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【スクープ】”存在しない部屋”を販売する海外大手宿泊サイトのカラクリ 年末年始に「部屋なし」問題大量発生も懸念
その後予想される結末はこうだ。
(1)別のサイトでキャンセルによる安価な空室が出た場合、サイトがそれを購入しこっそり置き換える。ユーザーはその事実に気付かず、プランの差額はサイトの取り分となるだろう。
(2)宿泊予定の数日前になって「ホテルからの回答がなく、部屋は確保できませんでした」とメールが入って返金される。ユーザーは慌てて年末年始のホテルを探し直すことになる。恐らく間際では同等のホテルはまず見つからないだろうが。
(3)予約が確保できていると思い込み、サイトからの強制キャンセル通知を確認することなくホテルまで行ってしまう。フロントで押し問答したところで、ホテルにはサイトから何の予約情報も入っていないのだから空室が無ければ出ていくしかない。
では、サイトはなぜそんなメリットの薄いカラ販売をするのか。キーワードはキャンセル料だろう。
通常の宿泊予約でもユーザーの都合によるキャンセルは数パーセント~数十パーセントある。このケースではホテルからの連絡待ちが長期化することで不安になり、他の施設に変更したいと思いキャンセルしたくなるユーザーも増えるはずだ。しかし、事前決済済で返金不可の条件を了承しているためキャンセル料は100%。キャンセルボタンを押した人から入る莫大なキャンセル料は宿泊サイトのものになる。念のため言っておくとホテルにはキャンセル料は1円も入らない。契約もない上、予約された事実さえ知らないのだから当然のことだ。もし上記の25万円のケースがユーザーの都合でキャンセルになれば25万円の収入。サイトの通常の送客手数料を10%とすると、250万円分の送客をしたのと同じ利益を生むことになる。なので、ダメ元商売でも良いのだ。
契約も仕入れもしていない商品をカラ販売し、入金後手配をする。これは物品の通販では行われている行為だが、宿泊のように提供日が決まっている商品にこの手法を使うのはリスクが高い。本件においてはユーザーに対して詳細な説明もなく、支払いをもって手配完了だと誤認させる要素が多い。しかも、ユーザー都合でキャンセルをした場合、事前決済された金額が没収されようが損害賠償の対象にもならない。部屋が用意できなくてもサイト都合で返金すればサイトには何らペナルティはない。部屋を準備する労力をかけなくても、一定の確率でキャンセル料を収受できるノーリスクの集金装置なのだ。
対してホテル側はたまったものではない。今年のゴールデンウィークやお盆期間のネット上のクチコミを見ると、「数日前にホテルの都合で一方的にキャンセルされた」「ホテルに着いたが記録がなく、勝手にキャンセルされていたようだ。とんでもないホテルだ」「予約が入ってないと言われ、追い出されて泊まるところがなくなった。ひどいホテルだ」など、ホテルを非難する書き込みが急増している。その多くがこのサイト経由であると書かれているのだが、ユーザーはまさかサイトがカラ販売していた部屋をつかまされていたとは知らず、部屋が用意されていない事をホテルの責任だと誤認しているのだ。また、サイトが高額販売していることで「ぼったくりホテル」だと誤解されてもいるだろう。ホテルの信用低下による被害、フロントで対応する労力は全国規模で甚大なものとなっている。