谷川岳ロープウェイ、「谷川岳ヨッホ」に名称を変更 12月1日から
島根・広島の知られざる観光地を巡る 大人も楽しめる体験型アクティビティ満載
2015年の中国やまなみ街道(尾道松江線)全線開通に合わせて、周遊観光を促進する活動を開始した、島根県と広島県。三次では中国自動車道、尾道では西瀬戸自動車道(しまなみ海道)に接続し、所要時間も大幅に短縮したことから、1泊2日や2泊3日といった短期間で両県を巡ることが容易になった。
今回、知られざる名所を巡るプレスツアーに参加したので、模様をご紹介したい。
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両県を巡るには、首都圏からは萩・石見空港へアクセスするのが便利。午前と夕方の1日2便を運航しており、所要時間はわずか約1時間半。個人旅行客には温泉や体験が無料となる「萩・石見ぶらり手形」や「石見神楽めしクーポン」を配布するなど、お得に旅行を楽しむこともできる。
満席の羽田発萩・石見行きのANA機は、ほぼ定刻で萩・石見空港に到着。到着ロビーでは島根県観光キャラクターの「しまねっこ」がお出迎え。
ほとんどのツアー客が玉造温泉や出雲大社、石見銀山などの有名観光地に向かう中、プレスツアーの参加者一行が向かったのは、日本海のオーシャンビューを望むフランス料理店「Restaurant BONNE-MAMAN NOBU」。地元農家が無農薬で栽培する野菜など、旬の食材を存分に活かした料理は、豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」でも提供されている。ランチ、ディナーともにリーズナブルな価格で楽しめるのが魅力だ。
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島根県浜田市のやさか村ワタブンアートファブリックへ。迎えてくれたのは、代表の河野裕次さん。京都・西陣の老舗のしゃれ帯を織る工場だったものの、閉鎖に伴い独立して運営している工房だ。
現在は蚕の繭の外側からわずか4%しか取れないというキビソという部分に含まれる、「セリシン」という物質が保湿性が高く肌に良いことに着目し、製造しているタオル「キビソ肌友だち」が主力商品。キビソは本来、糸にならない部分として廃棄されていたものの、それを糸にして織り上げた。触ってみると非常に固いが、お湯で柔らかくしてよく揉むと柔らかくなっていくといい、クチコミなどで広がっているという。
「地元の人から何をやっているかわからない」ということから、開かれた工房として、地元小学生の体験も受け入れる。今回体験した手織り体験(3,500円)は、小学生からお年寄りまで楽しめる。工房の大半を占める織り機をわかりやすく簡易なものにしたという織り機が所狭しと並んでいる。
機械は左右に足踏みペダルが2つ、通した横糸を寄せるハンドルが1つというシンプルな構成。あらかじめ縦糸が通してある機械に、選んだ横糸を通してスタート。左右に横糸を通してからペダルを踏み変え、ハンドルで横糸を手前に寄せるという動きをひたすら繰り返す。簡単そうに思えるが、頭と体の動きが一致せず苦戦しながら一心不乱に織り上げる。途中休憩を挟みながら2枚を製作するが、横糸の引っ張り具合やねじり具合で風合いが全く変わるのが面白い。所要時間は2時間程度。
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広島県安芸高田市の神楽門前湯治村へ。宿泊施設のほか、温泉、レストラン、お土産店などが集まった施設。年間150日に渡って、22団体が当番制で公演を行っている神楽は、古くからの文化を伝える施設として、観光客で賑わう。
華やかな衣装を着て、表情豊かな神楽面をつけた人たちが太鼓や笛などに合わせて舞う郷土芸能で、衣装は1着数十万円に及ぶとか。
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化粧筆で有名な熊野筆を製造する晃祐堂の工場を見学。筆の町としてお馴染みの熊野町には99社の筆屋があり、そのうち筆の製造をしているのは約30社、さらに化粧筆と書道筆の両方を製造できるのは2、3社だという。熊野町には書道筆の伝統工芸士は22人おり、そのうち3人が晃祐堂に在籍しているとか。
