【特集】「諏訪ゲストハウスプロジェクト」始動 リノベーションの第一歩(第1回)

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(ゲストハウスとなる建物の全景 写真提供:竹内祥さん)

長野県茅野市出身の斉藤希生子さん(25)が、地元長野県にUターンして「諏訪ゲストハウスプロジェクト」を始動させました。既に素敵な物件との出会いもあり契約。4月後半から友人と共にリノベーション作業をスタートした。

物件は20年ほど前まで旅館として使用されていた建物で、築90年ほどの木造2階建て。数年前まで住居用の民家として利用されていたので痛みも少ない良物件。かつて蔵のある旅館「ますや」として運営されていた建物だけに、規模も大きく延べ290平米と十分。敷地も大きく、スペースに余裕がある。

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(写真中央、宿主の斉藤希生子さん)

ーいよいよゲストハウスのオープンに向けて走り出しましたね。これまでの経緯を教えて下さい。
斉藤さん(以下、敬称略)「農業大学在学中、将来は畑をよこに構えたゲストハウスをやりたいとずっと考えていました。 」

ーでは、ちゃくちゃくと計画的に準備してきたわけですね?
斉藤「いえ、そうでもないんです(笑)。大学を卒業後、まずは農業と英語を学ぼうと行動しました。アルバイトをしながら、神奈川県の三浦半島で4つの農家をまわりました。平日は農作業、土日は青山のファーマーズマーケットでその野菜を販売。畑まで片道8キロの道のりを、作業着に長靴で毎日通っていましたね。(笑)」

ーかなりの行動派ですね。(笑)
斉藤「その畑への行きはずっと上り坂で辛かったのですが、帰りは車より速く駆け抜けていました。雪の舞う中で大根を2,000本抜く日もありましたが、三浦大根はやはり群を抜いておいしい大根です。」

ーえっ?その小柄な体で大根2,000本ですか、三浦大根は大きくて重いのに。
斉藤「大丈夫でした、楽しかったですから(笑)。そして資金が貯まり、フィリピンへ語学留学に。そのまま半年間は東南アジアでゲストハウスを廻りながら旅して帰国する予定でした。」

ーそれは良い経験になったでしょうね。
斉藤「帰国後はゲストハウスで働きたいと思っていた私は、なんと旅先インドで東京のゲストハウスが求人を出しているのを見つけてしまったのです。“新しくできる宿なので、きっちりとしたマニュアルがない分、他のスタッフとアイデアを出し合いながら宿を作っていく人を募集”と書いてありました。これから自分でゲストハウスをやりたいと考えている自分には、とても為になる環境だろうと思い、すぐに連絡をしました。」

ー行動あるのみですね。
斉藤「人気のあるゲストハウスの新店でしたから、きっとあっという間に定員に達してしまうだろうと、インドからスカイプで面接をお願いできませんか、とメールしてしまいました(笑) 。」

ー誰にでもできることではないですよ、凄いです!
斉藤「当時滞在していたインドのリシュケシュには、あまりWi-Fi電波の良いところがなくて。それでも懸命に少しでも電波の強い所を探して、カフェからスカイプ面接して頂きました。 数日後、採用の連絡をいただき、すぐに帰国の便を取りました。」

ーすでにゲストハウスオープン前から、素晴らしいエピソードをお持ちですね。(笑)
斉藤「オープン数日前にギリギリ帰国して、そのまま新店の住み込みスタッフとなりました。その後異動となり、もう一つのゲストハウスでも経験を積ませて頂きました。」

ーやはり決してブレることなく、着々と準備してきたのでは?
斉藤「そうですね、そうかもしれません(笑)。でも自分のなかでは、ゲストハウスをオープンする候補地さえ決められなくて。まずは県選びからと、あちこちの雰囲気が良さそうなゲストハウスを訪ねました。そこで出会ったオーナーさんや町興しをしている方、その他にも素敵な取り組みをしている方々との出会いで、少しずつ具体的になっていきました。考えとか思いから、計画へと。」

ー現在リノベーション中の物件との出会いを教えて下さい。
斉藤「去年の夏に実家に帰りました。やっぱり地元長野は良いなぁ、と感じていた時に、諏訪の町作り関係の活動をしている方から、立派な作りの廃業した旅館が空き家になっているのを教えてもらいました。」

ーここまでのお話で、もう分ります。斉藤さんの行動力で即決だったのですね?
斉藤「もちろん、何人かの人に相談もしました。ただ、この物件でやるなら、一階にはカフェを併設して、2階を客室に。立地や土地柄、季節変動などを考え併せて、想定収容人数は相部屋と個室で20前後かなとイメージできました。」

ーこれだけの大きな建物で収容20名は、ゲストハウスとしては贅沢ですね?
斉藤「とにかく諏訪まできたら、ゆったりと過ごして欲しいです。それに職人さんこだわりの建具やカワイイ欄間など、なるべく壊さないで残してそれを生かした宿にするべきだと感じました。」

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(ますは、お庭のお掃除から)

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(不要なモノを戸外へ運び出し、生かせるものを選別)

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(壊した土壁は、竹を除いて土は壁に再利用予定)

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(職人さんのこだわり 珍しいペンギンの欄間)

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(改装の手伝いにきてくれた友人と共に)

斉藤「まだHPはできていませんが、“諏訪ゲストハウスプロジェクト”のフェイスブックページを作りました。数日でも数時間でも改装のお手伝いを募集しています。ぜひともよろしくお願いします。」

第1回目の今回は、物件契約までの経緯と、リノベーションの第1段階である解体の部分をお伝えしました。次回は、この解体した状
態からどのように作りこみをしていくのかについてお伝えする予定です。