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長距離を飛ぶLCCが生まれない理由 中長距離便では利益が出ない?【さかいもとみの旅力養成講座】
「乗り継ぎサービス」で稼いでも…
実はLCCでも「乗り継ぎ需要を狙ったビジネスモデル」を行っている会社があります。
例えば、中長距離便を飛ばしているエアアジアグループやスクートは自社ハブで乗り継ぎサービスを実施している。うちエアアジアグループは、「乗り継ぎサービスでの売り上げ」が「預け入れ荷物代での収入」に肉薄するほど稼いでいるという面白い事実もあります。ところがエアアジアXの決算も芳しくなく、依然「中長距離LCCは儲からない」と厳しさが垣間見えます。
さらに、日本とハワイを結ぶ、スクートとエアアジアXの2社のLCCのうち、スクートは不採算であるとしてGW明けに撤退するなど、競争も激しさを増しています。
エアアジアグループのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、3月に行った本誌の質問に、「中距離市場は期待できる。今後最終的にはフルサービスキャリアはビジネス、ファースト、プレミアムエコノミーに寄っていって、LCCの中距離の便が増えていくと思う」と述べており、まだまだ収益をあげることができるとみているようです。
欧州では2社が破たん
そしてこの3月、さらにひどいことが起きてしまいました。
「乗り継ぎサービスで米欧間を安くつなぐ!」と新たな旅客獲得を目指したアイスランドベースのLCC・WOWエアが資金不足で運航停止に追い込まれました。
自社ハブであるレイキャビクがアメリカ・カナダとヨーロッパの途中にある地の利を生かし、あまり遠くに飛べないけれど運航経費が安いナローボディ機を使って、「乗り継ぐと安い」というセールストークで顧客獲得を目指しました。しかし、WOWが言うところの「最安値運賃」ではなかなか買うことができない、乗り継ぎで時間がかかる、さらに荷物代を加えるとレガシーと比べてそんなに安くない……などの悪条件が重なり、結局資金繰りに行き詰まり、事実上倒産に追い込まれました。
同じように欧州と北米をつなぐビジネスモデルを展開しかけていたデンマークのLCCであるプリメーラも2018年秋に運航停止。こちらの破たんも「古い機材でやりくりを進めたものの、やはり料金的な旨みがそれほどなかった」という原因が大きいと考えられています。
救世主は?
欧州最大のLCC・ライアンエアーの代表、マイケル・オレアリー氏は「LCCはナローボディで200人運べれば、運営的に最も効率が高い」と話していたことがあります。そういった機材を太平洋・大西洋横断用に使えれば、魅力的な価格で飛べる可能性が高まるかもしれません。
機材の性能からして、これまでのナローボディ機ではオレアリー氏が期待する「定員&航続距離」は実現不可能とされていたのですが、実はあの「ボーイング737MAXシリーズやエアバス321LRならイケそうだ」と大きな期待が寄せられているのです。
果たしてどのLCCがどんな機体を使って太平洋横断を実現するのか、はたまたナローボディ機を使った北米〜ヨーロッパ間のLCCビジネスがしっかりと軌道に乗るのはいつなのか?さらなる各社の攻防を注目してみたいものです。