たった1機の”親子イルカ”「みぞか号」を乗り倒す旅 天草エアライン「パラダイス運賃」搭乗レポート(その2)

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その1から続く

福岡空港と天草空港間のフライト時間は、わずか30分。福岡空港を離陸すると、福岡市、大牟田市、天草五橋などを低い高度でフライトするため、飽きることがない。わずか35分の空中散歩。カメラ片手に窓側に座ることをおすすめしたい。

山の山頂近くに切り拓かれた天草空港には定刻で到着。小柄な機体は、滑るようにターミナル、いや、小屋のような建物の横にぴったりと停止した。

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迎えてくれたのは、天草エアラインの奥島透社長と、パラダイス山元氏。

翌日は、パラダイス山元氏、航空・旅行アナリストで、宝島社新書から好評発売中の「エアラインの攻防」の著者、鳥海高太朗氏とともに、初の天草エアライン10レグにチャレンジする。

天草エアラインの2012年度(2012年4月〜2013年3月)の平均搭乗率は、大阪/伊丹線が62.8%、福岡線が52.6%と約5〜6割。毎年、冬場は乗客が少ないシーズンで、その中でも特に平日は空席が多いという。

パラダイス山元氏は、航空会社の座席販売について、「39席ある座席をきっちりと埋めるパズルのようなもの」と語る。

航空会社としては、空席のままで運航するよりも、1席でも多く埋まったほうが収益が増える。空席である見込みが高い座席を、「パラダイス運賃」として販売することで、ファンには激安で遊び心のある運賃を提供でき、航空会社としては少しでも収益になるという構造だ。

天草エアラインの奥島透社長は、「収入よりも『こんなことをしている航空会社があるのか』ということが航空ファンのみならず、巷の人達の記憶に残ることで、天草エアラインや天草の知名度が広がればいいと考えている」という。

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午前7時30分過ぎ、天草空港で、最初の福岡往復の搭乗手続きを行う。同行者は取材目的で訪れている人が多く、軽く挨拶をする。このまま午後7時30分の天草到着まで、11時間以上にわたって同じフライトに乗り続けることになる。

搭乗手続きの際には、「誓約書」に署名しなければならない。途中で離脱した場合、搭乗した区間の普通運賃を徴収するとのこと。仮に9レグ目で離脱した場合、1〜9レグまでの大人普通運賃、113,000円を支払わなくてはいけないので、なんとしても、乗り通さねばいけない。

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心配なのは天気。九州地方は低気圧の接近で、午後から雨風が強くなるという予報。

奥島社長は「大丈夫でしょう」と送り出してくれたものの、無事に乗り通せるかどうかということも含めて、心配は尽きない。

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まずは、1レグ目の天草〜福岡線。

月曜日の朝ということもあり、ビジネスマンが多いのかなと思っていたところ、普段着の地元の人が多く見られる。日帰りで福岡へという人もいるようだ。なぜ分かったかというと、10レグ目でも同じ人を見かけたから…であるが。

天草と福岡の間は、陸路の場合はルートによるが、3〜4時間ほどかかる。飛行機だとフライト時間はわずか35分で、搭乗手続きなどの時間や、空港から市内への交通を考えても1時間半以下にグッと短縮される。陸路での日帰りは容易ではないものの、飛行機を使うことで日帰りも楽だ。買い物やちょっとした用事でも、気軽に移動できるメリットは計り知れない。天草エアラインは、まさに、地元市民の”足”となっていると言える。

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キャビンアテンダント(CA)の西島さんは、5人在籍している天草エアラインのCA中では一番の新人。しかし、多くの顔見知りの乗客を見つけて声を掛けるなど、すっかり天草エアライン、そして天草の”顔”だ。

CAは、6レグと4レグで違う方になるとのこと。もちろんパイロットもである。

つまり、今日、この”親子イルカ”には、搭乗手続きの際に配布され、パラダイス山元氏ですら「必ず付けてください」とゴリ押しされた、パラダイス山元氏の顔入り「10レグチャレンジ」バッジ付きの人以外、誰も乗り通すことはない。

福岡空港へは、ほぼ定刻で到着。すぐに飛行機を下りて、到着客と同じ方向に向かう。違うのは、到着ロビーには出ず、途中で係員のもとに集まって、再度出発ロビーに向かうというところ。

空港の出発ロビーといえば、楽しみは売店くらい。朝食を食べて1時間足らずなので、機内で楽しめそうな軽食をチェックし、トイレを済ませるとすぐに搭乗時刻になる。

つづく

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