スカイマーク、民事再生手続開始記者会見 質疑応答一問一答(後)

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スカイマークは、1月29日午前11時より、井手隆司会長と有森正和新社長らが出席し、記者会見を開催した。

質疑応答の一問一答は次の通り、質問、回答ともに要約した。2回に分けてお送りする。会見冒頭の有森正和社長の経緯説明は、別途全文書き起こした。(冒頭の経緯説明はこちら

前編はこちら

ー着陸料の支払いが滞ったとの話があるが、いつからどれくらいの規模か。

有森「詳細について、多くの方と相談しながら進めていく。詳細は差し控えさせていただきたい。」

ー便数は現在1日152便が、水曜は128便、残りは126便になるということか。

有森「後ほど。」

ー民事再生法適用で、エアバスとの交渉はどう変化するのか。

有森「民事再生を交渉のツールとしては考えていない。会社の状況によって出すだけ。誠心誠意詰めていきたい。」

ー会社更生法でなく民事再生手続きを選んだ理由は。

有森「民事再生のほうが会社更生法より機動的な更生を図れる。担保権がほとんどないという諸般の事情を考慮。弁護士の判断を仰いで、民事再生法を選択した。」

ー民事再生手続きは取締役は留任できるが、西久保社長が辞めた理由は。

有森「承知していない。」

ー取締役会で退任の理由は述べられなかったのか。

井手「西久保(前社長)は、この事例が発生して以来、経営責任を深く感じていた。目処が経った時点で自ら身を引くと言っていた。臨時取締役会で責任の取り方として2つございます、一つは身を引く、もう一つは残った会社で経営を維持し再建することにあります。この役割をお互いにわけあって、残った経営陣で再建に向かっていく。我々はこの会社が再建できると信じて、そういう事業計画を下にご判断いただけるよう申請をさせていただく。ご支援いただく企業もこれに賛同いただいている。我々は過去は利益率20%近い会社だった。言い訳はしないが、A380を入れるというその当時の判断は、円高でもあった。飛行機の導入には3年ほどかかる。契約した時点から導入までの間に経済環境が大きく変わった。円安は大きく会社を痛めることになった。80円から一気に120円、50%コストが増えることになる。導入は前払金だけでなく、部品や整備契約などの多岐に渡って費用がかさむ。エアバスには導入時期を遅らせるという交渉を行っている時に、こういう事象が起き、イメージ悪化で経営が逼迫した。最終的に法的な手続きで会社を守りながら再建に向かっていこうと思っている。私どもは淡々と再建計画に向かって企業を再生し、再度黒字が出る会社にして、ご迷惑をお掛けした方にお応えできるようにしたいと思っているのでご理解いただきたい。」

ー去年の年末を目処にエアバスと話し合いがまとまるとの話があったが、民事再生を決める段階では交渉期限はいつまであったのか。現時点で、いつまでに交渉をまとめる計画で動いていたのか。

有森「エアバスとの交渉は、コンフィデンシャルになっているので、今までに開示したこと以外は申し上げられない。」

ー債権者やスポンサーと相談の上とのことだが、第三極を維持していきたいとのことでした。エアバスはどこかと提携すること前提との交渉だったと思うが、経緯を鑑みて例えばANAではなく海外の航空会社なら選択肢になるのか、ファンドに留めるのか。

有森「日本の大手航空会社、海外から今のところ特に申し出も出ていない。民事再生会社ですので、裁判所の判断を仰ぎながら進めていく。」

井手「再建計画は、第三極として残るためにファンドと話をしている。スポンサーは公平に検討する。国内問わず海外となるが、メインテーマは、スカイマークは第三極として国民、利用者の役に立てるように、羽田の枠や路線を維持をしつつ、大手の運賃競争の壁になりたい。それをメインとした再生計画になっていく。」

ー損害賠償請求は、イギリスで裁判を申し立てられているのか。まだ予定なのか。

有森「日本の訴訟の法律とはイギリスの法律は違う。訴訟前段階の手続きと理解している。」

ーA380等で、現状赤字になって経営行き詰まりになったのは、A330の運航費が随分かかっている。737を使って再建とのことだが、A330の搭乗率は上がらず費用もかかっているのが要因と推測できるが対応は。

