あいりん地区”最高値”の宿「HOTEL SUNPLAZAⅡANNEX」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(1)】

トイレもバスも清潔感漂う

そうそう、肝心なことを忘れていた。今まで快適とはいえ重要な場所のチェックをせねば。それはトイレとバスルーム。どんなに部屋&ロビーが清潔で、コーヒー飲み放題、かき氷食べ放題とはいえ、これらが汚ければ台無し。そこでまず男子トイレへと向かう。

HOTEL SUNPLAZAⅡANNEX

トイレは各階にあり男女分かれている(2階は女性専用フロアで、男性立入禁止)。真っ当なホテルと遜色ないトイレだ。

HOTEL SUNPLAZAⅡANNEX

ちゃんとウォシュレットタイプで、便器クリーナーまで常備されていた。

HOTEL SUNPLAZAⅡANNEX

シャワールームも1階に4室、2階2室、8階1室もある。もちろん鍵もかけられ、セキュリティ面も安心。

リンスインシャンプーとボディソープあり。シャワーの温度もキチンとかえられ、問題なし。

そして別室のパウダールームにドライヤーが備え付けられていた。

これだけでも充分だと思っていたら、なんと男女別の大浴場もあるとのこと。それは奥の通路で繋がった隣のHOTEL ZIPANGの1階に存在した。これまた後から調べたらこのホテルはJUNON GROUPといって、HOTEL ZIPANG、HOTEL SUNPLAZA、HOTEL SUNPLAZAⅡ、HOTEL SUNPLAZAⅡANNEXと4ホテルを運営しているらしい。

HOTEL SUNPLAZAⅡANNEX

これまたシックでスタイリッシュな雰囲気の真っ当なバスルームだ。入浴可能時間は午後3時〜午後10時まで。僕が見に行ったのは翌日の午前中だったので浴槽にお湯は無かった(午前7時30分~正午まではシャワールームとして使用可能)が、思ったよりも広々としていていた。

帰館したら玄関のシャッターが閉まっていたが…

そんな安心感もあり、夜は大阪の街へと繰り出し、ひとり繁華街で大阪グルメを堪能した。ホテルのある西成(新今宮・動物園前駅)は、JRの線路の北側には「新世界」という串カツをはじめとした大阪のご当地グルメ店や低価格の居酒屋、寿司店などが軒を連ねる一大繁華街が広がっている。また、西成自体にも24時間営業の居酒屋を筆頭に、様々な飲食店、立ち吞み店が存在する。大阪の人々は1軒で腰をすえて料理を楽しむというよりも、30分~1時間程度で数軒はしごするという飲み方が好きだ。なので、僕もそれを真似して数軒を回った。

そして気が付けば深夜1時。道路では泥酔してその場で就寝なさっている日雇い労働者風の方がちらほら。僕もかなりの泥酔状態であったが、ホテルの場所は分かりやすく、すぐに戻ってこれた。その時、僕は気づいた。玄関にシャッターが下りていることを。

「やっちゃった」という気分と共に一気に酔いが覚める。しかし「おかしいな?門限が無かったはず」という気持ちも。西成は安心にはなってきたとはいえ、まだまだ油断できないという事もあり、24時門限というホテルも多いゆえにあらかじめチェックしていたはず。そこで急いでスマホでホテルの基本情報を検索すると、門限の記載がないどころか、チェックイン後は24時間出入り可能とある。じっと玄関のシャッターを見つめる。すると、左側に扉があることに気づいた。

そしておそるおそるドアノブを回すとドアが開き、入館することができた。「危なかった。僕も彼らのように道路で寝て朝を迎えるところだった」安堵と共に部屋に戻り、就寝。そして朝10時までにチェックアウトした。

西成3畳一間バストイレ共同のホテルは想像よりもかなりの快適度だった。部屋にバストイレがなくてもOKな方であれば、何の問題もないであろう。しかし、これをもって西成のホテルは問題がないとは全く言い切れない。なにせ地域最高価格の1泊3000円である。そこで、次回から徐々にランクを下げていこうと思っている。なにせ最低価格は1000円程度だ。どこまで快適なホテルなのか、期待していて欲しい。実際、僕もまだ分からない。

■プロフィール
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は9500軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「Ontrip JAL」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊

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