OYOホテル、”詐欺”との声明を発表したJALFに反論 「契約に従い対応」

OYO Hotels

「OYO Hotel(オヨ・ホテル)」を日本で展開するOYO Hotels Japanは、OYOと加盟ホテル間で発生している契約問題について、一般財団法人宿泊施設活性化機構(JALF)が12月10日付で発表した声明に対して反論した。

OYO Hotelは、インドのOYO Hotels & Homesが展開している、客室数で世界第2位のホテルチェーン。2013年に19歳のリテシュ・アガルワル氏が創業し、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから約1,000億円を調達するなど、急成長。独立系ホテルを中心にフランチャイズ形式で加盟施設を増やし、展開を拡大している。日本法人はソフトバンクとの合弁事業として4月に設立し、約6ヶ月の間で50都市以上に100軒以上を展開している。OYOのプラットフォームを活用することで、一定期間収入の保証が受けられることなどが、宿泊施設の間で話題となった。

OYOに加盟した施設は、従来の施設名に「OYO」のブランドと5桁以下の数字が付けられた施設名に変更される。予約システムはOYO側が提供し、需要と供給のバランスに応じて、値付けを調整することで、稼働率と収入を最適化するとしていた。OYOによると、「ほとんどのホテルではOYOとの提携の結果として、稼働率が上昇し、RevPAR(利用可能な部屋ごとの収益)の改善が見られているのは事実」だというものの、これらは世界全体なのか、日本国内に限ったものなのかについては言及しなかった。

12月8日付けの読売新聞が、OYOの加盟ホテル21施設でOYOからの未払いや、最低収入の保証金額の減額が発生していると報じ、問題が表面化していた。JALFはOYOを、「契約内容に問題があり、体制もしっかりしていない」と評し、被害者の会を結成する場合には支援することを表明していた。

インドでは安価でセキュリティがしっかりとしたホテルが少なかったことから、ブランドの信頼感が広まるにつれて急成長につながったものの、日本では低廉で高いレベルのサービスを提供するホテルが多く、さらにホテルのオーナーと実際の運営会社が違う場合がほとんどであることから、飛び込み営業を中心とした営業スタイルによる拡大は難しいのではないかという懸念も、当初からあった。

OYOは、「誤解を招く主張について、我々が事実関係について確認をさせていただく機会が無いままこのような声明を出されたことに対し、遺憾に思う」とし、JALF担当者と面会して説明する意向を示した。

しかしながら、これまでの加盟ホテル数や脱退ホテル数、未払い件数や金額のほか、OYOから宿泊施設への支払金額の一方的な減額の有無は、「機密事項の対象」として明らかにしなかった。「契約書に記載された義務を負い、またそれに従うことを約束すると共に、責任を持って対応しております」と強調した。

さらにOYOは、「予約プラットフォームやオンラインの旅行サイトとは異なり、OYOホテルは、世界中の他のすべてのホテルチェーンと同様に、リースおよびフランチャイズで構成されたホテルチェーンです。OYOのビジネスモデルは、時間の経過とともに進化してきました。全国のホテルオーナー様にはデザイン、ホスピタリティ、テクノロジー、ファイナンスといった様々な運営支援サービスをご提供しています。私たちは、ホスピタリティと不動産という分野は更なる改善余地のある分野だと考えています。「質の高い生活空間」に対する需要と供給の間には大きな隔たりがあり、旅行者や都市居住者は場所、品質、価格を妥協せざるを得ないのが現状です。この問題を解決するために私たちは、技術とノウハウを組み合わせて取り組んでいます。そして、より高い投資収益率をオーナー様が得ることができる当社のビジネスモデルに誇りを持っています。資金調達の機会を提供し、ホテルを変革し、質の高い顧客サービスを提供することで、すべてのOYOの施設で稼働率と収益性を大幅に向上させています。私たちは、ホテル側の条件や、ホテルのオーナー様にとって何が価値となるかを考え、各事例ごとに適切な行動方針を決定しています。これは、ホテルの運営状況、市場のダイナミクス、およびホテルオーナーの正当なニーズによるものです。」と自身のビジネスモデルについて説明し、理解を促したものの、ある旅館運営会社役員の男性は、「なに言ってるのかよくわからない」と一蹴した。一方で、「一部のオーナーから懸念や疑問をいただくこともある」として、オーナーとの対話を続け、懸念や問題には誠心誠意対応するとした。

OYOに対し、本誌では12月10日夜にコメントを求めたものの、本国であるインド側との確認、時差、翻訳を理由に回答までに1週間を要した。