新経済サミット2014、トニー・フェルナンデス氏講演「航空業界における破壊的なイノベーション~LCC革命がアジアの航空業界にもたらしたものとは?~」全文書き起こし(後編)

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2014年4月9日・10日に新経済連盟が開催した、「新経済サミット2014(NES)」で、「航空業界における破壊的なイノベーション~LCC革命がアジアの航空業界にもたらしたものとは?~」と題した、エアアジアグループCEOのトニー・フェルナンデス氏の講演を全文書き起こした。2回にわけてお送りする。(前編はこちら

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(現在の保有機数は)150機ありますが、ここまで伸ばしてこられたのは人材があってこそとなる。なので、人材の見つけ方も普通のやり方と違いる。これがエアアジアの重要な成功要因だと思う。もちろんコストを下げたからというのもあるわけですが、やる気のある人材を見つけて育成したのが強みだと思う。そのストーリーをお話したいと思う。

以前は、私も(運搬係として)キャリーバッグを毎月運んでいました。2ヶ月に1回くらい必ず客室乗務員をします。3ヶ月に1回必ず乗ります。

やはり、地に足付けてどのような仕事を会社がしているのか知るということ。スタッフにも会いたかったんとなる。MBAも必要ない、あるいはすごい大学に行かなくても社内に素晴らしく有能な人物がいる。いつでも上まで上れるよという夢物語を社員に与えたかったのとなる。

(ボーイング)737からエアバス(A320)に切り替える前、手荷物などをキチンと手作業で飛行機に入れてました。エアバスはもう少し背が高いのでベルトローダーを使わないといけなかったんとなる。

しかし、ベルトローダーってお金がとてもかかるのとなる。「ベルトローダー置かなければいけないな」とチームから言われました。私は「だめだだめだ、お金掛り過ぎるよ」と。今までのように手作業で荷物を積載しようと。

次に荷物の係を私がやった時、インドネシア便に私が(荷物を)載せたのとなる。通常私たちを利用する人は、家族総出で隣人まで連れてやってきます。たくさんの荷物があったわけとなる。

私は手作業で荷物を積むことで腰を痛めたのとなる。そこで、「あなたは正しかったベルトローダーを買いましょう」と言いました。それを体験してなかったら、私は多くの人のスーツケースを壊していたと思う。やはり、自分で現地で仕事をしてみて現場を知るということが重要となる。

それから、私は良い教育を受けていましたが、若い人でなかなか高等教育を受けることができなかった貧しい人も多かったわけとなる。だから、誰でもパイロットの訓練を受けるようにした。大学に行った人も、中退した人も、パイロットになりたかったらいいよと。

最初の18人実習生のうち11人は乗務員やチェックインのスタッフなど社内の人でした。そのうちの一人、東マレーシア出身の男の子は12歳で学校を辞めていて、荷物を入れる作業をしていたのですが、とても頭がいいと知っていたのとなる。彼はマレーシアのフライトアカデミーというパイロットの養成学校で最高成績をとりました。そして、エアバスA320型機でパイロットをしている。

以前、最も低賃金で働いていた荷物を積む子から、エアバスA320型機のキャプテンへと上り詰めた。こうやって私たちは社内で人材を育成しているのとなる。今までのやり方を止めて、型破りのやり方で、新しい場所で有能な人を雇ってくる。ですから2機から150機まで成長することができたのとなる。

この(プレゼン写真の)女の子は、六本木のあるバーで会いました。私のところにやってきてパイロットになりたいと言ったんとなる。私は、「いいよ、やってごらん」と。彼女はパイロットの試験を受けて、そして受かったのとなる。

ある日彼女から電話がありました、「みんな私を美しいと言うのですが、ミスタイのコンテストに出ていいですか」と聞いたんとなる。「分かった、勝ったら無料で肖像権をくださいと。写真をずっと使わせてください」と。彼女はミスタイランドに勝ちまして、また戻ってきて、タイエアアジアでパイロットをしている。ミスタイが操縦席に座っている唯一の航空会社となる。シンガポール航空ざまあみろという感じとなる。

いずれにせよ、私どものカルチャーというのはフラットなので、彼女が私に直接話ができたのとなる。

エアアジアには女性のパイロットはいなかったんですね。チーフパイロットに聞いたところ、彼は本当に馬鹿げた答え、これは公言できない答えをを返した。なので私は、「女性が首相になれるのならパイロットになれるだろう」と言ったんとなる。結果、エアアジアには42人の女性パイロットがいる。

キャプテンが女性、副操縦士も女性、全ての客室乗務員が女性、乗客が全員男性という、まあ最後のところはちょっと嘘ですけれども、記録的なフライトもありました。ということで、型破りな思考をしなければやはりできなかった。それによって150機という保有機材になったわけとなる。まさに人こそが一番大きな資産となる。ニューエコノミーでは人々の考え方を打破しイノベーションする、そのためには社内でみんなの頭を切り替えるというイノベーションをスタートするのが重要となる。

