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「マイルでお客様とつながりを深めたい」 JALインタビュー特集
会員数2760万人を誇る、日本航空(JAL)のJALマイレージバンク。
マイルの使い方やため方が多様化する中で、日本の航空会社を代表するJALはどのような取り組みでマイレージサービスを利用者に提供していくのか。JALの路線統括本部でマイレージ事業を担当する2人に話を聞きました。
-ずばり、JALマイレージバンク(JMB)の魅力は?
「マイレージプログラムは、航空機ご利用のほかに日常生活のさまざまなシーンでマイルをためることができます。ライフスタイルに合わせてマイルをためて、それを好きなものに使う。特典航空券への交換はもちろん、それ以外の生活の場面で使う事のできる汎用性の高いプログラムであることが魅力です。ポイントプログラムは他の業種にもありますが、マイルは特典航空券への交換にも使えるということで非常にお得な経済価値をもっています。ぜひ特典航空券に交換して空の旅を楽しんで頂きたいですね。」
-どのような方が利用していますか?
「2760万人いらっしゃる会員のうち、JALカード会員数は1割強の293万人。利用者の中心世代は30~40代。特にビジネスパーソンの会員様が多い傾向にあります。一番多い入会機会は、航空機をご利用いただく時。その日のフライトからマイルをため始める方が多いです。マイルと結び付く提携企業が多岐にわたっているので、各提携ショップでの購買がきっかけで入会されるケースも多々あり、以前と比べると、主婦の方や学生さんもご入会されることが多くなりました。」
-ファミマでマイルが2倍たまるようになったのは嬉しい
「去年11月からファミリーマート様と提携してJALのマイルがたまるようなったことで、お客様からの反響はとてもいいです。コンビニは身近な店舗で、今のライフスタイルでは非常に近い存在。JALカードの特約店として、100円につき最大2マイル積算できるため、想定以上のお喜びの声をいただいています。」
-提携後、送客などの手ごたえは?
「提携から半年経って、我々としては現在はJALのマイレージサービスを知っていただく段階にあると考えます。実際に知る方が増えて、ご利用者が増える、そして利用頻度が増える。そういったプロセスを経て、これから航空利用が増えてくると思う。今は認知度アップを課題としていますが、巨大チェーン店はお客様へアプローチする機会が多いため、認知のスピードはとても速いです。」
-今後、他のコンビニとの提携予定は?
「現在お知らせできる提携の予定はありませんが、今後においてもコンビニ業界と航空業界において、中長期的なスパンで互いに”win-win”な関係を構築できるパートナーと組むことが大切と考えています。」
一般的に同業種が提携している企業に競合他社が参入すると、独自の先行サービスが失われる懸念点が出てきます。
坂本さんは、「コンビニと航空業界の想いが一致しているからこそ、今の組み合わせが成り立っている。」と話したうえで、「お客様に満足いただくためには、提携店舗数だけで考えるのは適切ではない。JMB会員が使いやすいところに提携店がなければ意味がなく、JMB会員の日常生活の動線で、お客様が気軽にお使いいただけるサービスを提供することが利便性向上につながる。」と指摘します。
-マイルが使える環境も増えた。マイルフライトの対象路線が多いですね
「お客様に満足いただけるプログラムを目指す中で、特典航空券をご利用いただく機会を増やしていきたい思いがあります。通常の特典航空券は座席数があらかじめ決められていますが、マイルフライトの対象便は普通席に空席がある限り予約できます。座席数の制限がないマイルフライトの対象便を多く設定することで、お客様はマイルを使える機会が多くなります。そのためマイルフライトを強化し、より多くのお客様に特典航空券の楽しさを体験いただきたいと考えております。」
-収入が入らない特典航空券
マイルフライト対象便を多く設定していることに対して売り上げに影響しないのか尋ねてみたところ、やはり影響はあるという。短期的に収入が減るリスクを承知のうえで、なぜマイルフライトを利用者にアピールしているのか。
坂本さんは次のように語ります。
-お客様とのつながりを深めたい
「我々はマイルフライトの1便あたりの短期的な視点だけではなく、マイルフライトご利用前後のプロセスを含めて中長期的視点で見る必要があると考えています。日本航空、または提携店を利用頂いた結果としてマイルをためる。そのマイルをマイルフライトなどに使って楽しむ。そしてまた、次の楽しいご旅行のためにマイルをためる。このように、マイレージプログラムはマイルをご利用いただく前後のプロセスと非常に密接な関係にあります。つまり、”どの視点で考えるか”がポイントであり、特典航空券を利用したフライトでは売上につながらなくても、中長期的に考えれば非常に効果的なものと考えております。今後も、我々は短期的な視野にとらわれすぎずに、”マイルをためる、使う”のプロセスを重ねていくことにより、長いスパンでお客さまとのつながりを大事にしていきたいと考えています。」
航空会社は過去の販売データや需要予測を基に、最適な運賃で販売するイールド・コントロールを行っています。そういった収入を最大化するマーケティング手法の精度を高めながら、お客様に満足いただけるプログラムを提供したいと話します。
なお、現在のマイルフライトは9月末日まで。10月以降のマイルフライトは2014年ウィンターダイヤ決定後に設定路線を発表する予定です。
-デルタとユナイテッドがフライトマイル積算モデルを大幅に変更する。どう捉えていますか?
「昨今、航空業界は運賃が多様化おり、1つの搭乗クラスにおいても、いろんな運賃バリエーションを増やすことでお客様のニーズに応えています。今後、2社が飛行距離ベースから航空運賃をベースとしてフライトマイルを付与するサービスに改定するということで、イールド・コントロールの観点からも支払う金額に応じたマイル数を積算する手法は、ある意味では理にかなっているとも考えられます。フライトマイル積算の基本は距離ベースではなく、これからは運賃ベースでのマイル積算にシフトチェンジしてくるのは業界の流れかもしれません。」
-他の航空会社に波及する可能性もある。JALも追随しますか?
「この制度変更は、大きな変化だと我々も感じています。運賃の多様化をマイル積算率の多様化で各社対応してきた訳ですが、お客様にとっては、現在の『距離×積算率』のマイル積算の仕組みがわかりにくく感じるようになってきてしまった。一方、運賃に基づいてマイルを差し上げるのは、分かりやすさの点ではお客さまのニーズに合ったものと考えられます。”マイレージプログラム”の名前からも、長い距離をご利用いただいた事に感謝するプログラムが航空会社のマイレージプログラムの原点であり、他業種にはない個性でもあります。」
「したがって、金額だけではなく、お客様の移動距離への想い、ロマンにも配慮して検討していく必要があります。お客様と日本航空との長いお付き合いの懸け橋の役割を担うものがマイレージプログラムですので、今後は2社のサービス変更がどう評価されるのかを見極めながら、JALとしてはお客様にとって一番よいもの、満足頂けるプログラムは何かを最優先に考えていきます。」