覚えておきたい「バニラエア特典航空券」、燃油サーチャージゼロの利点も【コラム】

バニラエア

大物はいつも突然だ。3月初旬、3月下旬に香港に来ないかという打診が突如舞い込んだ。この時期は航空券も高いし、日本に籠って仕事をするに限る。一度はしれっと流したものの、1週間近く前になって、「(もちろん)香港に来るよね?」という念押しのメッセージが来て、後戻りができなくなった。大抵、大物はいつも強引だ。

ただでさえ多いウィンタースポーツを楽しみたいという観光客に加え、この時期は桜を観たいという観光客まで一気に日本に押し寄せる。さらに日本からは卒業旅行や春休みで需要が大きい。特に東南アジアや中国、台湾、香港からの訪日客の伸びは顕著だ。つまり航空券の価格は常に高い。

こうして3月下旬というハイシーズンに香港に行く羽目になった筆者は、いつものようにスカイスキャナーで航空券を探し始める。そして、「やっぱり」とうなずき、そっとブラウザのタブを閉じて特典航空券を探し始めた。まずはANAマイレージクラブから。往路は羽田発午前便というとても良い時間帯のフライトが取れるものの、復路は経由便でも一つもヒットせず。JALマイレージクラブ、ユナイテッド航空のマイレージプラス、デルタ航空のスカイマイルとそれぞれ検索したものの、どれも一長一短。

できれば上海乗り継ぎは避けたいし、直行便で帰りたい。短距離なのでビジネスクラスにして無駄なマイルは使いたくないし、マカオや深セン、広州まで地上移動してから日本行きに乗るのは嫌だ。高額な航空券を買うなんてもってのほか。「仮病でも使おうか。」と考えたところで、ANAのウェブサイトに、「バニラエア特典航空券」の文字を見つけた。

ここで「バニラエア特典航空券」について説明しておこう。ANAの完全子会社であるバニラエアの航空券に、ANAマイレージクラブのマイルを交換できるというもので、2014年7月からサービスを開始した。片道と往復のいずれかの航空券に交換でき、片道の必要マイル数は往復の必要マイル数の半分。預け入れ手荷物は20キロまで無料、座席指定は有料だ。空港使用料や諸税も別途必要となる点は他社の特典航空券と変わらない。ANAなら往復5,000円(発券時により異なる)が必要な燃油サーチャージは必要ない。ANAマイレージクラブ以外からの交換には対応しておらず、「穴場」ともいえる。

言い換えると、「シンプルバニラ」運賃に20キロの預け入れ手荷物(4,000円)を購入し、支払手数料(600円)を含んだものが、「バニラエア特典航空券」で受けることができるサービスとなる。

「まあ空席があるはずはないだろう」と空席照会をしてみると、深夜便ではあるが、数席の空席があるではないか。ちなみに25日から31日までの「☓」マークは、有償の航空券でも満席だったので、需要の高さが伺える。3月21日のJW300便では特典航空券枠の残りは1席だった。

ANAマイレージクラブでANAの日本〜香港往復エコノミークラス特典航空券に交換した場合の必要マイル数は、ローシーズンは17,000マイル、レギュラーシーズンは20,000マイル、ハイシーズンは23,000マイル。今回の出発日はレギュラーシーズンだったので、片道10,000マイル相当となる。羽田発着で機内食も出てくる、さらに上級会員ならラウンジも使えるANAと比べると、格安航空会社(LCC)に8,500マイルを使うのは少々抵抗があるものの、背に腹は代えられない。

ローシーズンであれば必要マイル数は同じで、ANAの国際線特典航空券であれば、国内線の乗り継ぎも可能。地方都市発着であればなるべく避けたい選択ではある。

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