ベトナム・ハノイ周辺の知られざる観光地を巡る(後編)【レポート】

軽食組はタクシーに分乗し、在住経験のあるベトナム航空の方にオバマ大統領が訪れた「ブンチャー」のローカル食堂を案内してもらう。旧市街、ホアン・キエム湖の南側にある「フーンリエン」がそのお店、タクシーに「オバマ」というだけで連れていってもらえるほど有名な店だ。

ベトナムというと1にも2にも米の麺「フォー」があげられるが、同じように庶民の胃袋を満たす手軽な米の麺料理が「ブンチャー」、これは日本の「素麺」に似た形状の麺をつけ汁に浸して食べるスタイルだ。近年、値上がり傾向の「フォー」は敬遠されつつあり、「ブンチャー」が隠れ人気だという。店内にはあちらこちらにオバマ大統領の写真、メニューには彼が注文した「ブンチャー、揚げ春巻き、ビール」のセットが「オバマセット」(85,000VND、約425円)の名で人気を博している。「ブンチャー」単品は40,000VND(約200円)、大きな器に入ったつけ汁はシンガポールや香港で馴染みのある甘いポーク・ジャーキーの味にも似て日本人にも食べやすい、ぜひともハノイ訪問の際にはご賞味あれ。こうして普通の食堂に足を向け、地元の人と肩を並べローカルフードを頬張るというひと時を作るのも、行程が定められたツアーの楽しみ方のひとつでもあります。

夕食後の自由な時間にはふたたび足を伸ばし、旧市街を探訪。安宿が連なり、世界中のバジェット・トラベラーが集う旧市街エリアは旅行者ばかりでなく、地元の若者に人気のカフェ、バー、スイーツの店が目白押し、ハノイを訪れたなら足を踏み入れたいエリアだ。バーで音楽を楽しむ、未体験のローカルグルメを掘り当てる、路面店でベトナム・スイーツと出会う、踏み出せばあなただけの旅の思い出がそこに落ちているはず。

5日目、帰国便が翌日深夜0時過ぎ出発のため、最終日と捉えても違わない一日。ツアー一行は今回訪れるもう一つの世界遺産「タンロン皇城の中心区域」へ向かった。2010年、世界遺産に認定されるまでは重要な軍事拠点だったため、その広大な敷地は立入禁止区域として謎のベールに包まれていたが、現在は徐々にその公開エリアを広げつつある。この国が変貌しつつあることをこういった遺跡の公開からも汲み取ることができる。広大な城内を歩いて観て回ることになるが、液体物の持ち込みが禁止されているのが夏の観光にはつらいところ、日よけ代わりにベトナム扇子が配られるが辛抱と工夫が必要、宝物殿や地下壕などエアコンが効いたポイントもあるので体調を考慮しながら見学してほしい。

かつての王朝が築いた首都「タンロン」だが、旧王朝時代にロマンに思いを馳せるよりもベトナム戦争の遺品や地下壕といったものに印象を引きずられてしまう。やはり近代の戦争の持つインパクトは圧倒的、それも忘れてはならない「遺跡」であろう。

ツアーバスは「文廟」へ、いわゆる中国文化圏で見かけける「孔子廟」がここではこう呼ばれている。かつてはベトナムでも「科挙」が行われ、石碑には合格者の名が刻まれているため、今でも受験生が訪れ、ここで撮影会をするのが習わしとなっているとか。

ハノイ市内の観光を終えると午後はホテルのバンケット・ルームで地元観光局主催のワークショップが開催された。観光局はもちろん、現地手配会社、旅行会社と日本側の旅行会社とメディアの面々が情報交換と交流を兼ねたひと時、今後のハノイ観光への手がかり、足掛かりを探る大事な時間が持たれた。

その後、レイト・チェックアウト設定していた部屋をチェックアウト。深夜出発便においては遅い時間まで部屋を使える「レイト・チェックアウト」できるホテルをチョイスしておくのが旅のラストのキーポイントでもある。空港に向かう前にシャワーを浴びられれば、深夜便もなんのその、閉まらないスーツケースと部屋でゆっくり格闘できるのも女性には大きな大きな利点、空港ロビーでスーツケース広げるなんてシーンは回避したい。これもホテル相場がグンと安いベトナムならではのプラス面、レイト・チェックアウトの追加料金が大きな負担にならないで済む。

夕食を済ませ、ツアーバスはハノイ・ノイバイ空港へ。「龍が昇る土地」=「タンロン」のあるハノイに旅ははじまり、「竜が舞い降りた地」=「ハロン」で時を過ごし、王朝が栄えた「タンロン」城址で旅を終えた一行は関空、名古屋、福岡、そして成田とそれぞれがそれぞれの家路に飛んだ。

ベトナム航空は10月から、大阪/関西~ダナン線就航を正式発表、就航を記念したセールも開催する。(取材協力:ベトナム航空、ハノイ市観光局)

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