運用した場合、1%の経常利益が出るように設定されたという。現在の運用益は半分以下となっている。

現在は高速道路網が発達し、無料化路線も増加。人口も札幌圏を含む石狩エリアを除いて減少している。早期退職制度などで人件費を圧縮しているほか、本来は増やすべきである修繕費も削減しているという。全路線のうち、21のトンネルと1割の橋梁が100年以上使用しているという。