首都圏空港問題、国民の意識変化が重要に【チャーリィ古庄の航空時事評論】

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現在、成田空港の敷地面積は1,100ヘクタール(貨物給油施設を含むと1,400ヘクタール)、羽田空港は1,520ヘクタール、これに対してソウル・仁川国際空港は2,100ヘクタール、シンガポール・チャンギ国際空港は現在1,400ヘクタールだが今度2,000ヘクタールになる。北京首都国際空港、現在建設中の北京新空港、欧州ではフランクフルト国際空港も2,000ヘクタールの敷地があり、パリ・シャルルドゴール空港は3,200ヘクタールの敷地を持ち、羽田や成田よりも広い。この数字を見ても羽田、成田の狭さは空港設備を拡張する余裕がないことが分かる。

現状、羽田は滑走路を増設するスペースはなく、国際化を行ったのは良いものの、国際線ターミナルビルはこれ以上増築できるスペースがない。そのため増加する国際線に対して現在の国内線第2ターミナルの一部を国際線に使用する計画を立てるなど、付け焼き刃程度の措置しかできない。実際、国内から国際線への乗り継ぎが便利と謳っている羽田ではあるが、国際、国内ターミナルビルが離れているため乗り継ぎ時間はそれなりにかかる。東京なので土地が高いという理屈はあるが、それは諸外国の大都市空港周辺も一緒であり、さらに「日本は土地がないから」という言い訳を言えば、香港はさらに土地がないのに将来を見据えた空港設計が行われているほか、シンガポールは日本よりも土地はなく過密であるが空港はアジアのハブとして成功している。

羽田空港も将来の拡張性を考えれば現在の新整備場の格納庫がずらりと並ぶエリアに国際線ターミナルがあれば乗り継ぎが今よりもスムーズで、滑走路からゲートまでの飛行機の動きもスムーズだっただろう。さらに、駐車場がとても混雑していて、週末は全ての駐車場が満車になることも多いのもデメリットだ。特に夏休みなどの繁忙期は朝から満車になり、空港側は公共交通機関で羽田に来てもらうように呼び掛けているが、埼玉や山梨など少し離れた場所から旅の大きな荷物を抱えて、家族で朝の通勤で混雑する山手線を利用してモノレールなどへ乗り換えることを考えれば、自家用車で空港に行きたくなる気持ちも理解できる。しかしターミナル前の駐車場に増築するスペースはバスターミナルの上くらいしかなく、駐車場が混んでいて飛行機に乗り遅れるといった問題も多々発生している。

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