有森「A330の使い方は、一番いい形をリース会社含めて協議している。」

ー搭乗率だけでなく、搭乗者数でも前年割れしていた。どう回復していくのか。

有森「コードシェアをするということで平均単価も下がるので、11月から12月に価格を高めに設定した。今後競争力ある運賃戦略を考えていきたい。」

ー債権としての違約金は手続き上劣後すると思うが、そういう認識でいいのか。

弁護士「一般論として、民事再生法の申し立てによって、昨日(申請日)までの原因に基づいて生じた債務は民事再生法上、再生債権との位置付けになる。再生債権の位置付けになった場合、債権者として、再建計画への賛成、反対、棄権票を入れる立場になる。再建計画の中で、当然債権額に対して何%の弁済という形で、どうなるか当社にとってはまだわからないがそういう計画になる。その計画が認可されると、計画に基づいた弁済がなされる。パーセンテージがどうなるかで、どういう回収になるかが変わる。」

ー違約金も借金も同じ弁済率になるのか。

弁護士「一般論として言えば、再生債権になった場合ということ。本件の場合は、今後協議して決めていくということ。本件についての分析はコンフィデンシャルなので、これからどうするか協議していかなければいけない状況にある。民事再生法の中で、法律上再生債権になるものについては再生債権としての扱いをしていくことになる。そうなった場合は、借入金と同じ扱いとなる。」

ー再生債権になるかもこれから決まっていくのか。

弁護士「契約と違約金の法的な性格を分析しながら、法律で決まる。そもそも額が未定なので、本件の扱いはこれからになる。」

ーA380導入が最大の経営破綻の要因だったというが、違約金をチャラにしてもらえば経営再建ができるというイージーなイメージがあるが。

有森「要因はそれだけではない。足元の収益のところでもある。ストラクチャーは組み立てる。A380だけなくなればいいとは考えていない。」

ーA380以外の経営ストラクチャーの改善が必要とのことだが、円安など想定外のことがあっても景気回復して燃油が下がっている中で、そういう前提を考えて経営がうまくいかなかった皆さんが経営再建できるか深い疑問を感じる。A380以外部分で再構築が必要という経営しかしてこなかった2人が再建を担えるのか。

井手「複合的に改善しなければいけないことがある。まず、3年前利益をあげている状態に復元させなければいけない。通常運航の中で利益が上がる仕組みを作らないといけない。まだスカイマークは1キロ当たり1座席運航するコストは、737だけで運航すれば圧倒的に日本で一番安く運航できる価格競争力を持っている。今回改善、再建するために立てている事業計画は、基本的にコストがかかるものの運航を止めるということで、A330は運航しません。明確にリース会社と話をする。リース料を下げていただき、運航で確かに利益が上がるなら運航を開始しますが、基本的に現状運航の維持と現状の運航の中で利益を上げる仕組みを構築しなければならない。複合的にとなると、昨年以来の報道でブランドイメージもなくなっている。低価格というスカイマークのイメージが毀損されてきている。再度、スカイマークのブランドイメージを明確に構築する。3年前にA380導入を決めた時には利益率が高い状態だった。ご迷惑をおかけしたが、サービスコンセプトで尖った航空会社というイメージを持たれている。これを踏まえて、安全でサービスを追求する航空会社に変わらなければいけない。これからやることは多岐にわたる。スカイマークを応援するお客様も非常に多くいるが、離れたお客様もいる。戻ってきていただける作戦を立てないといけない。現状の運航の中で利益が上がる仕組みを作らないといけない。737だけで運航することで、多少運休しなければいけない便数が発生する。民事再生法で会社再建にどうしても必要な作業と信じている。2011年3月期の20機ほどで羽田の枠中心に運航し、世界で利益率トップ3になった。これを回復するのを大きな目標に、利益が上がれば、エアバスなどにちゃんと返済できますよというストラクチャーを作らないとテーブルに乗らない。通常運航の中で利益が上がる仕組みを構築し、次のステップに入りたい。」

