ANAグループ、「ANAにキュン! BLACK FRIDAY!」を開催
新生「るるぶトラベル」からわかる、JTBとAgodaの目指すものとは?【永山久徳の宿泊業界インサイダー】
JTBがAgodaとの間で締結された包括的業務提携の第一弾として、旅行予約サイト「るるぶトラベル」と「JAPANiCAN.com」の2サイトを刷新したが、そのリニューアル内容がほぼAgodaのままであるだけでなく、検索や表示の不具合が数多く見られることからユーザーと施設が一斉にクレームを上げ、半月経った今でもSNS上では炎上状態が続いている。ユーザーは「国内サイトの利便性を捨てたるるぶトラベルはもう使わない」、施設側も「このままではとてもではないが売れない」とスタート時点での評価は散々だ。JTBとAgodaの目指すところは一体どこなのか考察したい。
ユーザー、施設側ともに低評価な理由は検索方法が「キーワード検索」主体になったことだ。これまでの国内OTA(オンライン旅行会社)サイトでは主流の①行きたい地域を選んで、②人数や予算、条件でさらに候補を絞り込み、③価格順でソートして決定する(順番は各OTAで異なる、もしくは同時に条件設定できる)というロジックが通用せず、○○駅、××温泉と地域を入力しなければならない。
「キーワード検索」は海外OTAでは良くある仕様で、こちらに馴染みのあるユーザーも存在はするのだが、現状では明らかに精度が低い。日本独自の旅館やホテル、夕食付などの概念はまだ考慮されていないし、ローカルな温泉地や観光地を指定してもエラーが出てしまう。あいまいなテーマパーク名や漢字間違いなどもまだ考慮されていない。この改善には時間はそれほど長くはかからないだろうが、日本人の直感に合致するキーワードに対応するにはAgoda側ではなくJTB側から相当な経験値を持ったスタッフが関わらなければならないだろう。むしろそのキーワードが網羅されればるるぶトラベルは一気に検索しやすいOTAサイトに駆け上がることができる。
そもそも、昨今のショッピングサイトやオークションサイトを見てもわかるように、購入するユーザーは「製品の型番や相場を調べ尽くした上で購入条件を比較してショップを選ぶ」スタイルか、「欲しいものを特に決めずに、ショップのお勧めに誘導されて購入する」かの両極に振れつつある。漠然と「予算に合うテレビが欲しい」という動機からショッピングサイト上で徐々に条件を絞り込むユーザーは徐々に減っている印象がある。宿泊予約サイトも遅かれ早かれ、「絞り込み→リスト羅列サイト」から脱却しなくてはならないタイミングだ。そのために「キーワード検索」を主軸に据える意味はわからなくはない。