【読者レポート】大盛況の大井川鐵道「SLフェスタ」 撮り鉄のマナーに課題も

東日本大震災からちょうど6年となった2017年3月11日、大井川鐡道にとっても節目となる1日となった。2014年から崩土のため一部区間で運休していた井川線が全線で復旧し、それを記念して「SLフェスタ」が開催された。その様子を一部であるがお伝えしたい。

今回のSLフェスタは、蒸気機関車(SL)の重連運転やC10形8号機の特別塗装運行、電気機関車(EL)の重連運転、スハフ43形客車の連結、元南海電鉄21000系のヘッドマーク装着など、鉄道ファンの心を揺さぶる内容で、開催前から大きな話題となっていた。

当日は、沿線や車内からこのイベントを楽しもうと多くの人が訪れていた。残念ながら筆者はEL重連運転の時間には間に合わなかったものの、SL重連運転からイベントを楽しむことができた。車内は鉄道ファンをはじめ、親子連れ、当日券で乗車する人など、ほぼ満員となった。沿線の撮影地では100人以上の鉄道ファンがカメラを構え、乗客は撮影している人の群れを見掛けては驚きの声を上げていた。

千頭駅では、C11形190号機、C56形44号機、C10形8号機のSL3両を並べた20分限定の撮影会が行われ、ホームを埋め尽くさんばかりの大勢の人が集まった。3両のSLが順番に汽笛を鳴らす「SL三重奏」の瞬間においては、多くの人がシャッターを切っていた。千頭駅周辺にはSLの力強い汽笛の音が鳴り響き、鉄道ファンでなくとも感動と興奮を覚える瞬間であった。

千頭駅では転車台体験、出店などで大いに盛り上がりを見せていた。筆者は撮影の後、桜や梅の花が咲いている千頭駅周辺を散策し、E102電気機関車が牽引するスハフ43形客車を用いた臨時急行列車に乗車した。列車は「乗り鉄」で座席がある程度埋まった状態で千頭駅を発車。途中の停車駅からも多くの人が乗車し、車内はほぼ満席という盛況ぶりであった。車内放送では「この列車の車掌はEL牽引の客車列車の乗務が初めて」という内容のアナウンスもあった。私事とはいえ、このようなアナウンスも地方鉄道の醍醐味であり、このイベントを楽しいものにしようという鉄道会社の思いが伝わってきた。

大井川鐡道に乗っていて感じるのが、沿線住民を巻き込んだ乗客へのおもてなしの心である。地域ぐるみで沿線を盛り上げようという思いがいつも伝わって、乗っていて気持ちが良い。イベント自体も魅力ではあるが、そのようなホスピタリティを感じられるからこそ、また大井川鐡道に乗りに行きたいと思うのだろう。

ただ残念なことは、昨今、全国的に問題となっている「撮り鉄」の問題行為である。先日、京都市内で線路内に侵入した芸能人が書類送検された事件は記憶に新しいと思う。11日も同様に、鉄道ファンが列車を撮影しようとして線路内に立ち入り列車を緊急停止する事象が起こり、大井川鐡道も公式にSNS上で警告を行った。このようなトラブルがきっかけでイベントが中止になれば、マナーを守って参加している鉄道ファンや、イベントを楽しみにしている地域住民に残念な思いをさせるだけでなく、主催者に多大な迷惑をかけることになる。参加した人全員が気持ちよくイベントを楽しめるよう心掛けて欲しいと思う。

とはいえ、今回このようなイベントを開催してくださった大井川鐡道の関係者の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいである。是非、また乗りに行きたいと思うイベントだった。

(この記事は、読者からの寄稿により作成した。)