1つ星の宿にも歴史あり? “ほぼ最低評価の宿”に泊まりに行ってみた【レポート】

1階の食事処に向かうと、お膳に料理が並べられていた。

献立はエビフライ、白身魚の味醂漬け、ロールキャベツ、酢の物。さらに、旅館でおなじみの小鍋に入った水餃子も並ぶ。裾野市には特産のモロヘイヤや茶葉が入った「すその水ギョーザ」という名物があるそうだが、これが「すその水ギョーザ」なのかは定かでない。

炊飯器は保温12時間になっているので、おそらく朝炊いたものの残りだろう。

どこまでが出来合いなのかはわからないが、どれも味は悪くなかった。ご飯も意外とふっくらしており、付け合わせの野菜なども新鮮だ。「割烹」と呼ぶには程遠いが、旅館の食事の面目は一応程度に保っているといったところか。

割烹というよりは和洋折衷料理なのでは……。などと考えながらロールキャベツを齧っていると、主人がお茶を淹れにやってきた。

「そういえば、お風呂空いたので使ってください。夜中に入っても大丈夫ですよ」

食事を終え、一度部屋に戻りタオルを手にして1階奥の風呂場に向かう。男女共用の風呂場に鍵はなく、ドアの前に「入浴中」の札を下げておくシステムらしい。

浴槽に湯は張られていなかった。沸かしてもいいのだろうが、わざわざそうする気も起きなかった。

壁にはいくつかのシャワーがあり、備品(?)のシャンプーやら何やらのボトルが雑多に置かれている。どれも中身は入っているので適当に使ってみたが、特に問題なさそうだ。シャワーで身体を洗っていると、ボトルの陰から得体の知れない虫たちがお湯に驚いて逃げていった。

ドライヤーはないだろうと思っていたのだが、脱衣所には何故かカールドライヤーが2つ置いてあったのでそれを使った。

「入浴中」の札を外して風呂場を出る。シャワーも問題なく、食事も悪くない。「星1」が付くほど悪くはないのではないだろうか。主人の人柄がいいのがなによりだ。そんなことを考えていた。

ところが次の瞬間、足元を横切った物体に筆者は頭を抱えてしまった。いるとは思っていたが隠れていてくれ、コックローチ。

さらに追い討ちをかけたのはトイレだった。共用トイレの建て付けが悪いドアを開けると、信じられない悪臭がした。排泄物の直接的な臭いではなく、数十年レベルで蓄積した臭いだろう。比喩ではなく本当に鼻が曲がってしまう。むしろ曲がって鼻腔が塞がってほしい。清掃はされているようだが、どうしたらこうなってまうのだろう。原稿を書いている今でも思い出すと顔が歪む。

▲さすがにトイレは載せられないので、手洗い器の写真を載せておく。

一度ドアを閉めて呼吸を整え、意を決して息を止めて用を足した。明日まで必要以上に水分をとるのは控えよう。窒息してしまう。

部屋に戻り、例の黒い虫が部屋に来ないことを願いながら床に就いた。

▲この辺から変な虫が出てこなければいいが。

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