駐日中国大使・程永華氏講演会全文(上) 「日中戦えば共に傷つく、中国恐怖・崩壊論は混乱の要因」

■日本と中国、戦えば共に傷つく

特に近年は、領土問題、或いは歴史問題など、多くの複雑で敏感な問題が相次いで発生して、双方の政治安全保障面の相互理解が谷底に落ちまして、国民感情が鋭く対立し、各分野の交流協力が一時途絶え、両国関係は国交正常化以来、最も厳しい局面に陥りました。そのような一時期もありました。

それを巡って、2014年11月に、中国と日本の双方が協議を重ねた末、4項目の原則的共通認識を達成して、両国関係の重大で敏感な問題を適切に処理する為に、改めてルールを設けまして、両国関係の改善のプロセスを決めました。ここ2年余りの間に、両国の指導者、リーダーが、過去のいろんな国際会議などの場でお互いに顔を合わせ、対話を続け、また各分野の交流協力が着実に回復しておりまして、国民感情にも好転の兆しが見えております。中日関係がここ数年に歩んできた回り道を振り返りますと、その中から、歴史で幾度にも渡って証明されて来た一つの道理を得ることが分かります。それはすなわち、中国と日本は、和すれば共に律し、共に利益になり、戦えば共に傷つくという事となる。

ここ数年来、両国社会が何回か実施してきました、世論調査というデータがあります。そのデータの中で、大体80%以上の国民が、相手方に好感を持っていないというデータが示される。しかしその同じ世論調査の中に、新聞ではあまり報道してくれませんけれども、同じ世論調査の中に、必ず70%以上の人が相手の国が重要である、相手の国の関係が、つまり日本の国民にとって、対中関係が重要である。中国の国民としても、日本、対日関係が重要である。改善すべきだという数字も出ている。これは、中日社会に対する、両国社会の際立っている共通認識を反映したものとなる。

よく言われるように、人は隣人を選んで住むことが出来ます。昔の中国の諺でも、孟子のお母さんは自分の子供の教育のために、3度引っ越したそうとなる。お互いに隣近所が、良く付き合って交流したいものとなる。しかし、国としては、隣国は引っ越すことが出来ません。

■相互依存高まる日中、平和友好は正しい選択

中国と日本の二国間を見ましても、現在、中日両国は現実に、利害関係が日増しに緊密になっておりまして、相互依存が絶えず高まっている。中国は日本にとって最大の貿易相手国であって、日本は中国にとって最大の外資供給国であります。両者はお互いに、既に切っても切れない関係になりました。それから国際社会、或いは地域関係性におきましても、人類社会が経済のプロワーカーという、大きな時代の流れに直面している。同時にさまざまな地球規模の課題にも直面しております。これらの課題に対して、また様々な膨張が浮上している今日、国際協力を一層強化して、力を合わせて、そういう課題に取り組む、また対応する必要性が一段と高くなりました。中国と日本は、世界において、第2、第3の経済大国として、地域、また世界の平和と発展を守る、それを促進する重要な責任を共に担っております。国際社会の地域各国からも、一層高い期待が寄せられております。このために中国と日本は、必ず平和友好の、互恵Win-Winの道を歩むことを堅持しなければならず、またこれは双方にとって、唯一の正しい選択と思う。

中国政府としては、対日関係の発展を大いに重要視しておりまして、両国人民が世世代代渡る友好を共に高めていくようにと主張しております。これは重要な、否定政策でありまして、たとえ、両国関係が極めて厳しい局面に陥った時期でさえ、中国は依然として、中日関係の発展を守るという方向を堅持して参りました。そして、双方が、4つの政治文書、あの、今年が国交正常化45周年で、45年前からの中国と日本の共同声明、日中共同声明はじめ、両国のあいだで、4つの政治文書を発表した。そういう政治文書に基づきまして、歴史を鏡として、未来に向かう精神に則り、原則の堅持、約束の厳守を基礎に、両国関係の長期的、また安定かつ健全な発展を維持する事を、繰り返して強調して参りました。

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