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ロンドンのど真ん中で「駅弁」を売ってみた! 味付けに工夫も【さかいもとみの旅力養成講座】
旅での楽しみといえば、観光だけでなく、ショッピングにグルメといろいろなアクティビティが目白押しですよね。日本の汽車旅に欠かせないのはやはり「駅弁」。コンビニのおにぎりが全盛とはいえ、依然、駅弁は旅情をそそる魅力あるアイテムとしてその存在感は揺るぎないもののように思います。
さて、そんな駅弁を「ロンドンのど真ん中で売ってみよう!」という果敢な試みが行われました。イギリスで一般の人々に駅弁を売るのはこれがもちろん初めてのこと。ただいきなり駅で売った、というわけではなく、毎年秋にロンドン中心部のトラファルガー広場で行われる「ジャパン祭」の会場に日本風屋台を出して売る、という格好となりました。
予定の200個、2時間ちょっとで完売!
今回の駅弁販売イベントでは、JR東日本傘下の日本レストランエンタープライズ(NRE)がレシピを監修。地元の日本食材店が現地で製造する、という形でお弁当が作られました。
駅弁販売に当たっては、「日本からの輸入品」といった要素もあり、お値段的には日本の駅で買うより3〜5割増しと、「うーん、ちょっと高いかな?」という印象を持ちましたが、何と結果は発売開始から2時間ちょっとで予定数の200個を完売!幕の内弁当に至っては、開始後1時間ほどで準備した分がはけてしまった、と販売スタッフが嬉しい悲鳴をあげていました。
今回用意され駅弁は幕の内弁当(13ポンド)をはじめ、「牛すき弁当」(12ポンド)、「チキン弁当」(10ポンド)そして北陸新幹線の車両をモチーフとした容器に入った「新幹線E7系弁当」(15ポンド)の4種類。企画したJR東日本ロンドン事務所の名川進副所長は、「イギリス人の好みに合わせ、オリジナルとやや異なる味付けをしたものもある」と説明。例えばチキン弁当のご飯は本来、ケチャップライスなのですが、それをカレー風味に変える、という工夫をしたそうです。
「4種類並べて売ってみたら、幕の内とチキン弁当が地元の人によく売れましたね(名川さん)」と駅弁の種類によって日本人と地元のイギリス人との好みが分かれるというユニークな現象が見られたそう。ただ、全体的には日本人、それも小さなお子さんを連れたファミリーがメインカスタマーだったように見受けられました。
日本食材店で継続販売が決定!
ロンドンでの駅弁販売は「ジャパン祭」のイベント終了でおしまい、というわけではありません。市内にある日本食材フードホールとして最大級規模を誇る「イチバ(ウェストフィールドロンドン内)」をはじめ、食材店・ジャパンセンターの各店舗で期間限定ながら売られることが決まっています。
これについて名川さんは「日本人にしっかり受け入れられるレベルの商品を作って、それが本物の日本の商品として現地の方に受け入れられるようになれば嬉しい」と期待感をにじませています。
イギリスの駅での駅弁登場の夢は?
駅弁はやはり、駅で売ってこそ駅弁となる。果たしてイギリスの駅での販売の可能性はあるのか?と名川さんに伺うと、「もちろん、イギリスのエキナカでもトライしたいですよね。そのためにも短期的な販売を重ねながら、一定程度のボリュームを継続的に製造できるように、まずは現地のパートナーとともに商品のコストダウンを実現。その上で、しっかりと供給できる体制と仕組みを構築すべきだと思いますね」。確かに地元の人々が電車に乗る前に買うサンドイッチなどと比べたら、現状では倍以上の価格差があります。
今後の展望について、「プレミアムさを出すのも必要。既存の日本食ファストフード店のおにぎりなどとはしっかりと差別化をして売って行きたい(名川さん)」と方向性をしっかりと見据えている。
イギリスではすでに、駅弁より先に日本由来の高速車両が走っている。どことなく新幹線の風情を感じる電車に乗りながら、お箸で駅弁を食べるという体験もきっとユニークでしょう。一日も早くロンドンのどこかの駅で駅弁が並ぶ日を楽しみに待ちたいものですね。