化粧筆は細くて弾力がある毛を使用し、毛先をカットしない製法で、書道筆の高い技術を活用して製造。職人が1本ずつ手作りしており、日本人のみならず、世界の人々からも人気が高い。工場の直営店では、数百に及ぶ筆を実際に見ながら購入できる。
どのように化粧筆が作られているのか、職人が一本一本丁寧に作り上げる製造工程や品質管理の見学(無料)、筆作りの体験(3,000円)も受け入れている。
今回は筆づくりを体験。あらかじめ色付けがされた毛が用意されており、バラの型にきれいに整えると、工場見学の間に軸付けなどの仕上げを行ってもらうことができる。いずれも3営業日前までの事前予約制、時間は平日午前10時から午後4時(正午から午後1時までを除く)まで。
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忠海駅から呉線で約20分、竹原駅の近くにある、たけはら町並み保存地区。塩田による製塩や酒造で栄えた竹原に残る、江戸時代そのままの町並みが楽しめる。マッサンで有名なニッカウヰスキー創業者竹鶴政孝の生家である竹鶴酒造や、「龍勢」でお馴染み藤井酒造も軒を連ねる。観光ガイド(有料、要予約)とともに巡ると、より街並みを詳しく知ることができる。
竹原市が打ち出すのは、たけはら町並み保存地区の観光と、大正初期に塩田経営で成功した森川八郎の豪邸で、市重要文化財の「森川邸」で幻の郷土料理とも言われる「魚飯(ぎょはん)」の昼食がセットになったプラン。
魚飯は浜焼きにした白身魚や卵、海老、地元の野菜などをご飯の上にのせて、魚から取った出汁に薄口醤油やみりん、酒、塩などで味付けした出し汁をかけて頂く、おもてなし料理。お祝いごとや祭事の際に食していたといい、特に製塩業者が好んで食べていたという。塩田の消滅とともに姿を消したことから”幻の料理”と言われているという。竹原市内の6店舗も魚飯を食べることができるが、材料の保存がきかないことから、事前に予約が必要だとか。価格は1,000円から1,500円程度と比較的手頃な価格だ。
ランチの後は、15店舗で展開しているうさぎにちなんだ「うさぎランチカフェ」巡りを楽しむのもおすすめしたい。
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うさぎの島として一躍有名になった、大久野島。日清・日露戦争、第2次世界大戦、朝鮮戦争の際には、弾薬庫や毒ガスの製造で利用されてきた。それらの廃墟を含む島中に、約700羽のうさぎが生息している。
フェリー乗り場から無料送迎バスで数分の場所にある、島内唯一の宿泊施設である休暇村大久野島で自転車を借りると、島内を約30分で1周できる。電動自転車でアップダウンも安心。うさぎが飛び出てくるかもしれないので、注意しながら運転したい。休暇村大久野島ではキャンプが可能で、温泉も完備。ゆっくりうさぎと戯れたいなら、宿泊も検討しよう。
忠海港からフェリーで約15分。忠海港は呉線の忠海駅から徒歩3分とアクセスが良いのも魅力。オリジナルジャムづくり体験ができる「アヲハタジャムデッキ」も忠海駅から近く、ぜひ立ち寄りたい。
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広島空港のほど近くに位置する「Hattendo Cafelie」は、飛行機が出発する直前まで、名物のクリームパンをはじめとしたスイーツを楽しむことができるのでぜひ立ち寄りたいスポット。
八天堂といえばクリームパンでお馴染みだが、創業は1933年、当時は和菓子屋だった。そんなクリームパンの製造工程を間近で見られることhができる工場見学(予約制)や、パン作り体験(予約不要)も楽しめる。カフェでは季節の果物やクリームパンを使ったスイーツを堪能できる。クリームパンやあん食パンなど、焼き立てパンのお土産もいかが?
寒い冬でも屋内で楽しめる体験型アクティビティを中心にお伝えしたが、これからの季節、あんこうや蟹、牡蠣といった冬の味覚を楽しみながら、島根と広島の旅を楽しんでみてはいかがだろうか。