ピーチの大阪/関西~釜山線を片道1,500円の航空券で乗る 日韓関係の冷え込みを実感【搭乗レポート】

日韓関係の冷え込みが続いている。日本各地に乗り入れていた韓国の格安航空会社(LCC)が、多くの路線から撤退してしまったのは、TRAICY(トライシー)でもお伝えしたどおりだ。

残る日韓線も販売されている航空券の価格は、地方路線を中心に低迷している。いまや、片道運賃が500円や1,000円で販売されるのは「ザラ」だ。

今回は、11月時点で毎日運航を続けているが、2020年1月7日以降の運休が決まっているピーチの大阪/関西発釜山行・MM17便に搭乗した。

ピーチ、日韓線3路線を運休 札幌/千歳・沖縄/那覇〜ソウル/仁川線と大阪/関西〜釜山線
https://www.traicy.com/20190828-MMsuspend

この便の航空券を、セール価格の片道1,500円で買って実乗してみた。

LCCなのに客が…いない?

異変は、いくらでもあった。ピーチが使用するエアバスA320型機には180人が搭乗できるはずだが、客がターミナルにいない。この日は11月の水曜日だったので、季節や曜日といった要因もある…と思いたかった。

ぼてぢゅう

出発2時間前に第2ターミナルでチェックインを済ませ、第1ターミナルの某お好み焼き屋で食事をとる。ちなみにこの鉄板1枚の料理と航空券代(諸税別)が同じくらいの値段だ。

出発45分前までに第2ターミナルに向かい、やはり人の少ない保安検査場で検査を受ける。人混みは嫌いなのでこのくらいの空き方が良いと思っていたのだが…

本当に少ない乗客と、いびつな乗客配置

釜山行きのゲートに誘導されて、異変を感じた。本当に乗客が少ない。

画像は筆者よりも前にゲートに並んだ乗客で、だいたい20人前後だろうか。筆者の後ろにも同じくらいの乗客が乗り込んできたように感じた。

15列目B席にアサインされたが、筆者より前の搭乗状況はこの様子だ。多く見積もって15人程度。

ただ、乗客の配置はいびつで、事前に有料の座席指定を行なわかった筆者の座る列は満席。後ろも3列程度満席だ。プライバシーの配慮の面でも写真は撮れない。

だが、更に後ろは、掲載した画像と同様に、乗客はまばら。

おそらく、有料の座席指定を行わなかった乗客は、一箇所にまとめて座席を割り当てるようになっているのだろうが、この搭乗率では、本当に「いびつ」な状況をもたらしてしまう。もう少し工夫できなかったのだろうか…。とにかく、トータル50人程度しか搭乗していない。さしずめ、搭乗率は30%弱程度だろう。

あまりにも乗客が少ないので、搭乗にとまどる要素は何一つなく、早発気味にドアクローズ、離陸。釜山までは約1時間10分のフライト。

フライト中、座席の劣化が気になった。座席がすり減っている。座席未指定の客をアサインし続けたせいなのだろうか。

フライト自体は至って順調だ。客室乗務員の日本語と英語のアナウンスと、韓国語のプリレコーデッドアナウンスにも特に問題はない。「ピーチらしい」アナウンスは随所に散りばめられているが。

1時間強のフライトでは、機内食や機内販売の利用者もほとんどいない。それどころかトイレの利用者すらほとんどいなかった。国内線のようなフライトだ。

結局、筆者も機内食や機内販売も利用しなかった。それでもあっという間に着陸してしまった。時間が経過するのがあっという間に感じられる快適なフライト…ではなかった。単に韓国との近さを実感させられるだけだった。

ドアオープン後、自便のわずかな乗客は、瞬く間に空港利用者の間に紛れていったのは言うまでもない。

一部始終、乗客の少なさを実感させられ続けるフライトだった。もちろん、LCCのビジネスモデルに不一致であることは言うまでもない。

企業努力ではどうにもならない状況でもあり、ピーチが日韓の第2の都市同士を結ぶこの路線を維持するシナリオは、残念ながら想像できずに終わってしまった。