ANAグループ、「ANAにキュン! BLACK FRIDAY!」を開催
【コラム】なぜ、ホテルのフロントは2階にあることが多いのか?
ビジネスホテルなどで2階以上にフロントがある場合、1階からエレベーターで直接客室へアクセスできるというのは、都合のいいという人!?もいらっしゃるのでしょうが、宿泊利用者としては防犯上不安な要素となる。
その対策として、エレベータのボタンを押さずとも、一度フロント階で停止する設定をしている場合もありますが、あれはあれでイライラさせられることも多いとなる。
これが真相!というべき、全ホテルに共通する絶対的理由というものはありませんが、個別の形態により、様々な理由があります。1階には商業施設が入る、ということは一番の積極的な理由ですが、パターン別にもう少し掘り下げたいと思う。
複合施設にあるホテル
都心部の複合施設内、あるいは複合施設に隣接しているホテルの場合ですと、ホテル部分自体がビル所有者からホテル会社へ賃貸されていることが多く、1階にフロントを置く権限自体がホテル側になく、結果フロントは上階ということになる。
地方のビジネスホテル
地方では大地主が土地の有効活用を考えていることも多く、安定性のある事業を営みたいという観点で、当初ビル計画を考えていたところ、1階や2階のテナントは埋まりそうだが、3階以上の高層階部分が埋まりそうにない、結果、ビジネスホテルの経営というパターンがあります。
この場合は、1階または2階にはテナントが入ることになり、ホテルフロントは2階、3階以上ということになる。
ターミナル周辺のホテル
特に都市圏になりますが、鉄道の高架によりペデストリアンデッキを設ける駅ターミナルに隣接するホテルの場合、2階にフロント・ロビーを設けるケースががあります。
この場合は、ペデストリアンデッキから、直にフロントへアクセスできる利便性により2階にフロントが設けられます。
1階に駐車場を設けているホテル
ピロティ方式の、いわゆる建物を高い位置に支え、通常の1階に相当する地上面の全部または一部を駐車場部分として開けてつくってあるホテルの場合、駐車場部分は延べ床面積の5分の1以下であれば、基本的には容積率に算入されないので、同じ規模のホテルにしつつ、特に低層階は利用者には不人気であるところ、2階にフロントを設け、3階以上を客室にするケースがあります。
ゲストの分散とエレベータの効率的稼働
1階に飲食施設、2階にフロント、ロビー、飲食施設、3階以上に客室を設けているようなホテルであれば、1階から2階フロントまでのエスカレータや階段による移動手段と、フロント、ロビーから客室階へのエレベータでの移動手段を分散させることにより、チェックアウト時などにエレベータ混雑を緩和させる効果もあります。
たとえば1階にフロントロビー、上階に客室や飲食施設が混在しているホテルの場合、宿泊客と単なる施設利用のゲストが混在しているので、エレベータが来ないといった苦情もあります。特にビジネスホテルでは、複数のエレベータの設置・維持は予算的に厳しいので、少ないエレベータによる効率的な稼働が重要となる。
街の喧噪を切り離す
フロント、ロビーを上階においた方が、街の喧噪から切り離されるので落ち着いた空間になるということがあります。特に幹線道路や繁華街に面しているホテルの場合、ホテルの空間、ゲストのプライバシー性を確保する点からも有効な方法となる。
また、ホテルの顔であもあるフロントロビーの雰囲気作りがしやすいということもあるでしょう。
横浜山下公園前の伝統的ホテル、ホテルニューグランドは約80年前の開業当初、フロント・ロビーが2階にありましたが、そこからは海が眺められたそうとなる。