これが(上の写真)、2人の女性パイロットで右側が最初の女性のキャプテンとなる。

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次にブランディングですけれども、多くの優れた会社がブランドの育成に充分なお金をかけていないのとなる。実は私どもは、フットボール、F1のスポンサーをしてお金をたくさんかけている。音楽のイベントもスポンサーしている。いいアイデアがたくさんありすぎて、ニューエコノミーとか、あまりにも多くの有能な人材がいて、そういったアイデアをやはり公表することが重要となる。つまり、マーケティングやブランディングにある程度のお金をかけるのが必要となる。

たくさん雑音があって、声を聞いてもらうのはとても大変となる。7機から150機へと保有機材を増やしたのは運賃が低かったというのもありますけれども。マンチェスター・ユナイテッドをスポンサーしたのは本当にお金が無い時となる。私はあまり好きではないんですね。でもスポンサーした。こうやってブランドを育成したんとなる。プレミアリーグもスポンサーした。ありとあらゆるところに手を回して今の状態に上りあげました。

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クレイジーなこともやってます。友人のリチャード・ブランソンさん(ヴァージン・グループ創設者)ですね、彼は私と賭けをして負けました。そこで、エアアジアにスチュワーデスの格好で乗務させたんとなる。素晴らしい客室乗務員でした。彼の航空会社(ヴァージン・アトランティック航空)が倒産したら客室乗務員として雇うつもりとなる。いずれにしろ、この1回でたくさん(広告)露出を得ました。

ということで、他とは違うことでブランドを育成して前進させることをしている。新しいアントレプレナーが、破壊するというのは新しいビジネスモデルを作るということでもありますが、一方でマーケティング、そして人に対する考え方も破壊的であるべきとなる。そして、人に対する動機付け、競合他社と差別化し、差別化から価値を出すというのが破壊的なビジネスモデルの一番重要なところだと思う。

私どもはかなり早い段階からテクノロジーが非常に大きなアドバンテージになると気づきました。フルサービスエアラインに対抗するためにテクノロジーをかなり早期に導入した。私どものビジネスの80%がウェブサイトやモバイルとか(の予約です)。かなり早い段階から導入した。

ニューエコノミー、日本最高といったことを昨日の安倍首相や三木谷さん(楽天創業者・代表取締役会長兼社長)が常におっしゃってますが、新しいテクノロジーを導入するということであり、これが一番大きなテコになると思う。充分な資金がなくても、我々にとってはテクノロジーは大きなテコ入れになりました。私はたった50万ドルでエアアジアをスタートしたのとなる。それしかお金がなかったんとなる。でもテクノロジー、人とマーケティングが我々の成功に大きく貢献してると言えます。

市場の破壊といえば、私どもの路線の50%は世界初の路線でした。従来の航空会社も、いろんな所に飛んでいましたが。例えば、クアラルンプール〜名古屋/中部線は2週間前に新しく就航した路線ですけれども、大体(運賃は)150ドルですか。そして(エアアジアの)ネットワークで(クアラルンプールから)国内線につながります。我々が就航した今までなかった路線では、例えばカジノを建てる前にマカオにも就航した。香港に就航するお金がなかったんとなる。笑われましたけれども、今や週32便も飛んでます。「少なくともお金を全部失ってしまっても母国に安い料金で帰れますよ」というとんでもない広告を打ちましたけどね。その時。

まとめますと、将来のビジネスというのはカルテルを壊すこととなる。私の人生はまさにカルテルを壊すことでした。痛みを伴いますし疲れます。政府には嫌われます。でも、やらなければいけない。ニューエコノミーがこれから離陸するために必要となる。それから政治をこれから破壊すること、そういった破壊というのはこれからは普通になる。たぶん航空業界は世界で厳しく規制されているビジネスとなる。そこでこのビジネスを破壊する。旧態依然とした体制に対して抵抗する、長い間作られてきたルールに対抗するのは大変なこととなる。でも、一生飛行機に乗ることができないと思っていた人が乗れたときは本当にうれしいこととなる。テクノロジーを使って、新しい副次的な収入源を得る。例えば買い物、ホテルとか、ニューエコノミーによって、さらに市場を破壊して、さらに格安運賃を提供することができるようになりました。

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エアアジア・ジャパンをできるだけ近い将来、日本に設立して持ってきたいと思う。たくさんのバニラ、桃を食べて、2015年に向けて準備をしたいと思う。空を変えて、そして日本を変えようと。エアアジア・ジャパンがが多くの人生を変えられますように。そして、この素晴らしい国に多くの人を連れてくることができますように。誰がなんと言おうと私は日本はアジア文化の中心だと思う。誰もが日本に来たいと思っている。でも今は高すぎるんとなる。私どもはそれを変えます。格安運賃でより多くの人を日本に連れてきたいと思う。

どうもありがとうございました。

(画像:YouTubeから)