航空機が安全であることを証明する耐空証明とは?【コラム】

国土交通省

国土交通省は7月20日、日本貨物航空に対して航空法に基づく事業改善命令と業務改善命令を行い、連続式耐空証明を取り消した。

また、ANAは、耐空性改善通報による技術指示を受け、ボーイング787型機の点検整備を行っており、その影響で国内線の一部に欠航便が発生している。本記事では耐空証明とそれに関係する連続式耐空証明と耐空性改善通報について説明する。

耐空証明

耐空証明とは、国土交通省が航空機の安全性を証明する事となる。下記の基準について検査し、基準に適合すれば耐空証明書を交付して証明を行う。航空機1機ごとに耐空証明書を備え付けることが航空法で義務付けられている。

・航空機の強度、構造及び性能
・航空機の種類、最大離陸重量の範囲
・航空機の騒音
・エンジンの種類や出力の範囲、排出物

型式証明検査や輸出耐空証明書の有無で検査の内容が異なるが、発行までのプロセスは以下のとおりとなる。

耐空証明の有効期限は1年間で、毎年更新しなければいけない。

連続式耐空証明

連続式耐空証明とは、前項で説明した耐空証明の有効期限を1年より延長するものだ。有効期限は航空会社ごとに定められた整備規程の適用を受けている間となる。

全ての航空会社の航空機が連続式耐空証明を取得しているわけではない。連続式耐空証明を取得していない航空機は毎年検査を行い、検査期間中の4〜5日間は旅客便として航空機を使用できなくなる。飛行検査を実施すれば当然燃料費や人件費が発生する。また、天候によっては飛行検査が実施できない可能性もあり、航空機を使用できない期間が拡大する可能性もある。ピーチが最速で連続式耐空証明を取得したが、コストカットの面で非常に重要な出来事だった。

連続式耐空証明の取得によって1年ごとの耐空証明検査は不要となるものの、当然航空機の安全を確保する仕組みはしっかり担保されている。連続式耐空証明は、整備体制を一定水準に維持し、整備規程に従って整備がなされており、国土交通省による指導・監督、監視の下、継続して安全性が確保されていると認められた場合に交付される。

耐空性改善通報

耐空性改善通報とは、航空機に不具合が起きる可能性があり、安全性を確保するための整備作業が必要な場合に国土交通省より発行される。この通報には法的拘束力があり、耐空証明が有効であっても整備作業を実施しなければならない。

ボーイング787が日本国内線に就航し、リチウムイオンバッテリーの不具合が発生した時、耐空性改善通報が発行されて当該機は運航停止となった。また、2018年4月17日にサウスウエスト航空機のエンジンが上空で爆発した事故についても調査の結果、このような事象を防ぐための耐空性改善通報が発行されている。

初飛行から50年経過したボーイング737に対して今でも耐空性改善通報が発行されている。不具合防止のため発行されることもあれば、前述したサウスウエストの事故のように犠牲者が出て、その後の調査の結果で発行されることもある。こうして航空機の安全性は絶えず向上し、安全に航空機で旅ができるのだろう。(図はいずれも国土交通省ウェブサイトから)