有森「一緒に3人一緒に辞めるのも一つの選択肢だったかもしれない。会社再建を一番の命題としている。2人残ってやり遂げたい。これが最善の策だと考えた。昔のA380の導入について、その時点で最善の経営判断と考えている。結果として民事再生法の申請ということは大変申し訳無い。私どもの役割として、会長と道筋を付け、次の経営者に引き継いでいくというのが最大の責務と考えている。」

ー臨時株主総会が延期のままだが、開く予定はあるのか。

有森「2月後半に臨時株主総会の設定ということで検討している。資金的、増資の株主総会ということだが、スポンサーと相談しながら再スケジュール化して開示していきたい。」

ー第三極を今後も維持していくべき理由は。LCCがある中で価格面だけでは魅力が薄くなっていると思うが、それでも維持すべきと考える理由は。


井手「羽田の発着枠、36枠はドル箱。これを維持しないと、仮になくなると既存航空会社で分け合うので、ANAかJALグループしかない。寡占化で運賃が上がる。この証明はスカイマークは17年間にわたって、例えば鹿児島撤退した時に即上がる、入るとまた下がる。近年では宮古島でバトルを繰り返した。入ったとき全社5,000円で並んだ。お客様に浸透せず2ヶ月運休した。運休したと同時に上がった、再開すると同時に下がる、これの繰り返しとなる。スカイマークの36枠が消滅した時に運賃が上がる。これをなんとか止めたい。LCCと基本的な路線で競争していない。我々はあくまでも既存の航空会社の中で運賃競争を繰り返している。羽田の枠は春秋航空やジェットスターに渡らない。大きな枠で見た時に、独立して唯一羽田に拠点置ける航空会社は3社しかない。一極がなくなれば確実に運賃が上がる。1キロ飛行機を飛ばすのに1座席のコストが一番低いが、大手も苦しんでいるはず。お互いにここでスカイマークがなくなればと当然考えていると思う。第三極を維持する目的は社会的役割。スカイマーク誕生以来、航空運賃の低廉化に努めてきた。私どもが飛んでいないところは上がってきている。スカイマークが必要であると市場が認識していれば必ず生き残る。」

ーリストラされないとのことだが、会長社長の報酬カットや社員の人件費を減らしていくことは考えているか。

有森「リストラはいたしません。737を中心として運航をすることで収益を上げる。」

井手「スカイマークは今後安全運航を維持するため、余裕を持った生産体制にしないといけない。昨年の330導入で大変疲弊した。残業代とかコストもかかるが、人出が足りない中で、新しい会社を立ち上げるくらい力が要りました。737に切り替えるというのは利益率高い時に戻す、確実に価格競争力を持つことは当然。A330を止めないと、人材を確保できない中で疲弊していく。この分岐点に到達したと判断した。余裕を持って安全運航の体制を整えることができる。社員全員、雇用は守る、会社を守ると2つは明確に約束している。それをメインに事業計画を立て直して、会社が黒字が出るよう社員に守りますと約束しているので実行していく。役員報酬はすでに去年から削減している。新体制で経営陣の強化をしていかなければならない。大きな責任を感じつつ責任を果たしていきたい。」

ーエアバスA330をやめて、ボーイング737への統一するはいつから。

井手「即日ということで、2月1日からを予定している。その調整を行っている。多少運休が出るということは、きょう9時、国土交通省には申請を出している。再建計画の大きな柱となる。」

ーパイロットの雇用維持はライセンスを切り替えるということか。

井手「B737で運航していたの乗員をトランジッションでA330やっているので、復帰訓練は極めて短い期間で戻せる。B737はメンテナンスで地上に置いているので、フル稼働で余裕を持つ体制が可能になる。」

ーA330をサブリースにだすとか。うまく活用するということは

井手「これからの交渉になるが、A330を運航する航空会社にすでにアプローチをしている。リース会社との協議が大変重要。出血が大きいので、即止めてB737に切り替えないと会社が持たない。そういう状況であるということ。」

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